【ヴィクトリアマイル2025】過去10年のデータ・傾向と参考レース回顧

データルーム

ヴィクトリアマイル2025の概要

開催日

2025年5月18日(日)

グレード

GⅠ・4歳以上牝馬

コース

東京芝1600m

概要と歴史

上半期JRA唯一となる古馬の牝馬GⅠ競走。2006年に創設されて今年で第20回を迎える。

これまでウオッカやブエナビスタ、アパパネ、アーモンドアイなど錚々たる面々が勝ってきた。その一方、中距離向きの実績馬が参戦して人気に推されるケースも多く、波乱もしばしば招く。最たる例として2015年は前年のオークス馬ヌーヴォレコルトが出走するも1番人気6着に敗れ、GⅠ史上最高配当となる3連単2070万5810円が飛び出した(ストレイトガール→ケイアイエレガント→ミナレット)。1800m以上での実績は盲信せず、春東京の高速マイルに対応できるかどうかを冷静に吟味したい。

ヴィクトリアマイル2025の登録馬

登録馬一覧

登録馬23頭

アスコリピチェーノ
アドマイヤマツリ
アリスヴェリテ
アルジーヌ
クイーンズウォーク
クリスマスパレード
サフィラ
シランケド
シングザットソング
シンリョクカ
スウィープフィート
ステレンボッシュ
ソーダズリング
タガノエルピーダ
ドゥアイズ
バウンシーステップ
ヒルノローザンヌ
ビヨンドザヴァレー
ボンドガール
マサノカナリア
ミアネーロ
ラヴェル
ワイドラトゥール

ヴィクトリアマイルの基本データ(過去10年)

人気と配当の傾向

1番人気【2-2-2-4】自体も決して良くはないが、その後ろの2番人気【0-0-1-9】と3番人気【0-2-0-8】が深刻。4-8番人気で7勝という異質な傾向が見て取れる。

2桁人気馬の好走例も昨年1着テンハッピーローズ、冒頭で触れた15年の18番人気3着ミナレットなど6つある。GⅠレースのなかではかなり波乱度が高い部類に入る。

平均馬連配当は1万9292円。最高馬連配当は9万3690円(24年テンハッピーローズ→フィアスプライド)、最低馬連配当は750円(20年アーモンドアイ→サウンドキアラ)。

枠順と脚質の傾向

Bコース替わり初週に行われることもあってか、好走率は真ん中からやや内目の枠がいい。2-5枠の複勝率が高く、最多勝は5勝の3枠だ。ちなみに8枠の複回収率も高いが、これは前記ミナレットの影響によるもの。ミナレットはハナを切っていたので、外枠でも進路は内だった。

脚質的には大きな偏りなし。身もふたもないがその年の展開次第といったところだろう。4角5番手以内の複回収率が高いのはミナレットが3着だからで、同6番手以下の単回収率が高いのはテンハッピーローズが差し切ったから。言ってしまえばそれだけのデータ。

前走について

前走条件戦組は【0-0-0-8】、OP・リステッド組も【0-0-0-3】。好走馬はいずれも前走重賞を走っていた。以下はレースごとに見ていこう。

最重要ステップの阪神牝馬Sは【4-3-5-57】複勝率17.4%。その勝ち馬は【0-1-1-8】とイマイチで、2-5着【2-2-4-9】複勝率29.6%、複回収率105%、6-9着馬【2-0-0-13】複勝率13.3%、複回収率157%。さすがに10着以下は【0-0-0-17】だが、少し負けていたくらいの馬が本番でよく巻き返している。

中山牝馬Sは【1-2-0-10】。3着以内馬【0-1-0-6】、5着以下【1-1-0-4】なので着順はあまり関係ない。もとい中山牝馬で詰まったノームコアと、いかにも距離が長そうだったフィアスプライドが反撃した。「いい負け方」の馬を探したい。

意外と出走数の多い高松宮記念組は【1-0-2-16】。好走3例はいずれも6着以下からの参戦で、ノームコアとレシステンシアは元々マイルGⅠ馬。ストレイトガールは前年の3着馬だった。

ほかにも大阪杯【1-0-1-4】、有馬記念【1-0-0-0】、フェブラリーS【1-0-0-0】、マイルCS【0-1-0-0】など、対牡馬のGⅠから来る馬は総じて要警戒だ。アスコリピチェーノが踏む1351ターフスプリントからのローテはソングラインが2023年に成功済み。

福島牝馬S組は【0-1-1-18】でしつこいようだがミナレットが3着、17年にデンコウアンジュが11番人気2着に入った。ただし3着以内馬は【0-0-0-12】だ。

ヴィクトリアマイル2025の参考レース

参考レース① 阪神牝馬S

レース映像(Youtube、JRA公式チャンネルより)

