主要レースの回顧置き場(自分用)

回顧・次走注目馬

ページの概要

1月中旬から掲載するようになった重賞のデータ分析記事。その最後の章には参考レースの回顧を3レースほど載せている。

あれを作る時はnoteなどに書いた回顧があれば使いまわすのだが、現状、作業のたびにいちいちnoteから自分の記事を検索して取りに行っている。あまりにも非効率である。

というわけで、一度書いた回顧を全部置いておくページを「競馬ナイト」内に用意することにしました。いわばこの記事は自分用です。ちょくちょく更新していきます。

「Ctrl+F」で検索を呼び出し、レース名や馬名を入れることで、過去にどんな評価だったかを読んでいただくことが可能です。ただしレース直後の評価と、今の見解が必ずしも一致しない場合もあります(あとから上方or下方修正するなど)。そこはご了承ください。

あと、一応は月ごとに分けていますが、あくまで自分用なので順番などは結構適当です。

2025年2月

【根岸S】

トラックバイアス:フラット~やや外有利(差し有利)
展開:ハイペース
12.3-10.6-11.0-11.8-12.4-12.2-12.3

東京ダートは内外の問題ではなく、とにかく差し追い込みがポンポン届く末脚重視の特殊馬場。しかもドンフランキーの逃げで前後半33.9-36.9の超ハイペースとなった。当然追い込み馬が有利な競馬だったと評価する。

1着コスタノヴァ【GⅠ級の大器】
五分のスタートから抑えてインに潜っていき、最短距離で脚を温存しながら直線へ向く。インアウトでスムーズに進路を確保し、いざ追い出してからはワンサイドゲームで4馬身差の圧勝だった。
順調さを欠いた臨戦過程で今回が100%の状態ではなかったと推測されるが、その中でこの勝ち方には痺れる。これまで間隔を空けて使ってきた馬なので中2週フェブラリーS参戦はないような気もするが、出てきたら能力は足りるだろう。

2着ロードフォンス【カラ馬不利も展開向く】
好スタートからじっと下げて差しに構える和生騎手のナイス騎乗。直線に向いたところでカラ馬に寄られる不利もあったが、総体としては展開も馬場も向いた。勝ち馬との差は決定的で、着順以上の評価ポイントは特にない。

3着アルファマム【展開ハマって】
追い込みハマり待ちのこの馬にとって、今日は展開も馬場もコースも全てが最高だった。重賞ではこれが上限。この結果を受けて人気になるなら次走以降は買いにくい。

4着サンライズフレイム【先行策が裏目】
今日の馬場で積極的に促しての先行策はちょっと意図が分からない。疑問手。ドンフランキーを刺激し、サトノルフィアンにも競られる形で折り合いを欠き、前半33秒台のペースを作り出しながら2番手ビタ付け。残り350mあたりで一度先頭に立つシーンもあったが、この展開ではもたない。

並の馬であれば大敗してもおかしくないほど展開と馬場に逆行競馬で、4着ならむしろ能力の高さを示した。率直に言って作戦ミスだと思う。次走注目。

6着フリームファクシ【出遅れて】
スタートが決まらず後方から。道中でカラ馬が邪魔になる場面もあったが、それを加味してもなまじ先行するよりは展開有利。直線はジワジワ伸びて離れた6着まで。芝時代から溜めて鋭い末脚を使えるタイプではなく、今日はより「専門家的な差し馬」に見劣った。見直しの余地はある。……が、能力的にも適性的にもフェブラリーSだと敷居が高そう。東海S(中京ダ1400m)が当面の最大目標か。

10着サトノルフィアン【展開&カラ馬不利】
ハイペースを先行して展開不利、直線半ばでカラ馬に絞られてブレーキをかけた。参考外。1400mのOP~リステッドなら買える。

13着ドンフランキー【適性外&馬場向かず】
ハイペースの逃げは自身の得意パターンだが、その作戦は東京ダ1400mおよび今日の後半型優位な馬場とマッチしない。仕方ない。ただ、海外GⅠを見据える上ではもう少し格好をつけたかった。ドバイGSに向けて暗雲が立ち込めた。

タガノビューティーはスタート直後に落馬して競走中止。

【東京新聞杯】

トラックバイアス:やや内有利
展開:ミドルペース
12.5-11.0-11.1-11.5-11.6-11.3-11.6-12.0

土曜ほど内一辺倒ではなくなったが、依然としてイン優勢の馬場傾向。前後半46.1-46.5なので数字上はやや前傾だが、離れた3番手マテンロウスカイ以下の馬群はミドルか少し遅いくらい。どちらかといえばイン前有利な競馬だったと評価する。

1着ウォーターリヒト【後方一気】
そのややイン前有利なレースで外から後方一気。上がり最速タイの33.2秒で好メンバーを一刀両断した。ちょっと想像を超えてきた。この勝ち方ができるなら安田記念でも出番があるかもしれない。

2着ボンドガール【上手く立ち回るも】
戦前の読み通り、マイルへの短縮で先行策に戻してきた。好位を追走、多少は行きたがっていたが許容範囲で運び、直線もスムーズに前が空いた。絶好に見えたが……。今日は勝ち馬を褒めるしかない。

3着メイショウチタン【馬場と展開の利大きく】
内枠を生かして軽快な逃げ。自身はイーブン〜やや前傾のほどよいペース配分をしたところ、後ろが離れてくれてラッキーだった。粘って3着確保。馬場と展開の利が大きい。

4着ブレイディヴェーグ【重めで】
ゲートでやや出遅れ。中団を追走して直線も不利なく外へ持ち出したが、府中牝馬Sのような鬼脚は発揮されなかった。休み明け+14キロとやや重め残りで、距離も1ハロン忙しかった感。相手関係はともかくドバイターフで条件は好転する。

8着オフトレイル【後ろすぎた】
折り合い重視で最後方まで下げ、直線だけの競馬に賭けた。上がり最速タイ33.2秒を使ってこの着順なので、端的に言えば後ろすぎた。乗りやすいのは1400m。

11着ジオグリフ【大出遅れ】
スタートで大きく遅れて終戦。33秒台前半の末脚を出せるような馬ではなく、この位置ではどうしようもない。ノーカウント。

【クイーン賞】

トラックバイアス:フラット~やや内有利
展開:ミドル~ややスローペース
12.1-12.0-13.2-12.9-12.4-12.2-12.2-12.4-13.0

馬場は初日に比べれば多少フェアになったが、どちらかというと内有利な状態が継続。アンモシエラが逃げてオーサムリザルトが外2につけると、直線まで全くと言っていいほど隊列が動かず。前後半4F50.2-49.8でほぼイーブンペースだった。若干の内外差があった以外は実力通りの決着だったと評価する。

1着オーサムリザルト【2番手から完勝】
アンモシエラを行かせて外2をすんなり確保。レース後の武豊騎手いわく「先頭に立つと気を抜く」とのことで、直線半ばまでアンモシエラの走りに合わせるような追い方だった。残り100m強でステッキが入ると抜け出して完勝。着差は1馬身だが、それ以上に地力の差を感じるレースぶりだった。

日本の現役最強ダート牝馬の座はこれで完全に確定した。ただ、しつこいようだが揉まれる競馬をやっておらず、内枠を引いた時の不安はまだ残したまま。

2着アンモシエラ【おおむね力通り】
特に競り合いもなくハナへ。前記の通りオーサムリザルトには抜け出しを待つ意識があり、あまりプレッシャーもかけてこなかったが、最後はきっちり差された。トラックバイアスと展開でやや恩恵あり、重ハンデの不利ありで評価は相殺。おおむね力通りの着順といったところ。

3着テンカジョウ【前が止まらず】
インの4番手を追走し、4角も内目を捌いて直線は前を追うだけの態勢。差を詰めているが、前2頭もあまり止まってくれなかった。オーサムリザルトとは少し差を感じるが、アンモシエラとは展開ひとつで入れ替わる力関係だろう。

4着キャリックアリード【末脚光る】
前残りの決着に対し、外を回っての差しで2着から0.2秒差。ハンデ差もあったとはいえ上々の内容だった。今日の結果から次走注目馬を挙げるならこの馬だが、クラブの6歳牝馬で規定の引退時期間近。これがラストランになるかもしれない。

5着フェブランシェ【折り合い欠く】
マイル戦を先行してきた影響か、道中やや折り合いを欠いた。内から3頭目を回った分のロスもあった。それで勝ち馬から0.5秒差なら牝馬限定の交流重賞でもなんとかやっていけるメドは立った。距離はもう少し短くてもよく、しらさぎ賞→スパーキングレディーC戦線あたりで楽しめる。

6着ドライゼ【デキの問題?】
後方追走から勝負所のペースアップについていけず。ズルズルと離されて1.9秒差負け。JBCレディスクラシックでの着差からするとこの大敗は不可解としか言いようがなく、デキに問題があったか。アクシデントでなければいいが……。

2025年1月

【中山金杯】

中山芝は例年の進行と違ってこの週がBコース替わり(例年はCコース)。極端なバイアスはなく、フラット~やや内有利くらいだった。ただ、金杯に限れば1000m通過58.7秒かつ道中ずっと11秒台が続く締まったペースで外追走勢は不利なラップ構成。内目で脚を溜めた馬が有利だったと評価する。

5着ギャラクシーナイトはインの後方で脚を溜め、4角も外へ出さずにロスなく捌いた。展開、トラックバイアスともに恩恵があった。

7着ショウナンアデイブはせっかくの内枠にもかかわらず先団の外目を回って馬場に逆行。それでいて2着まで0.3秒差と大きくは離されていない。

8着エアファンディタは折り合い専念で最後方待機。4角も最内を捌いてロスなく立ち回って上がり最速も0.6秒差。前が遠かった。

【万葉S】

中京はAコース替わりの開幕週で、雨は降っていたが馬場はやや内有利。前3頭が後続を大きく離す隊列で進み、残600m地点で先頭から2.7秒以上離れていた7番手ロードプレジール以下はさすがに構えすぎた印象あり。内前有利なレースだったと評価する。

2着サンライズソレイユは離れた4番手集団の外目を追走。4角も外を回り、直線伸びてきたが勝ち馬が遠かった。52キロの軽ハンデで勝ち切りたかったが、裏を返せば再度軽ハンデは見込まれる。

4着ジャンカズマは先行策。得意の渋った馬場と消耗戦が存分に味方しても勝ち馬からは1.0秒差。現状はここまで。

9着メイショウブレゲは後方待機で射程圏外。ただ、最後は自身も鈍っている。やはり平坦良馬場がいい。

17着サスツルギは離れた4番手を追走していたが早々に後退した。長期休養明けで3000mの消耗戦はさすがに心肺面で苦しかったか。

【京都金杯】

トラックバイアス:内有利
展開:ややハイペース
12.7-11.0-11.0-11.5-11.9-11.9-11.6-11.9

中京芝は開幕週らしく内が有利。セルバーグが逃げてペースを落とさず前後半46.2-47.3のやや速い流れになった。1-3着はいずれも道中最内を回った組。イン差し有利の競馬と評価する。

1着サクラトゥジュール【好騎乗光る】
序盤は位置を取りに行かず、後方の内ラチ沿いで待機。去勢効果かペースが流れた分か折り合いも許容範囲で済み、直線も内目を捌いて差し切った。レース自体は展開とトラックバイアスが最大限味方したもので次走以降疑ってかかりたいが、それはそれとしてレイチェル・キング騎手の巧さは目を引く。昨年来日時もインパクトを残したが、キング騎手は相当乗れる。「女性騎手として〜」とくくられがちだが、そういう枠組みを抜きにしても短期免許騎手の中でトップクラス。今後も追っていきたい。

2着ウォーターリヒト【内に潜って】
不利な大外枠ながらこちらも道中で最内まで潜った田辺騎手の好騎乗。トラックバイアスを味方につけた。勝ち馬との差は4角〜直線で外に行った分だろう。勝ちに等しい2着。

3着ロジリオン【正攻法もやや甘く】
最内枠を生かしてインの3番手を確保。今日の馬場からすれば理想に近い形に見えたが、結果的にはもうひとつ後ろの馬たちに展開が向いた。マイルだとスムーズに先行できる反面、直線でいまひとつ爆発力がない。1400mの方がいいのかも。

4着セオ【トラックバイアス恩恵あり】
有利な内枠から先行。セルバーグが競ってくると抵抗せず譲って2番手から。直線入り口で先頭を奪い返して粘っていたが、最後はわずかに置かれた。トラックバイアスと枠の恩恵があったもので鵜呑みにはできないが、冬場の方がいいという見立ては合っていそう。

4着アスクコンナモンダ【馬場に逆行】
せっかくの内枠ながらラチ沿いを他馬にとられて3車線目追走。外差しの形でトラックバイアスに逆行した。それでも4着同着の0.3秒差と頑張ってはいるが、消耗戦巧者で好走条件が限られるだけにここで決めておきたかった感。たとえば東京新聞杯だと適性からズレる。合うのは中京、京都、中山あたり。

7着シュバルツカイザーはイン溜めの差しに徹して展開とトラックバイアスを味方につけた。これ以上の騎乗はない。力負け。

6着シャドウフューリー【展開不利】
内差し有利の決着を外先行して0.4秒差6着。直線は内からサクラに弾かれて川田騎手が若干緩めた分もあった。重賞でもやれるメドが立った。

8着マテンロウオリオンは中団追走から直線外に出すも伸びずバテず。後方一気で差し切るほどの脚もないが、まともに行くと決め手を欠く。重賞では手詰まり感。

10着メイショウチタンは抜群のスタートを切ったが、枠と二の脚の差で中団まで後退。だらだらと大外を回されていい走りができなかった。その分で見直しの余地はあるが、根本的に重賞だと展開の助けが要る。

【フェアリーS】

トラックバイアス:フラット~やや外有利
展開:ハイペース
12.4-10.6-11.1-11.4-11.8-11.8-11.7-12.0

Cコース初週ながら2桁馬番や外差しの台頭が目立った1日。400m延長のニシノラヴァンダが外枠からハナを切り、前半4F45.5秒と流れてハイペース。前2頭が残ってはいるが、展開的には外差し有利と評価する。

1着エリカエクスプレス【強い勝ち方】
新馬を暴走気味に逃げて2戦目で関東輸送。折り合いを危惧していたが、ペースが速かったのも幸いして3番手でなんとか我慢が利いた。直線はティラトーレをあっさりかわして仕掛けを待つ余裕すらあり、最後は突き放して強い勝ち方。勝ち時計1:32.8も優秀であった。

あえて不満を述べるとすれば、初戦と同じような前傾の持続力勝負となったこと。桜花賞の阪神外回り、直線末脚比べとはおそらく直結しない。「スローペースで折り合えるか」という不安も持ち越しになった。直行で人気なら疑う。

2着ティラトーレ【展開不利も粘る】
ハイペースの2番手を先行。失速し始めたニシノをパスして4角で先頭に立ったが、勝ち馬にかわされてしまった。ただ、その後もよく踏ん張ってカラくも2着は確保。着差はわずかだが、3着以下の馬に対しては地力の高さを見せつけた。悪くない負け方。

3着エストゥペンダ【展開利あり】
ハイペースを追いかけずに外後方待機。展開もトラックバイアスも味方によく追い込んでなんとか3着に浮上した。今日はこれがベストの結果。自己条件なら人気を被るだろうが、恵まれた面があることに注意。

4着マイスターヴェルク【ロスなく立ち回り】
最内枠で好スタートを切るも、前が下がってきて徐々に後退。ただ結果的にはこれが奏功して脚が溜まり、ロスなく回ってきて直線入り口で前がスムーズに空いた。欲を言えば直線外に出せればもっとよかっただろうが、おおむね展開は向いた。

ここから3馬身離れた5着以下は正直冴えなかった。明らかにオーバーペースだったニシノラヴァンダは短縮で、内前走行で馬場とペースに逆行したネーブルオレンジが自己条件で見直せるくらいか。

8着ミラーダカリエンテは8枠15番もあって、五分のスタートから下げて後方待機。差しに徹して展開は向いたが前が遠かった。

9着レイユールは中団をやや行きたがりながら追走。直線は外に出せたがさほど伸びなかった。鞍上は折り合いに関して反省の弁を述べていたが、着差が着差なので騎乗が敗因ではない。単に重賞では能力不足か、ハイペースで脚が削がれたか。東京マイルでスローなら変わる可能性はある。

【シンザン記念】

金杯の週に比べれば多少はフラットに寄ったが、初角まで近い1600mではまだまだ内が有利な馬場コンディション。前後半46.8-47.8のややハイペースで流れた。内で溜めた差し馬が有利だったと評価する。

3着ウォーターガーベラは不利な15番枠でゲートもやや出遅れ気味だったが、その分スムーズに内ラチ沿いまで潜り込めた。インで溜めたまま直線へ向き、進路確保まで多少時間はかかったが、この速い流れなら仕掛け遅れはむしろプラスか。最後甘くなったマイネルチケットをとらえて3着に浮上した。対牡馬の重賞で立派な結果だが、展開と馬場の恩恵が大きかったことには留意したい。

【日経新春杯】

トラックバイアス:内外フラット
展開:超ハイペース
12.2-11.0-11.3-11.8-11.4-11.2-11.4-12.1-12.2-12.7-12.5

中京芝はだいたい内から2~4頭目を通った馬が伸びているが、決定的なバイアスではない。メイショウタバルが暴走して1000m通過57.7秒の超ハイペース。その後も落ち着くどころか11.2-11.4と踏んで1400mが1:20.3だった。前は厳しく、とにかく消耗を避けた差し馬が有利な競馬だったと評価する。

1着ロードデルレイ【イン溜め噛み合う】
スタートから抑えて折り合い専念、中団のインでじっと脚を溜める。4角で内を回る組と外へ振る組が分かれてモーセのように進路が空き、直線に向いた時点で2番手まで浮上していた。最後は突き抜けて3馬身差の完勝だった。超ハイペースで前が自滅、進路取りもスムーズでハマった面は大きいが、2:09.8のタイムは優秀である。大阪杯に向けて視界が開けた。

2着ショウナンラプンタ【展開向く】
後方3番手で脚を溜めてシンプルな外差し。鈍った馬を回収してG前で2着に浮上した。展開が向いたもので特に評価は上がらない。

3着マイネルエンペラー【先行勢最先着】
枠なり出たなりでインの5番手から。4角最内を捌いてジワジワと脚を伸ばし、ヴェローチェエラとの追い比べを制して3着を確保した。ほかの道中7番手以内馬は8,10,11,14,15,16着に沈んでいて、先行勢のなかではコレが最先着。展開を思えば強い内容だった。良血馬が本格化ムード。

4着ヴェローチェエラ【コーナー膨れる】
これも後方待機で展開が向いた1頭。前のマイネルエンペラーを差せず、後ろからショウナンラプンタに差されて完敗。4角は外に膨れており、左回りに対応できなかった部分も。右回りがベターか。

8着バトルボーン【展開不利】
休み明けでハイペースを先行してスタミナがもたなかった。力はある馬なので叩いて2000m近辺で見直せる。

11着メイショウタバル【大暴走】
どんどん折り合いが悪化しており、鞍上がスタートからガッチリ抑えているのに1000m通過57.7秒の大暴走。もう中距離では無理だろう。1400m通過1:20.3はそのまま短距離戦で通用する時計。距離を詰めて。

15着ケイアイサンデラ【展開不利】
大逃げのメイショウから離れた2~3番手を追走。それでも1000m通過は推定58秒台中盤で、これでも速すぎる。間隔をとってローカルGⅢあたりに使っていけばもう少しやれそう。

16着サンライズアース【深追いして自爆】
これも先行して1000m通過は推定58秒台中盤。しかも1角、2角、向正面とずっと鞍上が促していた。いくらスタミナがあるといっても、これでは脚が溜まるわけもなく、スタートからメリハリなく一生懸命走って終わっただけ。話にならない競馬。涙の次走注リスト入り。

【AJCC】

トラックバイアス:フラット~やや外有利
展開:ハイペース(早仕掛け)
12.8-11.4-12.3-12.0-12.1-11.9-11.7-11.3-11.8-12.2-12.6

前日とは馬場傾向が変わってこの日はほぼフラット~微妙に外優勢くらいのコンディション。1000m通過60.6秒もコース形態からすれば速めの部類だが、残り1200mからコスモキュランダが動いたこともあって11.9-11.7-11.3-11.8と早仕掛けの展開になった。最後は12.2-12.6と減速する消耗戦であり、スタミナ型の差し馬が有利だったと評価する。

1着ダノンデサイル【貫禄見せる】
スタート後は行きたがったが、戸崎騎手は最初から抑えることに専念。中団追走から外を通って差してきた。4角は若干モタついて膨れるなど、相変わらず中山が得意な感じの走りではないが、直線はキッチリ伸びて前で粘る2頭を差し切り。地力の高さを見せた。ダービー馬の貫禄。やっぱり強い。

2着マテンロウレオ【内目を立ち回り】
戦前に書いた「右回りでの好走歴は内ラチ沿いを頼れたときに偏っている」という前提あり。まず6枠11番から内目に切れ込んで、イン3ポタジェの隣を確保したのが好プレーだった。4角で下がってくるアウスヴァールをパスすると、直線入り口で内ラチ沿いへ切れ込んで粘り込み。ダノンデサイルには差されたが、コスモキュランダとの争いには勝った。この馬を知り尽くした横山典騎手、さすがの好騎乗だった。

左回りベターという見立ては変わらないが、キレを問う競馬も合わないので、東京という感じでもない。なんだかんだ右回りでも中山や阪神内回りがいいか。今後もGⅡなら展開ひとつで出番がある。

3着コスモキュランダ【持ち味出し切る】
序盤は後方から運び、1000mを通過する頃から得意のロングスパートを敢行。レースラップ自体が早仕掛けのなかをさらにいち早く動いており、展開的には相当キツいことをしている。負けて強しの3着ともいえるし、持ち味を出し切ったともいえる。

スタミナ豊富だが菊花賞では折り合いが全くつかなかったので長距離向きではない。となると春は宝塚記念、秋は有馬記念が大目標か。

4着ボルドグフーシュ【得意の展開で】
消耗戦で差し有利の展開、この馬にとってほぼ理想的な条件に恵まれた。外からしぶとく脚を使っているが離れた4着まで。3歳時に比べるとまだベストに戻っていない。

7着ボーンディスウェイ【展開不利】
序盤は5~6番手を追走していたが、コスモキュランダのマクりに呼応して一列前へ。早仕掛けの苦しい展開で金杯よりも相手が強くなった中で0.8秒差7着には成長を感じる。次走以降も注目。

12着レーベンスティール【消耗戦はダメ?】
序盤少し行きたがったのはオールカマーと同様で許容範囲。ダノンデサイルのすぐ内で脚を溜め、スムーズに回ってきたが直線半ばで脚がなかった。上手く運んだオールカマーに比べて着順を落としたのは仕方ないが、それにしても負けすぎ。ここまで負けると能力以外の敗因を探したくなる。