トラックバイアス:やや内有利
展開:スロー
→イフェイオンの逃げで前後半は47.5-45.3のスローペース。イン前有利なレースだったと評価する。

1着サフィラは外枠からジワっと先行して外の2番手を確保。淡々と直線に向き、残り250~300mあたりで先頭に立つと、そのあとは差されそうな脚勢からなかなか差されず押し切った。勝つには勝ったがスロー先行の展開に恵まれた面が大きい。またサロミナのきょうだいは総じて揉まれ弱い面があり、今回は外枠も功を奏した。

2着アルジーヌはインの5~6番手を追走。4角までインを回り、直線は馬群を捌いて脚を伸ばした。トラックバイアスの恩恵はあった。ただ、瞬発力勝負に懸念があったなかで上がり33.0秒を使えたのは収穫。近況の充実ぶりは目覚ましい。

4着ビヨンドザヴァレーは勝ち馬の真後ろでレースを進める。直線半ばで先頭に並びかけるシーンも作ったが、ゴール前でわずかに遅れた。これまで京都>阪神という戦績であり、急坂があまりよくないのかもしれない。

5着ボンドガールは武豊騎手らしく、じっくりと溜めてシンプルに外から追い込む競馬。上がり32.9秒の脚でよく伸びてはいるが、さすがにこの馬場と展開では届かない。負けて強し。VM本番は有力だろう。

6着ソーダズリングは道中やや行きたがる素振り。4角は内から4~5車線目を回り、直線半ばまで伸びかけるもラスト100mで鈍った。典型的な距離が長い負け方。1400mで見直したい。

7着タガノエルピーダはインの3番手で馬場も展開も向いたが、直線は伸びずバテずで流れ込むだけ。新馬戦以降は速い上がりに対応できておらず、こういう高速馬場のスローペースは適性外か。

8着ドゥアイズは道中内ラチ沿い、アルジーヌの後ろで進める。直線は馬群のなかでファイトしているが前を脅かすには至らず。とはいえ0.4秒差だし、上がり33.2秒は使った。展開不向きと片付けていい。

12着スウィープフィートは出遅れて序盤は最後方。4角で大外を回ってマクり進出し、トラックバイアスに完全逆行した。参考外。

13着ヒルノローザンヌはテンから出して行った割にスピード負けして外の3~4番手。このペースで先行するのに苦労しているようだと、現状重賞では力不足と言わざるを得ない。

参考レース② 福島牝馬S

レース映像(Youtube、JRA公式チャンネルより)

トラックバイアス:内有利
展開:ミドル
→福島芝はまだまだ内が有利。戦前は逃げ候補が多数いたが、いざフタを開けてみるとアリスヴェリテに行く気がなく、アスコルティアーモの逃げになった。前後半は59.2-59.0のほぼミドル。内を通った馬が恵まれたレースと評価する。

1着アドマイヤマツリは絶好の最内枠。1コーナーで内ラチにコスってしまう場面はあったが、そのあとは終始インを回ってくるだけで進路も自然ができた。直線はスムーズに追って前をかわすだけ。2馬身差勝ちは立派だが、トラックバイアスと枠の恩恵も大きかった。

4着アリスヴェリテは逃げる気なし。好位の一角で進め、4角は内ラチ沿いを抜けてくるアドマイヤと対照的に3~4頭分余計に外を回された。結果0.5秒差(2着と0.1秒差)なので悪くはないが、やはり逃げがベターの馬だとは思う。

5着シンリョクカはテンから促していくも先行できず、終始馬群の外を回された。自分以外は8着まで内枠勢が占めていることを思えば、改めて地力を示す走り。ただ、このレースぶりだとマイルは忙しい。

参考レース③ 中山牝馬S

レース映像(Youtube、JRA公式チャンネルより)

トラックバイアス:内外フラット
展開:ミドル、早仕掛け
→ペイシャフラワーが気合いを付けて逃げ。1000m通過59.6秒自体は平均程度だが、残り1000mが最速区間で11.4。早仕掛けで先行勢はややキツい展開になった。ロンスパに長けた差し馬が有利なレースと評価する。

1着シランケドは出負け気味だったが押して中団へ。4角でホーエリートともども進出していき、直線の追い比べをわずかに制した。これで3連勝と力があるのは間違いないが、距離短縮には課題がある。

3着クリスマスパレードは一歩目こそ失敗気味だったが、二の脚はついて2番手に。直線はしぶとく伸びて一時先頭の場面を作り0.1秒差負け。上位2頭より2キロ重いハンデを思えば勝ちに等しい内容と言っていい。

4着ビヨンドザヴァレーは中団のインを追走。4角は少し狭くなりながらも外へ持ち出し、ゴール前までしぶとく伸びた。おおむね力は出し切った。

8着ミアネーロは休み明けで+12キロでの参戦。ゲートが開く瞬間に両前脚を上げてしまって出遅れた。直線は内を狙うも進路がなく、ブレーキをかけて切り替える場面があった。やや不完全燃焼。悲観はしなくていいが、ゲートはもう少し改善したい。

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