状態面でないとすると「消耗戦が合わない説」か。同舞台とはいえセントライト記念勝ちはラスト11.7-11.7-11.0でレース上がり34.4秒だったし、オールカマーは同34.7秒だった。レース上がり35秒を超える競馬での実績は未勝利V、1勝クラスでセオの2着、ラジオNIKKEI賞3着しかない。後半6Fロングスパート、ラスト11.3-11.8-12.2-12.6の我慢比べは適性外だったか。大阪杯ならここまでスタミナ質のレースにはならないだろうし、あまり悲観しなくてもいいのではないか。

2024年12月

【ステイヤーズS】

中山開幕デーで馬場はフラット~やや内有利。最初の1000m64.3秒、次の1000mが64.7秒、上がりの1000mが58.9秒。スローペースで前有利な競馬だったと評価する。

2着シルブロンは中団追走から4コーナーは外を回っての差し。最後は勝ち馬と全く鼻面を並べるところまで追いつめた。価値ある内容。ようやく復調か。

3着ダンディズムはインの5番手追走。シュヴァリエローズの後ろをマークするように進出して直線は若干進路取りに迷うシーンもあったが、おおむね力は出し切った。上がり勝負に弱いので東京替わりはどうか。

5着メイショウブレゲは後方待機から上がり最速をマークするも展開向かず。もともと直線坂ありコースはイマイチ成績がよくない馬でもある。

6着サンライズソレイユは格上挑戦ながら4角大外を果敢に動いて見せ場は作った。コースロスを加味すると0.4秒差なら悪くない。

7着マイネルケレリウスは一気の1600m延長でスローペースながら折り合いは問題なし。2周目4角は外を回さずに仕掛けを待ち、直線勝負に徹していい脚を使っている。これまでの好走歴は全て左回りであり、東京替わりに色気はある。

【チャレンジC】

馬場はやや外有利。アウスヴァールが逃げて前後半58.4-59.8のハイペースだった上に、バビット、ルペルカーリアともども4角で飲み込まれてインが渋滞。スムーズに外からマクり差してきた馬が有利だった。

5着セイウンハーデスは1年5か月の休養明けでも馬なりでスムーズに先行。4角先頭に立ち、差されはしたが先行勢で唯一掲示板を確保した。なかなか強い競馬をしている。

14着バビットはハイペース先行で玉砕。重賞では展開の利がないとツラい。ただ、昨年京都記念で3着に入ったように2200mは得意。

【チャンピオンズC】

トラックバイアス:フラット~やや内有利
展開:ミドルペース
12.6-11.0-12.4-12.2-12.6-12.4-12.2-12.0-12.7

土曜は外もそこそこ使えていた中京ダートだが、日曜はいわゆる中京らしい中京。内がベターだった。徹底逃げと思われたミトノオーが2番手妥協したのもあって1000m通過60.8秒。このレースとしては特段速くも遅くもない(ちなみに去年が60.9)。内目を立ち回った馬が恵まれたレースと評価する。

1着レモンポップは内枠から促してハナへ。向正面も12.2-12.6-12.4と大きくは緩めず、4角出口からスパートして後続を一時2~3馬身のリードをとる。最後はやはり脚が鈍ってウィルソンテソーロに迫られたが、なんとかハナ差しのぎきった。これで国内連対率100%のまま引退。マイル以下では圧倒的に強かったが、1800mのチャンピオンズCを連覇できたのは鞍上の腕も大きい。素晴らしいコンビ。お疲れ様でした。

2着ウィルソンテソーロは若干前につんのめるようなスタート。なんとか中団につけて内目で脚を溜める。3~4角は馬群が凝縮して身動きがとれず、直線入り口で川田騎手がセラフィックコールを軽く押すようにして進路確保。坂上で強烈な脚を使ったがハナ差及ばなかった。昨年とほぼ同じような展開で昨年と同じような結果。ミトノオーがもう少し積極的なら勝っていたと思うが……。無念。

3着ドゥラエレーデはスタートから全く先行する気なし。内ラチ沿い、後方3番手という今までと全く違うスタイルをとった。揉まれ弱いイメージがあったのだが今回は大丈夫で、直線も内ラチ沿いを通って3着まで伸びてきた。ムーアの発想に驚き。控える形をクリアしたのは大きな収穫。とはいえ今回は枠と立ち回りが有利だった側。レース単体の内容としてはさほど強調できない。

総じて見直したいのは外を回された方々。

5着ペプチドナイルも外3を回りながら、直線半ばまで見せ場は作った。最後の失速を見るに、今はもうマイルの方がいいかもしれない。フェブラリーSで見直す。

6着サンライズジパングは終始外々を回されたのが痛かった。力は見せた。ただ、現状は砂を被る競馬ができておらず、マイルという感じもない。適条件は「外をぶん回しても許される左回り1800~2000m」。来年のJBCが船橋開催なのは僥倖。

7着アーテルアストレアは後方待機から4角で大外を回す距離ロスあり。それで牡馬相手に0.5秒差なら大健闘。展開次第では出番も。

8着ペイシャエスは中団馬群の一角から。ペプチドナイルの後ろから追いすがるもジリジリと流れ込んだだけ。しぶといが決定打がない。

10着ミトノオーは2番手から進めて直線バテ。近くにいたレモンポップやペプチドナイルとの比較では完敗と言わざるを得ない。

12着セラフィックコールは外々を回ってバイアスに逆行した。もともと不器用な外マクり一手の馬で、中京コースは致命的に合わない。東京はいいが、しかしマイルは忙しいだろう。

15着ガイアフォースは8枠16番から際限なく外を回されて競馬にならなかった。昨年2着の東京ワンターンで一気に浮上する可能性はある。

9着グロリアムンディ、16着スレイマンも外を回りすぎ。

【中日新聞杯】

冬の中京開催2週目でまだトラックバイアスは内優勢。デシエルトが1000m通過58.8秒の締まったペースで逃げ、内で溜めた差しが有利な競馬だったと評価する。

2着ロードデルレイは終始外々を回る形で善戦した。ただ道中で少しリキむ場面があり、2200mへの距離延長が歓迎とはいえない。

3着マテンロウレオは中団のインを立ち回ってほぼ完璧な騎乗。左回りベター、右回りでは内ラチ沿いに頼る必要がある馬で、この条件替わりはマイナスの材料である。

5着キングズパレスはインの後方でじっと待機。外に回ったのは4角を出るところだけで、見た目ほどの距離ロスはない。ハイペースとはいえ残り3F地点で先頭より1.8秒後ろにおり、さすがに遠かったか。

6着コスモキュランダは外からマクって勝ちに行くも返り討ちに遭った形。実績を考えればそれでも掲示板くらいは確保してほしかったが……。得意の中山で反撃を期す。

9着エヒトは59キロを背負って強気に2番手先行。ハイペースが響いて坂上で苦しくなってしまった。この着順でもデシエルト以外の先行勢には先着している。

11着マコトヴェリーキーは外枠から道中は後方待機。そこまではよかったが、4角でロードデルレイのさらに外から追い上げてしまった。ロス大。ただ、ハンデ→別定替わりで斤量面の条件は悪化する。

13着マイネルメモリーも後方待機で道中は内を走行。直線入り口でフタをされて外に出せなかった。比較的展開は向いた側で、ハンデ差も考えれば上位馬には力負け。

【カペラS】

もともとハイペースになりやすいレースだが、今年は前後半32.5-37.6で例年以上に苛烈なペースだった。中山ダ1200mでこういう展開になると外追走勢も脚を削がれるため、イン溜めの差しが有利になる。

2着クロジシジョーは縦長になった馬群の中団で脚を溜め、距離ロスを抑えながら直線だけ外に出して追い込んだ。展開は向いた。3歳端午S以来の1400mがどうかだが、脚質的にある程度は対応してくるだろう。

12着スズカコテキタイはハイペースの後方で追走に苦労した。直線も目立つ伸びはなく、内容的な見所はない。ただ、今の追走力なら1400mに替わるのがプラスに出る可能性はある。

【阪神JF】

トラックバイアス:実質フラット(内の数頭分アウト)
展開:ハイペース
12.1-10.6-11.5-12.3-12.0-12.0-11.5-11.4

馬場は内から数頭分避けたところが伸びるが、各馬もう最内は使わないので枠の有利不利は結局なし。途中雨も降った荒れ馬場かつ前後半34.2-34.9のハイペースでスタミナが問われ、上位はいずれも1800mからの短縮馬が占めた。距離不安のない差し馬が恵まれたレースと評価する。

1着アルマヴェローチェ【条件噛み合う】
中団の外目を追走していたが、ペースが速く道中で少しポジションを下げる。直線は大外から脚を伸ばしてラスト11.5-11.4の加速ラップを差し切った。京都代替の荒れ馬場で1800m志向の馬が走りやすい条件となり、この馬に完全マッチした。桜花賞はまた阪神に替わる。問われる適性が変わるのは念頭に置きたい。

2着ビップデイジー【展開向く】
最内枠でダッシュは付かなかったが、鞍上がリカバーして中団馬群の内目を進む。直線入り口で前がバラけると右ムチを入れて大外まで持ち出す。最後はよく伸びたが、勝ち馬が一枚上手だった。これも展開と条件は向いた側。距離は延びてよく、桜花賞よりはオークスで楽しみ。

3着テリオスララ【やや早仕掛け】
内枠から積極的に出していって道中5番手付近を追走。直線入り口で前が空き、そこを突いて伸びた。差し勢が台頭する決着で、結果的には少し勝負が早かったか。内容は悪くない。

4着ショウナンザナドゥ【展開不利も粘る】
五分のスタートから促して外3へ。直線も外からジワジワと脚を使っているが、後ろから差されて4着。こういう持続力勝負が向く馬とはいえ、前は展開不利だった。負けて強し。

6着コートアリシアン【内突くも不発】
今回もスタートはゆっくり。引っかかるイメージで乗ったのだろうが、今日はむしろ進んでいかないくらい。4角~直線入り口にかけて1頭だけ状態の悪い最内を通り、それが響いたかいまひとつ脚を使えず。ただもう少しガツンと来てほしかった。トラックバイアスに逆行した部分を加味しても物足りず。東京と新潟でいい脚を使ってきただけに、阪神外回りで反撃の余地はある。

11着ランフォーヴァウ【直線不利】
中団外目を追走し、直線に向いていざスパートというところでアルマヴェローチェに前をカットされた。

16着ブラウンラチェット【馬体減って】
中団馬群の一角で進めたが、今日はかなり引っかかってしまった。直線に向いた時点でほぼ余力なし。最後は流してゴール。これまで2戦は緩いペースを先行して抜け出す競馬で、質が変わって対応できなかった。今日は関西圏への初輸送で-12キロの428キロでもあり、状態面も完全ではなかったか。馬体が戻ってスローペースの瞬発力勝負になれば再浮上あっていい。

【朝日杯FS】

トラックバイアス:内から2~3頭目有利
展開:スローペース
12.4-10.8-12.2-12.6-12.4-11.8-10.9-11.0

馬場は事前の想定と近く、この日も内から2~3車線目を回ってきた馬が活躍。直線イン突きはダメだが、外すぎてもイマイチだった。道中緩んでスローペースからの2ハロン戦。前に行った馬が恵まれたと評価する。

1着アドマイヤズーム【先行策から圧勝】
内枠からスタートを決めて2番手。逃げるダイシンラーから少し間合いをとってペースを上げないように運び、直線に向いてから満を持して追い出した。ラスト10.9-11.0で上がり最速、ミュージアムマイルらをむしろ突き放して圧勝。終わってみれば力が違った。強いの一言。

2着ミュージアムマイル【出遅れ挽回も】
出遅れてダッシュもつかず序盤は離れた後方。そこから内を押し上げてリカバーしていき勝ち馬の背後につけて直線へ。いざスパートをかけたものの、相手の伸びが鋭すぎて差を詰めることができなかった。3着以下は2馬身半離しており、これはこれで強い競馬をしたが……。相手が素晴らしかったことに尽きる。本質的には1800m以上ほしい。

3着ランスオブカオス【中団から脚使うも】
道中は中団馬群、内から2頭目という理想的な進路取りで運ぶ。直線は馬場の真ん中あたりを選択して伸び、3着まで浮上した。スローペースに差してきた点では好内容といえるが、上がりも1-2着馬の方が速い。上2頭とは実力差がある。

5着アルテヴェローチェ【展開向かず】
後方待機から直線は真ん中を突き、伸びてはいるが5着止まり。展開が向かなかった。ただし上がりでも1-3着馬には見劣っており、今回は上位3頭とそれ以外で能力差をハッキリ感じる決着ではあった。

7着ドラゴンブーストはやや出遅れ。外枠を利して向正面で徐々にポジションを上げていき、4角4番手で直線へ。そこから伸びずバテずで流れ込んだ。外を回りすぎた感はあるが、それを差し引いても特段いい内容とはいえない。

8着コスモストームは初芝。好位のイン、ちょうど勝ち馬の背後で進めたが、4角のペースアップでやや遅れて直線はジリジリと流れ込むだけになった。瞬発力勝負が合わなかった。

13着トータルクラリティ【重め影響か】
道中はやや行きたがる面を見せながらも、なんとか我慢して外3番手で直線へ。展開も進路取りも問題なかったと思うが、直線は全く伸びを見せず沈んだ。敗因が分からない。強いて言えば、休み明け+12キロで重めが影響した可能性はあるか。

14着エイシンワンド【外々回る】
スタートを決めて道中は中団の一角にいたが、引っかかるのを抑えて徐々に後退。4角13番手まで下がって大外をぶん回してきた。ロスが大きすぎ。着差が着差なのでいずれにせよ上位進出は厳しかっただろうが、立ち回り次第でもう少し上の着順はあった。距離も1400m以下がいい。

【阪神C】

開催の最終盤だが、直線以外は案外内も生きていた。前後半34.5-34.4は1400mのGⅡにしては遅く、どちらかといえば前有利の競馬だったと評価する。

3着オフトレイルはスワンSと同様に後方でじっと折り合い専念。直線は内外に大きく広がった馬群の間隙を縫って伸びてきた。一線級相手に上がり33.2秒で迫った内容は上々。引っかかるタイプでマイルへの再延長に一抹の不安はあるが、能力そのものは高い。

6着ソーダズリングはスタートから折り合いに専念してインの中団追走。直線もガラ空きの内を突いて脚を伸ばしてきた。着差はわずか0.3秒。1400mが合っている。

7着トゥラヴェスーラはいつもより前めの6番手集団インで運び、直線はマッドクールの後ろからしぶとく脚を伸ばした。衰え知らず。

9着アサカラキングは押して押してハナへ。直線半ばまで粘っていたが最後は脚が鈍った。そこまで無理なペースでもなく、今回は力負け。

10着ダノンスコーピオンは馬群の中を運び、直線は右にモタれるのを矯正しつつジワジワ伸びた。着順は大きいが着差は0.5秒。復調気配がないではないが……。

11着ダノンマッキンリーはスワンSと一転、ペースが遅かったことで道中折り合いを欠いた。その分直線の伸びもイマイチ。もっと流れてほしい。

12着シャンパンカラーは先団につけたが、追走にあまり余裕がなく、直線も伸びを見せずに流れ込んだだけ。そもそもNHKマイルC勝ちが道悪の外差し馬場でハマったものであり、古馬重賞では足りないかもしれない。

14着マテンロウオリオンは後方ポツンでレースに参加せず。上がり最速32.7秒を使っても全く届かなかった。ただ、現状どう乗っても結果が出ておらず、苦肉の策ではある。もっと前に行けばよかったというわけでもない。

15着モズメイメイは出遅れた。距離も合わず、展開も向かず、相手も強かった。

【有馬記念】

トラックバイアス:やや外有利
展開:スローぺースだが早仕掛け
6.8-11.7-12.9-12.4-12.4-13.3-12.4-12.0-11.3-11.4-11.6-11.5-12.1

この日の中山芝は有馬までに5戦行われ、マイル新馬を除く4戦で7-8枠が勝利。外からの押し上げが利くトラックバイアスだった。前後半62.8-57.9なので全体としてはスローだが、残り1000mから(風もあるとはいえ)11.3-11.4とペースアップが早く、そして急激過ぎた。中団で仕掛けを待ち、直線は外に出した差し馬が恵まれたレースと見る。

1着レガレイラ【先行策実る】
ゲートはいつも通りやや遅かったが、そこからリカバーしてなんとベラジオの後ろ。道中5~6番手を確保した。この競馬ができるとは正直驚いた。手応え抜群のまま直線に向き、ディープボンドが下がったところに進路もすんなり空いて、あとは鈍った前2頭を差すだけ。今年の不運が揺り戻すかのように全てが上手くいった。そもそも能力は高いので、ここまで上手に立ち回れれば納得の勝利ともいえる。
ホープフルSと今日の結果を見るに消耗戦の方が合うらしい。同血のアーバンシックと同じような経緯で、不器用な追い込み型ゆえに広いコース向きと見せかけ、適性的には上がりを要する内回り系コースがマッチする。ドバイより宝塚記念あたりが楽しみ。

2着シャフリヤール【ロンスパ合う】
大外枠から中団馬群の一角でレースを運ぶ。1周目はやや行きたがったが許容範囲。道中で少しだけポジションを上げて前を射程に入れ、直線は外からよく脚を伸ばした。Cデムのナイスプレー。ラスト5Fのロングスパートはダービーを勝ったときと同じで自身の得意分野。トラックバイアスとスローペースのおかげで大外枠も例年ほど不利にならなかった。6歳12月でこの走り、頭が下がる。

3着ダノンデサイル【仕掛け早い】
ベラジオを行かせてイン3を想定していたが、横山典弘騎手の選択は逃げ。自分でペースを掌握することだった。序盤ゆっくり入って1000m通過62.8秒。ここまでは理想的だが、残り1000mから11.3-11.4-11.6-11.5-12.1。L5にこの急加速を入れたら苦しくなる。最後鈍ったところを差された。結果から言えばもうワンテンポ待つべきだっただろう。
自発的にペースを上げたのか、ディープボンドのプレッシャーによるものかは判断できず、騎乗の是非はなんともいえない。馬自身は展開不利、トラックバイアスやや不利のなかでよく踏ん張った3着。馬はよく頑張っているよ。

4着ベラジオオペラ【仕掛け早い】
スタート直後は積極的に出していったが、内からダノンが行くと2番手で妥協。500m延長でスローペースながら全く折り合いに苦労しなかった。さすがの操縦性。前半はよかったが、ダノンのところでも述べた通り、残り1000mからの11.3-11.4が速すぎた。直線半ばまで粘っていたが最後は力尽きた。
戦前と評価は変わらず、非常に器用でなんでもできる反面、飛び抜けた能力や武器を欠く。GⅠでは展開か馬場の助けが要る。パワプロでいうオールCのユーティリティプレイヤー。ソフトバンクの栗原みたいな感じ。適鞍は中山記念や大阪杯あたり。

6着アーバンシック【出遅れて形悪く】
ゲートが開くワンテンポ前に突進して出遅れ。内から挽回して一応中団には付けたが、外に出せない絶望的な形だった。下がってきたスターズオンアースをパスして4角~直線もやや不利な内目をジワジワ伸びたが6着止まり。いい立ち回りができなかった。ただし自分の内からジャスティンパレスにも差されたし、近2走に恵まれた部分があっただけに、現状は古馬一線級との比較だとこのくらいなのかもしれない。

7着ローシャムパーク【折り合い欠く】
後方のインで待機。懸念通り折り合いを欠いた。2周目向正面でも口を割るほど引っかかり、結局リキんだまま勝負所を迎え、直線は外から脚を使ってジャスティンパレスとアーバンシックに並んだところがゴール。もう少し折り合えていればもっと弾けただろう。端的に言えば距離が長い。ただ、毎日王冠のような切れ味勝負もまた苦手なので、好走可能な条件は狭い。1800~2000mの内回り系か、もう少しハイペースのレースで浮上する。

【ホープフルS】

トラックバイアス:フラット~やや内有利
展開:スローペース
12.6-11.1-12.3-12.7-12.7-12.0-11.6-11.7-11.9-11.9

中山芝は有馬記念の日から一変、フラットかややイン優勢のトラックバイアスに。ハナ候補と見たアスクシュタインが行く気なし&序盤挟まれたこともあり、ジュンアサヒソラ単騎で前後半61.4-59.1のややスローペース。ファウストラーゼンがマクって先頭はL4に11.6を踏んだが、3番手以下は深追いせず実質3F戦。内前有利な一戦だったと評価する。

1着クロワデュノール【完勝】
スタートを決めると北村騎手は最初から内に入れる気なし。向正面で外に持ち出し進路確保、そこから徐々に進出すると、直線も余力ありげに抜け出して完勝だった。徹頭徹尾危なげなく、初コースやこれまでと質の違うラップも全く問題にしなかった。文句なしのダービー最有力候補。

2着ジョバンニ【内を回って】
今回もスタートはあまり速くなかったが、前に入って来る馬が意外と少なく、内目の7番手というポジションをとれた。4角~直線入り口で前もバラけてスムーズに進路確保。勝ち馬は遠かったが2着には浮上した。今回は展開と馬場に恵まれた面がある。

3着ファウストラーゼン【マクり成功】
最初の直線で両隣から挟まれる不利があって前半は後方待機。スローペースの向正面で一気にマクり、その区間も11.6とそこまでペースを上げずにハナを取り切れた。直線に向くまでに作ったポジションの差を生かして粘り込み3着。今日は騎乗が上手くいった。ブリンカーも効いた。

6着アスクシュタイン【展開不向きも】
こちらもスタートでかなりゴチャつき、道中は内目の10番手で運ぶ。3~4コーナーでは加速がつかず、出口で外に膨れ、直線は今度右にササるなど粗いレースになったが、差し勢の中ではよく伸びていた。

7着ジェットマグナムは内枠からスタート決まって2番手へ。ファウストラーゼンがマクって来ると抵抗せずに引き、内目を立ち回って直線に向いた。展開も馬場も生かして上手に乗っている。伸び負けたのは現状の力差。

9着デルアヴァー【展開向かず】
スタートが遅いのはいつものことで、ほぼ最後方からのレース。その後も馬群の中で位置取りを上げられず、直線に向いた時点でノーチャンスの位置だった。外後方からジワジワと脚は使ったが……。展開にもトラックバイアスにも逆行した。もっと距離が延びた方がいいかもしれない。

10着ショウナンマクベスはインの3番手を追走。そのまま経済コースを通って展開にもトラックバイアスにも恵まれたが、最後は脚が止まった。現状GⅠでは力が足りなかった。

11着マスカレードボール【適性外も負けすぎ】
道中は後方。3~4角のペースアップにイマイチ反応できず、直線に向くところで他馬が膨れてくる不利も受けた。ゴール前でようやく加速してきたが時すでに遅し。懸念されていた右回り1周競馬への不安がモロに出てしまった。ただ、それにしても上位とは差があり、ピコチャンブラックの凡走含めアイビーS組は数字の割にその後振るわない。評価を下方修正。

【東京大賞典】

トラックバイアス:内有利
展開:スローペース
12.5-11.7-12.6-13.1-13.1-12.4-12.9-12.8-11.8-12.0

馬場は明確に内有利。逃げ候補の片方だったデルマがスタート後接触で先行すらできず、後方ままで沈没。それを尻目にクラウンプライドの単騎逃げで前後半63.0-61.9の緩い流れだった。顕著にイン前有利の競馬と評価する。

1着フォーエバーヤング【デキ8分でも】
好スタートから馬なりでスローの2番手を確保。一番強い馬が展開も味方につけて、こうなれば負けようがない。直線はラスト11.8-12.0のラップで抜け出した。坂井騎手、矢作師のコメントによるとデキが万全ではなかったようだが、それでも勝ってしまうほど国内のダート路線では抜けた存在ということ。サウジCやドバイWCでも好勝負だろう。

2着ウィルソンテソーロ【安定感立派】
スタートから内に入れる気がなく、フォーエバーヤングの背後をマークする形を選択。直線もスムーズに進路が空いたが、ラスト2Fこのラップでは差しようがない。今日の馬場とペースならハナに行った方が際どかった感も。

相変わらず何でもできる安定感は立派だが、よくも悪くも条件問わず同じくらい走るので、常に人気を背負う。馬券的には案外狙い時が難しい。

3着ラムジェット【トラックバイアス味方】
JRAのジョッキーで内ラチ沿いを取りに行ったのはクラウンプライドの横山武史騎手とラムジェットの三浦騎手だけ。内をスルスルと進出してトラックバイアス&展開を味方につけ、直線も内を突いて完璧に乗った。この形でウィルソンテソーロに差されたあたりは現状の実力差。次走は過信禁物。

4着ウシュバテソーロ【展開向かずだが】
道中は後方待機。4角で外を回るトラックバイアス不利、スローペース前残りで展開の不利もあった。ただ、上がりのタイムだけで見ても上位3頭より0.5~0.7秒ほど見劣る。昨年に比べると能力の減衰は否めない。

6着デルマソトガケ【競馬にならず】
左に跳ぶようにゲートを出てしまい、サヨノネイチヤと強く接触。その時点で鞍上に先行する意思がなく、しかも内にも潜らなかった。この馬場とこの相手で内から3車線目、スローの後方では全くのノーチャンス。競馬にならなかった。3角の進入では外のグランデマーレと接触して本村騎手が落馬寸前になっており、そういう意味でも騎乗としていただけない。

ただ、それにしても上位との着差は決定的で、メンタル的な問題があるのかも。一応次走注目にはするが、アテにはならない面も。

7着クラウンプライド【スランプ突入】
内有利の馬場、スローペースの恩恵を最大限受けたのは当然この馬。それでいて直線は全くファイトできず、チグハグな騎乗だったデルマソトガケにすら差されてしまった。昨年もコリアC遠征後なにかが崩れてしまったが、今年も同じような道を辿っている。しばらく手を出せない。

2024年11月

【アルゼンチン共和国杯】

トラックバイアス:フラット~やや外有利
展開:ハイペース
7.5-10.8-11.3-12.2-12.1-11.8-11.6-11.7-11.8-12.1-12.3-11.8-12.0

馬場は大きなバイアスなく、直線は外に出した方が多少伸びるか、という程度のコンディション。ジャンカズマとアドマイヤビルゴの先行争いが思いのほかこじれて1000m通過59.8秒、さらに向正面で11秒台を4連発するキツいペースの消耗戦になった。道中じっくり溜めて直線外を選んだ差し追い込み勢が有利な競馬と評価する。

1着ハヤヤッコは最後方待機。そのままじっと脚を溜め、4角の出口で大外まで持ち出して直線に賭けた。しぶとく伸びて前との差を詰め、ゴール前でクロミナンスを捕まえた。消耗戦とトラックバイアスが完璧にハマった。とはいえ8歳にして58.5キロを背負って勝つのは立派。今後も上がりのかかる差し競馬では出番があっていい。ただ、斤量的に番組選びが難しくなった。

2着クロミナンスは中団追走。内枠から外に進路を求めていき、向正面で自分の外に馬がいない形を作った。直線もスムーズに外へ持ち出し、しっかり伸びてきたが、結果的には先頭に立つのがワンテンポだけ早かった。条件戦時代に32秒台のキレッキレの上がりを使えていた馬が、こういうタフな展開でも大崩れしないのは偉い。GⅠに混ざるとどうかだが、2200~2500mのGⅡ戦線では今後も安定して走るだろう。

3着タイセイフェリークも中団の外でじっくりと溜め、直線は外から伸ばす競馬。今回は展開、トラックバイアス、そしてハンデが噛み合ったものであり、着順通りの評価とはいかない。

6着セレシオンは前走で全く行き脚が付かなかったことを踏まえてか、スタートから促し7番手を確保。直線も外から頑張ってはいたが、結果から言えば位置を取りに行ったのが裏目となった。

8着サヴォーナは先行策を試みたが、ペースが速かったのもあり6~7番手まで。4角から直線にかけてはインアウトでスムーズに捌けたが、もっと後ろ、もっと外の馬が有利な決着に泣いた。ここ数走どうも噛み合わない。ただ、その不利を跳ね除けるほどは地力がないとも言える。

9着マイネルウィルトスは1~2コーナーで外から押し上げて6番手まで浮上。スタミナを生かしたいタイプなので頷ける判断だが、今回はペースがシビアすぎた。昨年同様ステイヤーズS出走なら見直したい。

総じて競りすぎた先行勢は11-15着に揃って沈んだ。中でも14着ショウナンバシットはハンデ58キロでもあったし、根本的に大箱の東京が合うタイプでもない。内回り系の2000~2600mなら相手次第で巻き返しがあるだろう。

【みやこS】

前日の雨の影響が残って重馬場。時計は速かったが、内外の大きなバイアスは感じなかった。レースは1000m通過60.3秒から次の区間11.9が入るハイペースかつ早仕掛けの展開。前に行った馬は苦しく、差し有利の展開だったと評価する。

1着サンライズジパングはそんな流れを大外からマクっていった。4角では大外を回って膨れる場面もありながら、そのままねじ伏せて暴力的な勝ち方。力が違った。

5着ミッキーヌチバナはインの後方でじっくり溜めた。4角で一瞬狭くなったが全体的に展開は向いた側。勝ち馬から0.9秒離された5着で完敗と言わざるを得ない。

10着オメガギネスはスタートが決まらなかった。サンライズジパングの後ろをマークするように4角を回ったが、直線は完全にスタミナ切れ。タフな流れの1800mだと気持ち長いか。

11着ドゥラエレーデは最内枠からイン3で運ぶもズルズル後退。揉まれたのがよくなかった……と当初思っていたが、チャンピオンズCの好走で逆に敗因が分からなくなった。総じて先行不利のレースではあったが。

12着ロコポルティは後方待機から外々を回るロスあり。とはいえオメガギネスやドゥラエレーデよりさらに7馬身離されており、さすがに負けすぎ。

【JBCスプリント】

佐賀競馬場らしく基本的には外が伸びるトラックバイアス。前後半36.2-38.0(※訂正後の発表)で平均~やや速いくらいの流れだが、上位には差し馬が台頭した。

1着タガノビューティーは中団待機から向正面で強気に動き、そのまま外からマクり気味に押し切った。以前は大箱向きの追い込み馬というキャラクターだったが、最近は意外と小回りもこなしている。むしろ、東京の速すぎる上がりに対応できなくなってきた可能性に注意したい。

【エリザベス女王杯】

トラックバイアス:ほぼ内外フラット
展開:ミドルペース
12.5-10.6-12.1-12.2-12.2-12.5-12.6-12.0-11.7-11.1-11.6

馬場はフタを開けてみれば意外に内も生きていて、おおむねフラットと判定する。戦前の想定通りコンクシェルが逃げ、1000m通過59.6秒の平均ペース。淡々と12秒台中盤を並べ、ラスト4Fから徐々にピッチの上がる京都外回りらしいラップ構成だった。直線で複数の馬が接触する事象はあったが、それを除くと展開的に大きなバイアスはない決着だったと評価する。

1着スタニングローズは好スタートから先行。4番手集団の外目で運び、下り坂を利して徐々にペースアップ。直線入り口で一気に仕掛け、セーフティリードを取りに行った。後述する他馬の不利もあり追ってくる馬はおらず、そのまま押し切りに成功した。

結果的に近2走は距離不足だったようで、2200mで久々に本領を発揮した。ただ、大前提としてメンバーレベルが微妙だったことは留意したい。

2着ラヴェルは中団の外を追走。こちらも直線入り口で外へ持ち出し、右にモタれるのを矯正しながら追われて伸びた。長めの距離、瞬発力を求められない競馬がやはり合う。

3着ホールネスは好位のイン追走からスタニングローズを見るように進路を確保し、直線もジリジリと伸びてきた。しぶとい。時計のかかる馬場ならもっとパフォーマンスを上げるだろう。

5着レガレイラは中団追走から直線内目を抜けようとしたが、シンティレーションとハーパーの間の狭いスペースに突っ込み、コンクシェルがヨレた影響もあって激しく接触した。そこからもう一度ファイトするには至らず。また不完全燃焼に終わった。ダービーからずっと運がない。

7着サリエラは後方待機から外を回して上がり最速33.9秒で追い込んだ。前走の負け方が不可解だったが、やはり気性的に伸び伸び走らせてあげた方がいいのかも。クラブの5歳牝馬であと何戦するかは不明だが、今後の取り扱いは枠順に注意したい。

8着ゴールドエクリプスは中団外を追走し、ラヴェルを追う形でジワジワと脚を使っていた。引き続き得意の平坦コースで軽ハンデなら浮上の目はある。

9着コスタボニータはレース前から発汗が目立ち、ややテンションが高かった。それを考慮してかスタートから全く鞍上が促さず、6番手集団の外をただ回ってきただけになった。直線は今日も伸びそうで伸びず、止まりそうで大きくも止まらず、3着からは0.3秒差。もう少し積極的に乗ってほしかったが……。

10着シンティレーションはインで溜め、直線も内からいざ伸びようとしたところ、コンクシェルがヨレてきて、内からレガレイラにもぶつけられて急ブレーキをかけた。不利が致命的だった。見直し可能。ただ、それを踏まえても2200mが若干長いような止まり方はしている。理想は府中牝馬Sのような高速馬場の1800mだろう。

11着キミノナハマリアはスタートで躓いた。最後まで止まってはいないがジワジワと後退。良馬場のGⅠでは現状このくらいが精一杯。

12着エリカヴィータは後方追走からわずかに伸びるも前に迫るほどではなかった。

16着コンクシェルは強気に逃げるも距離が長かったか。直線は右にヨレて他馬に迷惑もかけてしまった。短縮はいいが、2000mでも1ハロン長いとは思う。

【武蔵野S】

トラックバイアスはフラットかやや外伸びくらい。ドルチェモアが行ってとにかくペースが速く、前後半33.8-37.1。シンプルな外差し有利の競馬だったと評価する。

1着エンペラーワケアは(ダートでは)初のマイル戦。ハイペースを先行してスタミナを問われる競馬になり、飛んでもおかしくない条件で勝ち切った。このメンバーではまるで力が違ったという芸当。ただ、2着以下の馬がその後のレースで振るっておらず、レースレベル自体が微妙だった可能性は残る。ちなみに根岸S勝ち馬コスタノヴァには欅Sで一度負けている。

2着カズペトシーンは外枠から後方に構え、直線はフルに末脚を発揮。馬場と展開の恩恵があった。中京でも連勝しているが、脚質的には東京マイルの方が戦いやすい。

3着ペリエールは中団待機から直線はスムーズに外へ持ち出し、仕掛けもワンテンポ待って上手に乗られた。現状のベストは出したが勝ち馬が強かった。

4着ペイシャエスは離れた4番手追走から直線入り口で一時先頭の場面を作った。展開不利の中でよく頑張ってはいるが、勝ち馬とは少し差を感じる。

5着サンライズホークは8枠14番から好位の外目を気分よく走行。直線はペイシャエスに襲い掛かったが、差し切るどころか先に脚が鈍った。理想は1400mで、マイルのハイペースだとスタミナに不安あり。

8着タマモロックも序盤は差しに構えていたが、道中動かして徐々に上がっていったのが裏目。最後は脚が止まった。じっとしていればもう少し上の着順はあっただろう。

9着ビヨンドザファザーはシンガリから運んで4角も内を捌き、直線はジワジワ伸びてきたが前を脅かすほどの勢いはなかった。完敗。

13着メイショウテンスイは先頭から3馬身ほど離れた2番手を追走していたが、それでも前半3Fは推定34秒台中盤でペースが速かった。とはいえ2.7秒も離され、評価できるポイントはない。そもそも冬はあまり走らないタイプでもある。

【福島記念】

馬場はほぼフラットかやや内有利。大きな先行争いもなかったがペースは前後半59.5-61.2の前傾で、しかも残り1000mから12.0-12.0-12.2-12.4-12.6と若干早仕掛け。差し有利の展開だったと評価する。

2着フェアエールングはインの中団でじっと脚を溜め、直線も内目から食らいついた。展開利とハンデ52キロの有利があったもので鵜呑みにはできない。

6着エンパイアウエストはイン5でロスなく立ち回ったが、直線は目立つ脚を使えなかった。

【東スポ杯2歳S】

馬場はCコース替わり初日でフラット~やや内有利。1000m通過60.9秒で入り、上がり3F33.4秒のスローペース。前に行った馬が有利なレースだったと評価する。

2着サトノシャイニングは序盤2番手で抑えようとしていたが、結局押し出されるようにしてハナへ。直線400mあたりで追い出し、クロワデュノールに抵抗はしたが最後は競り負けた。展開に恵まれた側だし、休み明け+24キロの勝ち馬に対しては完敗と言わざるを得ない。

3着レッドキングリーは好発から抑えて2番手。スロー先行で展開に恵まれたともいえるし、前2頭にはキレ負けしたともいえる。勝ち馬クロワデュノールはホープフルSを勝ち、2着サトノシャイニングもきさらぎ賞を3馬身差で勝った。レースレベルが高い。

【マイルCS】

トラックバイアス:外有利
展開:ハイペース
12.2-10.6-11.0-11.9-11.8-11.6-11.4-11.5

傾向の読みにくかった京都芝だが、結局外回りは普通に外伸びだった。ペースが思いのほか流れて前後半45.7-46.3の前傾ラップ。テン3F33.8秒は前総崩れの去年よりさらに速かった。シンプルに外差し勢が恵まれたレースだったと評価する。

1着ソウルラッシュは中団待機。4角バラけたところで外目に持ち出し、キッチリ脚を使って抜け出した。瞬発力勝負より総合力が問われる流れに強いのは事前の見立て通りで、今回は勝つべくして勝った。6歳にしてパワーアップした馬、完璧にエスコートした団野騎手にあっぱれ。

2着エルトンバローズは好スタート。近走は先行してきたが、ペースを悟ってか中団に控えた。4角~直線も伸びるラインを通し、内にモタれるのを修正しながら脚を使った。自身の上がりは34.2秒。こういう速い上がりが要らない展開でこその馬。来年も安田記念で敬遠してマイルCSで見直すイメージ。

3着ウインマーベルは枠なり、馬なりで好位の外目を追走。直線に向いて真っ先に仕掛け、一時先頭の場面を作った。ハイペースもあって最後は鈍ったが、エルトンバローズとはクビ差の3着。負けて強し。この走りができるなら今の適性は1400~1600mだろう。状態キープで使えるなら阪神Cも有力。

4着ブレイディヴェーグは内枠から早々に内を捨て、直線も馬場の真ん中あたりを丁寧に捌いてきた。枠の不利をリカバーする好騎乗だが、今日はここまで。マイルもこなすが1800mの方がベター。

8着ニホンピロキーフは2番手追走から0.7秒差。他の先行馬がほとんど崩れる展開を思えば大健闘といっていい。平坦のマイルが理想で、なんなら1400mでもいいかもしれない。

10着ジュンブロッサムは出遅れ。直線はイチかバチか内を突いたが、残念そこは伸びない。とはいえ2着争いからは0.3秒差であり、そこまで離されてもいない。こちらは瞬発力に特化したタイプなので、マイルCSよりは安田記念向きだろう。

13着バルサムノートはハイペース逃げ、そして直線はやはり右にモタれて競馬にならなかった。左回り専用。

14着マテンロウスカイはスタートがイマイチで、促しても道中は後方から4~6番手あたりでの追走。直線は外に持ち出して展開とトラックバイアスは向いたが、特に伸びを見せなかった。現状、マイルの一線級相手では力不足か。

17着ナミュールはハイペースの向正面で内目をどんどん追い上げていき、直線半ばでは既に余力なし。最後あまりにも止まったのでアクシデントの可能性もあるが、そうでなくても今日は馬場と展開に逆行しすぎた。+14キロで少し太かった部分もあるか。見直しの余地はあるが、クラブの5歳牝馬でもう引退は近い。買うタイミングはないかもしれない。

【浦和記念】

トラックバイアス:フラット~やや内有利
展開:スローペース
12.4-11.5-13.3-13.2-13.1-13.0-12.9-12.0-12.6-12.0

雨の影響か火曜よりマシにはなったが、引き続き外差しはあまり届かない馬場。メイショウフンジンが思いのほかダッシュよくハナに立ち、前後半63.5-62.5。ラスト4Fいずれも12秒台が刻まれたように、このクラスにしては緩い流れだった。内前で運んだ馬が恵まれたレースと評価する。

1着アウトレンジは無理に逃げようとせず3番手から。序盤砂を被ったところで若干イヤがったようにも見えたが、外に切り返したあとは終始手応えがよかった。2周目4角で先頭に立ち、直線は後続を突き放す一方。ラスト1F12.0は強烈な数字で、まるでモノが違った。JpnⅠでも出番がある馬。

2着ライトウォーリアはスタートから出していったが、ハナを取り切れないと見るや控えてインに潜った。砂を被ってどうかと思ったが特に問題なく、2周目3~4角は内を捌いてスムーズに直線へ。ただ、勝ち馬が強すぎた。58キロを背負ってよく頑張っている。あと吉原騎手はつくづく上手い。

3着メイショウフンジンは出ムチを3発ほど入れてハナへ。行き切れればしぶといのは周知の通りで、今日は存分に持ち味を生かした。ただし馬場や展開に恵まれた割に直線を待たず2番手に後退しており、勝ち馬とは明確な力の差を感じる。

4着ディクテオンは中団から。2周目向正面から外を回って追い上げる形になったが、今開催の浦和ではそれが利かない。厳しい競馬になった。それでもメイショウフンジンとはクビ差で、進路取りの差を考えれば2着ライトウォーリアと同等以上の評価が妥当だろう。小回りもこなすが、脚質的には大井の方が戦いやすい。東京大賞典なら穴で一考。

5着ナニハサテオキはゲートが決まらず。多少の出負けは織り込んでいたのだが、スリーヘリオス、ディアセオリーより後ろになったのはさすがに誤算で痛恨。メイショウフンジンの後ろの車線にサヨノグローリー、ディアセオリー、スリーヘリオスと並んでしまい、こうなると内は諦めるしかない。ディクテオンより後ろかつ外では無理。むしろこの形で対ディクテオン2馬身差は誇っていい。今後も南関重賞なら主役を張っていくだろうし、交流重賞も展開次第では足りる。

【京阪杯】

この日の京都芝は前日の傾向がウソのように内が復活した。ウインカーネリアンが逃げて前後半33.7-34.0は古馬重賞としては緩く、イン前で立ち回った馬が有利な競馬と評価する。

1着ビッグシーザーはインの3番手でレースを運び、直線入り口でスムーズに外へ。馬場の五分どころを伸びてゴール前でウインカーネリアンを捕らえた。枠順と展開の恩恵があった。

2着ウインカーネリアンもスプリント重賞としては楽なペースで逃げることができ、力を出し切った。このレース単体では展開に恵まれた側だが、もとも重賞2勝&高松宮記念4着の実績があり、能力に疑いがつくものではない。

4着プルパレイはイン中団追走から直線も前がスムーズに空いたものの、上位2頭からは少し離された。現状、重賞だとここが天井か。

10着グランテストは外々を回ってロスの大きい競馬になった。参考外でいい。

【ジャパンC】

トラックバイアス:内外フラット
展開:超スローペース
12.7-11.4-13.0-12.9-12.2-12.3-12.5-12.6-12.5-11.5-10.8-11.1

外差しの競馬もあり、直前はタッチウッドが逃げ切り、馬場に大きなバイアスはなし。逃げ馬不在の前評判通りシンエンペラーがゆっくり逃げ、途中からドゥレッツァがハナを奪って1000m通過62.2秒。その後も残り600mまでペースが上がらず、GⅠにしては超のつくスローペースだった。前にいた馬が強く恵まれたレースと評価する。

1着ドウデュースは五分のゲートから抑えて最後方まで下げる。外から被される憂い初角でもうなくした。ここがユタカさん最初のファインプレー。4角も手綱を抑えたままジワジワと前との間合いを詰めていき、残り400mでエンジン点火。ドゥレッツァにも余力があった分粘られたが、クビ差しっかり出て連勝した。上がりは32.7秒、秋天に続き前有利の展開を力の違いで一蹴した。怪物。昨年までも一流だったが、ここに来てまた格段にレベルアップ。有馬記念も持っていくだろう。

2着同着シンエンペラーは坂井騎手らしく逃げの手に出た。おそらく「スローに落としてドウデュースにラクをさせない」が先行した騎手たちの共通認識で、2番手ソールオリエンス横山武、3番手スターズオンアース川田ともどもガッチリ手綱を抑えた。向正面でドゥレッツァが動いても抵抗せずイン3に引く。直線は内からしぶとく脚を使い続け、ゴール前はドウデュースより勢いがあった。陣営の言う通り左回りだとパフォーマンスが高い。ただ、今回に関してはスローで展開に恵まれた部分が大きい。

2着同着ドゥレッツァは半歩出負け、隣のカラテがスタートを決めたことで挟まれ気味になり、位置をとれなかった。が、そこからのビュイックの対処が神がかり的。スターズオンアースを行かせたうえで外へ切り返し、5番手集団で機を伺いつつ、向正面で馬を刺激しないままジワリと先頭を奪った。直線ヨーイドンに持ち込んだのもこの馬の武器と勝ち馬の実力をよく理解した最高の選択。結果だけが足りなかった。今回以上に上手くいく競馬はそうない。馬券的にはしばらく手を出しにくい。

4着チェルヴィニアは折り合いに気をつけながらで、強く出していけなかった。ソールオリエンスの後ろに潜ったことでビュイックとは対照的に向正面で一列下がり、直線は前の馬と同じような脚しか使えなかった。ここ2走はハイペースで強さを見せたハービンジャー産駒。ここまでの瞬発力勝負だと若干適性からズレるか。

5着ジャスティンパレスは一歩目しっかり出たが、その後は促してもイマイチ進まず。チェルヴィニアの後ろを取りに行くつもりがダノンの後ろになり、そこを避けて最内に潜り直した。スローの馬群で仕掛けを待たされ、直線に向いてドウデュースの後ろから進路を確保したが、まあ瞬時に動ける馬ではない。ラスト200mくらいの脚は目立っていた。展開不利がすぎる。ここ数走は不完全燃焼の負け方ばかり。有馬記念は中山適性という部分で微妙だが、来年も現役続行で春天路線に出てくれば勝機はある。

10着シュトルーヴェはいつにもまして出脚が鈍かった。スローペースのイン最後方になり、直線も狭いところを捌いて脚を使ったが、展開的にどうしようもない。GⅠだとやや劣勢の感はあるが、GⅡに戻れば見直せる。

14着ソールオリエンスはスローペースの好位でレースを進めていたが、直線に向いた時点で手応え劣勢。その後は左にモタれるような面も見せて後退していった。何かアクシデントを疑いたくなるような大敗。

2024年10月

【ジャパンダートクラシック】

トラックバイアス︰フラット〜やや外有利
展開︰ミドルペース
 12.2-11.5-12.0-13.2-12.7-12.0-12.3-13.3-12.2-12.7

内外の大きなバイアスはないが、外追走、外差しが割とよく来ていた1日。戦前の予想通りカシマエスパーダが逃げ、内枠からフォーエバーヤングが外2を確保した。前後半61.6-62.2のほぼ平均ペースだが、向正面ラムジェットが動いて12.0が入り、勝ち馬以外は苦しくなった。どちらかといえば溜めて外から差してきた馬が恵まれたと評価する。

1着フォーエバーヤングはスタートでやや躓いたが、二の脚自体はついて先行。外からサンライズジパングに被されそうになったところを多少押圧して外2へ切り返した。ここがファインプレー。直線は他の先行馬が止まっていく中、12.2-12.7の伸び脚で抜け出し、2着に1.1/4馬身、3着以下はさらに5馬身離した。強いの一言。アメリカでも頑張ってくれるでしょう。

2着ミッキーファイトはやや出負け。ただ結果的にはそれが功を奏し、馬群が切れたあたりでロスなく脚を溜めることができた。直線はトラックバイアスに沿って外から伸び、唯一フォーエバーヤングに食らいついた。勝ち馬には完敗だが、これもいい走りはしている。そもそもフォーエバーヤング抜きにしてもレースレベルはかなり高い。

3着サンライズジパングは3番手から。フォーエバーヤングに挑み敗れたものの、外からマクってきたラムジェットは地力で振り切った。ダートなら世代トップクラスの能力がある。

4着ラムジェットはやはりダッシュが付かず。三浦騎手がなんとか初角までに外へ出し、向正面残り1200~1000m区間で押し上げて外4を回ってきた。こうするしかない馬だが、今までより相手も強かった分、さすがに苦しくなった。外枠が欲しい。

5着シンメデージーは展開と馬場を味方に地方最先着。この好メンバー相手の掲示板確保は立派。今後も高知の雄として全国を股にかけて活躍していくだろう。交流重賞でも通用する。

6着カシマエスパーダは展開的にも馬場的にもちょっと不利な逃げになった。距離は1800mの方がベターと見る。

7着サントノーレはフォーエバーヤングの後ろをマークするように運んで真っ向勝負。直線入り口では一瞬3番手に上がっていたが、ラスト200mでぱったり止まった。以前からしばしば書いてきたように、母が1200~1400mで活躍したリンガスウーノという血統でもあり、2000mもちょっと長いように映る。理想はマイルではないか。

【毎日王冠】

トラックバイアス:フラット~やや外有利
展開:スローペース
12.7-11.0-11.6-12.2-11.9-12.0-11.3-11.0-11.4

開幕週らしく時計の出る馬場で、もちろん内がダメではないが、外もある程度許容するトラックバイアスだった。ヤマニンサルバムが行けず、マテンロウスカイも行く気なし。ホウオウビスケッツの逃げであっさり隊列が決まった。前後半59.4-57.6のスローペース、レース上がり3F33.7秒では後方勢はお手上げ。差しようがない。外目を先行した馬が有利な競馬だったと評価する。

1着シックスペンスは好スタートから抑えて4番手。エルトンバローズの後ろで直線に向くと、やや加速に手間取りながらも残り100mでぐっと伸びて差し切った。今回は展開と馬場を味方につけたルメール騎手の好騎乗。新馬戦、スプリングS、そして今回とスローペースを先行する形の勝ち方が続いており、タフなレースになったときの走りは依然として未知。過信はしたくない。

2着ホウオウビスケッツはスローに持ち込みつつ、道中もL5に11.9を入れるなど極度の瞬発力勝負にもならないよう組み立てた。岩田騎手がお見事。展開の恩恵は大いにあった。

3着エルトンバローズは2番手追走からホウオウビスケッツをかわせず、シックスペンスに差された。物足りなさを感じる負け方。そもそも脚力というよりレースセンスを含めた総合力で勝負するタイプなので、もっと器用さが生きるコースの方が合う。ペースも流れてほしい。

7着ヨーホーレイクは中団やや前目を追走して、直線の追い比べでわずかに遅れた。上がり33.4秒でも自身のベストは更新しており、1800mの切れ味勝負は分が悪かった。2000mの1周競馬がベター。

8着マテンロウスカイは先行する気を見せず中団から。直線は内を狙うも進路がなく、ほとんど追えないまま入線した。今日は大失敗。ノーカウント。

10着ローシャムパークはやや後方から。スローペースもあって道中は行きたがるのを抑えながらの競馬だった。直線は伸びを欠いたように見えたが、それでも上がり33.3秒。むらさき賞の時にマークした自己ベストとタイの脚は使った。今回は展開が向かなかったことに尽きる。天皇賞(秋)なら穴候補として狙ってみたい。

【秋華賞】

トラックバイアス:内外フラット
展開:ハイペース
12.3-10.7-11.5-11.3-11.3-11.7-11.6-12.2-12.7-11.8

少頭数戦が多くて判別しにくかったのもあるが、これといったトラックバイアスはなし。セキトバイーストが大逃げの奇策に出て1000m通過57.1秒。離れた3番手集団でも59.4~59.5秒くらいでやや速かった。差し有利の競馬だったと評価する。

1着チェルヴィニアは好スタートから中団馬群で折り合いをつける。4角までランスオブクイーンにフタをされていて、外に出さずに馬群を捌く形を選択。やはり右にモタれていたが、ルメール騎手がバランスをとりながらスムーズに脚を使わせた。勝ち時計1:57.1も過去10年だとショウナンパンドラ、ミッキークイーンに次ぐ記録で、能力の高さを改めて感じる。右回りでも十分強いが、やはり左回りがベターではありそう。

2着ボンドガールは今日もスタートから抑える競馬に徹した。行きたがってはいたが、ここ2戦の教育効果とハイペースもあって我慢できた。クイーンズウォークが動いてもじっと我慢し、直線330mだけに賭け、作戦実って追い込み2着。武豊騎手がお見事。今回はなんとか2000mまで対応させたが、本領発揮がマイルという見解は変わらない。マイルならGⅠを勝てる器。

3着ステレンボッシュは出遅れたが、外枠も功を奏して大きなロスにはならず、チェルヴィニアを見るような位置で脚を溜めた。直線は多少詰まって仕掛け遅れる場面もあったが、前が空いてからの勢いを見るに、スムーズでも着順は変わらなかっただろう。ハイレベル世代のナンバー2として今後も牝限GⅠ戦線でやっていけるはず。

5着クリスマスパレードは速い流れを2番手追走。残り200mで先頭の場面を作って粘り込んだ。キレはないが、こういう持続力勝負ではいい走りをする。今後も内回り系の2000~2200mくらいで面白い先行馬になっていくだろう。

7着タガノエルピーダもハイペースを先行し、クリスマスパレードと同じタイミングで先頭に並びかけた。最後は苦しくなったが、0.6秒差ならここ最近よりはずっと評価できる内容。新馬戦と朝日杯FSの走りが非常によかったので、本質的には1600~1800mがベストなのかもしれない。ターコイズSあたりに出てきたら狙ってみたい。

9着コガネノソラは先行して外々を回り、直線はジリジリと後退した。

14着ランスオブクイーンは中団の外目を追走。距離ロスがあったとはいえ、そこまで悪い形でもないように見えたのだが……。直線は全く伸びなかった。不可解。

15着クイーンズウォークはスタートで躓いて後方から。向正面で少しポジションを上げていったが、直線は残り250mあたりで早々に脚がなくなり、最後はヤメた。気性的に休み明けの方がいいのかもしれない。

【菊花賞】

トラックバイアス:フラット~やや外有利
展開:ミドルペース
12.6-12.0-12.4-13.0-12.0-11.7-12.4-12.7-12.3-12.6-12.6-11.9-12.0-11.8-12.1(62.0-61.7-60.4)

メイショウタバルは折り合いに専念し、外からエコロヴァルツがハナへ。岩田騎手が手綱を引いてペースを落としにかかると最初のホームストレッチではノーブルスカイやメイショウタバル、ピースワンデュックあたりが我慢できず先頭へ。2周目もアドマイヤテラが早めにポジションを上げるなど出入りが激しく、結局13秒台の区間は600~800mの1回だけ。ペースが緩まずスタミナがしっかり問われる、本格的な長距離戦になった。2-3着はどちらも1周目ほぼ最後方にいた馬であり、序盤は後方で待機し、外を通って上がってきた差し馬が有利だったと評価する。

1着アーバンシックは中団~やや後方の外を追走。序盤は多少行きたがったが、さすがルメール。前に壁を作ったり、馬の行く気に譲って少しポジションを上げたりしながら折り合いを保った。2周目直線に向く時点では手応えよく3番手で、あとはアドマイヤテラをかわすだけの態勢。右ムチでバランスを取りながらきっちり差し切った。馬も強いが、ルメールもめちゃくちゃ上手い。後述する人気2頭とは騎乗でも明暗が分かれた。

2着ヘデントールは出遅れたが、あわてず騒がず後方待機。アドマイヤテラの動きについていくように徐々にポジションを上げていき、直線は内にモタれながらもゴール前でようやくエンジンがかかり、カラくも2着を確保した。追われて追われてようやく動いていく感じで、典型的なステイヤータイプ。来年の天皇賞(春)はこの馬かもしれない。

3着アドマイヤテラも序盤は後方待機。2周目で徐々にポジションを上げてスタミナを生かす競馬をした。アーバンシックの標的になってしまったが、大きくは止まらず3着。これも長距離適性は高い。

4着ショウナンラプンタは中団追走から内目をスルスルと上がっていき、直線入り口でスムーズに前も空いた。外の方が伸びる馬場だったのでその分の不利はあったが、おおむね力は出し切った。

6着ダノンデサイルは最悪の競馬。枠なりにエコロヴァルツの後ろ、イン3というポジションに入ったのが敗着で、1周目ホームストレッチからエコロヴァルツがどんどん位置を下げていくのに巻き込まれ、身動きがとれないまま2周目3角14番手まで後退してしまった。直線は外に出して追い込んでは来たが、ラスト11.8-12.1とそこまで前も止まってくれず、どうやっても届かない。枠も災いして酷い一戦になった。ただまあ最初から次以降を見据えたようなローテではあり、馬体重も+18キロ。あまり悲観せず次でいいだろう。

9着エコロヴァルツは距離が長いし展開も厳しかった。1800~2000mくらいで見直したい。

14着コスモキュランダは出遅れ。ここまでは以前からあることで織り込み済みなのだが、その後ミルコ騎手が追って位置を取りに行ったのが致命的な失敗となった。折り合いを欠きながらの1周目追走、馬場がよくもない内に入れ、前が渋滞し、結局2周目に入る時点では後方2番手まで下がった。出していく判断によって得たものはなく、折り合いを破壊してスタミナを浪費し、トラックバイアスにも逆行し、位置取りも犠牲にした。これもダノンと並んで相当酷い競馬になってしまった。とはいえ着差が着差だし、引っかかったことも含め、3000mへの適性もなかったか。自分の見立て違いも認めざるを得ない。アルアイン産駒の適性についてケースができた。中山の2000m~2200m戦線でまた見直す。

15着ピースワンデュックは折り合いつかず。こちらも中距離の自己条件なら見直しが効く。

16着メイショウタバルは折り合いが難しい馬でそもそも3000mが適性外だった。直線に向いた時点で完全にスタミナ切れを起こしており、最後は全く追わずにゴール。中距離で見直す余地はある。

【天皇賞(秋)】

トラックバイアス:フラット~やや内有利
展開:スローペース
12.8-11.5-11.6-12.0-12.0-11.9-11.8-11.1-11.1-11.5

逃げ候補は色々いたが、いざゲートが開くと押して出たのはベラジオオペラだけ。ホウオウビスケッツが労せず制してハナをとり、シルトホルンは2番手で妥協した。前後半59.9-57.4秒のスローペースでラスト11.1-11.1-11.5の典型的な上がり3Fヨーイドン。内目を先行した馬が恵まれたと評価する。

1着ドウデュースは後方待機。インタビューによると鞍上もスローは感じていたようだが、腹をくくって脚を溜め、直線は大外から鬼脚で伸びてきた。おおむね前残りの決着を一刀両断、ギリギリ届いたわけでもなく、1.1/4馬身差をつけての完勝だった。

上がり32.5秒はJRAGⅠ勝ち馬の出した記録としては史上最速であり、展開不利を圧倒的なキレと能力で凌駕したもの。良馬場ならやっぱり強い…というか前よりさらに強くなった感がある。覚醒したハーツクライ産駒は手が付けられない。

2着タスティエーラは好スタートから先行。道中は3番手集団の一角で進め、直線は外に切り返してしぶとく脚を伸ばした。展開に恵まれた部分はあるが、不振だった春2戦からは劇的に内容が改善した。立て直しに成功。

3着ホウオウビスケッツはスローペースの逃げに持ち込み、道中も淡々と11.8~12.0のラップを並べ、3Fの上がり勝負に。位置取りを生かして粘り込んだ。今回は展開と馬場の援護が大きく、強調できる内容とはいえない。ただ操縦性の高さは大きな武器で、香港カップや大阪杯なら展開次第で楽しみがある。

4着ジャスティンパレスは中団馬群のなかで溜め、直線は外へ出せず、内に切れ込みながら追い込んできた。ステラヴェローチェの進路に影響を与えた。馬自体は鋭く伸びて、展開不向きのなか4着を確保。これも良馬場なら力があるところを証明した。ドウデュースほどではないが、十分に強い競馬はした。

7着ソールオリエンスは中団から前もスムーズに空いて追い出したが、ジワジワとしか伸びなかった。上がり33.3秒は自己ベストタイであり、負け方としてはダービーと同じ。良馬場でこういうスローになってしまうとキレで見劣る。もっと流れてほしかった。

8着レーベンスティールは8枠14番もあって、さすがのルメールでもポジションがとれず。後方の外で運び、それなりに伸びてはいるが前が遠かった。こちらも展開、馬場に泣いた。悲観する内容ではない。

9着ステラヴェローチェは中団追走から直線も内を突き、伸びかけたところでジャスティンパレスに進路をカットされる不利。スムーズなら掲示板争いくらいにはいたと思う。

10着ニシノレヴナントは離れた最後方から直線に賭けた。展開不向きの中で上がり2位タイの33.0秒と悪くはない。

13着リバティアイランドは昨年ジャパンC時との比較で+22キロ。地下馬道、返し馬でもテンションが高かった。レース自体はつつがなく好位につけたのだが、いざ直線に向くと前をかわせず、最後は止まってしまった。デキていなかった。着順は大きいが0.8秒差。もう少し絞れてくれば再浮上もあるだろう。

2024年9月

【セントウルS】

トラックバイアス:フラット〜やや内有利
展開:ややスローペース
12.0-10.4-11.2-11.4 -11.1-11.6

当日は他の芝4レースが少頭数ばかり(しかも2つは新馬戦)とあって判定しづらいが、どちらかと言えば内優勢な馬場だったと見る。テイエムスパーダが出遅れたのもあって、ピューロマジックがすんなりハナに行くが近走ほど飛ばさない。前半3F33.6秒は前日1勝クラスと0.2秒しか差がなく、重賞としてはややスローペース。内目を先行した馬に有利な競馬だったと評価する。

1着トウシンマカオは不利な外枠から五分のスタートを切って中団の外々を追走。コーナーではやはり多少外に張っていたが、以前ほど苦にせず対応した。直線は鞍上の叱咤に応えて坂上で急追、ママコチャを差し切った。今日は展開、馬場ともに向かない中での能力勝ち。改めてGⅠ級のポテンシャルを示した。右回りの方がスムーズという戦前の見立てに変更はなく、いい枠を引ければスプリンターズSでも最有力だろう。

2着ママコチャも不利な大外枠。斤量も牝馬で57キロと厳しかった。こちらは出していって外の3番手を確保。直線も頑張っていたが、最後の最後でトウシンマカオに差された。トウシンよりは前受けの分だけ展開利があり、斤量2キロ分だけ不利。甲乙つけがたい。スプリンターズSはこの2頭が双璧をなす。

3着モズメイメイは上位2頭と対照的に最内枠から好スタート。ほぼ脚も使わずにインの3番手を確保した。直線は内ラチ沿いの狭いスペースを伸びてきたが3着まで。展開と馬場に恵まれた側で、トウシンマカオ&ママコチャとは着差以上に厳然とした力量差がある。復調してきたが、GⅠでどうこうの感じはない。

7着テンハッピーローズは好スタート。マイルを使っていた馬とは思えないほど余裕のある追走で、距離自体はさほど苦にせず。直線でトウシンマカオの後ろに進路を見つけてからそこそこ脚を使っており、上位2頭には及ばないが、3着からの0.3秒差はあってないようなもの。始動戦としては悪くない内容だった。ただ、BCマイルだと根本的に能力が足りないとも思う。もう6歳牝馬でおそらく来春には繁殖入りだろう。それまでに左回り1200~1600mの適鞍というとせいぜい東京新聞杯(それも別定2キロ増)くらいしかない。ちょっと馬券はもう買う機会がないかもしれない。

9着サウザンサニーは中団内で脚を溜めて手応えよく直線に向いたが、残り150付近で前が塞がる場面もあってここまで。ただ着差は小さいし、時計がかかる馬場になればもっとパフォーマンスを上げる。

10着キミワクイーンには本命を打ったが、そもそもハイペースになるという読みもハズレ、内に潜るどころかテンハッピーローズより外の車線を走る競馬で、なにひとつ上手くいかなかった。それでいて外から見せた伸びは上々。出走賞金の少なさはネックだが、やはり展開次第で重賞でも通用する。

12着ダノンスコーピオンは外後方からトウシンマカオと並ぶ上がり33.1秒の末脚で追い込むも遅刻。今回は展開と枠に泣いたが、福永厩舎に移籍してから着実に上向いてきた。1400m以下で近いうちに馬券圏内があっていい。スワンSあたり楽しみ。

13着ピューロマジックはおそらく「道中抑えを効かせる」というテーマを持っての一戦だったか。北九州記念のスピードを見せつける逃げとは違い、後続を引き付けて直線へ。しかし坂上でパッタリと脚が止まってしまった。馬場と展開の利があったことを思えば物足りなさすぎる内容で、直線坂コースが合わない、こういう逃げ方が合っていない、あるいはその両方が敗因だろう。スプリンターズSで勝負するなら、容赦なく飛ばして後続を脚を削ぎに行ったほうがいい。

17着ミッキーハーモニーは上がり最速の33.0秒をマーク。誰か、もうちょっとこの馬を上手く乗ってあげてほしい。左回りは多少ぎこちなかったが、それが単に経験不足によるものなのか、目に起因するものかは判断できない。末脚は重賞でもヒケをとらない。

【セントライト記念】

トラックバイアス:内有利
展開:ハイペース
12.8-11.0-12.4-12.0-12.3-12.2-12.3-12.0-11.7-11.4-11.5

この3日間開催通じて中山芝は内有利のトラックバイアスが明確に出ていた。タガノデュードは出足が遅く、エコロヴァルツが逃げたが、ヤマニンアドホックが引っかかり気味に絡んで1000m通過60.5秒。中山芝2200mは前半が上り基調&コーナー部の多い形態で、この数字はハイペースの部類に入る。内で溜めた差し馬に有利な展開だった。

1着アーバンシックは相変わらずゲートがそこまで速くなかったが、タガノデュードの後ろを取りに来る馬がいなかったことで、なんだかんだ内ラチ沿い中団という絶好のポジションに収まった。直線に向いた時点でキレイに進路もひらけ、あとは前を差すだけの完璧な競馬だった。能力が高いのは元々だが、春に見せた右回りコーナーでのモタつきもなかった点に進境が見られた。ただし今回のレース単体としては展開と馬場がハマったもの。過剰な評価はしたくない。

2着コスモキュランダもゲートが遅め。3~4角は4車線目を回して強気に上がっていき、直線は一度抜け出す場面も作った。最後差されたのは進路取りの差で、内容的には勝ち馬と遜色ない強い競馬をした。持続力勝負に強く、距離延長にも色気があるタイプ。菊花賞が楽しみ。

3着エコロヴァルツはすんなりハナを切ったところまではよかったが、その後ヤマニンアドホックに絡まれて2番手に。先行馬にとって厳しいペースではあったが、最後なんとかヤマニンをかわすのが精一杯で、上位2頭と能力差があったのは否めない。

4着ヤマニンアドホックは好スタート。津村騎手は全くを手を動かしていないが、そのままエコロヴァルツをパスして逃げる。道中も緩む区間がほぼなかった。トラックバイアスの援護があっての敗戦で、やはり上位2頭とは能力差を感じる。距離は少し長かった。1800~2000mで見直せる。

6着アスクカムオンモアは外めを回った組ではコスモキュランダに次ぐ着順。着差はついてしまったが、戦績の汚し方としては悪くない。自己条件なら高確率で上位争いだろう。

【オールカマー】

トラックバイアス:内有利
展開:ややスローペース
12.7-11.3-12.6-12.1-12.3-12.4-11.9-11.8-11.6-11.3-11.8

戦前の予想通りアウスヴァールの逃げ。2番手につけたリカンカブールもスローに落としたい思惑が一致し、完全に前がレースを掌握した。前後半61.0-58.4のペースで結果もそのままごっそりイン前残り。内めを先行した馬が強く恵まれたと評価する。

1着レーベンスティールは欲しかったであろうイン3をサリエラにとられ、その隣から運ぶ。直線に向いてサリエラが下がったところにスペースができ、そこからのスパートで差し切り。鞍上が上手く捌いた。展開に恵まれた側で評価は据え置き。

2着アウスヴァールはおおむね戦前の見解通り。これでもかと展開&馬場に恵まれ、サリエラやステラヴェローチェが不発だったことにも助けられた。次走以降は軽視が妥当。

3着リカンカブールも2番手追走で展開の恩恵があった。次走以降は過信したくない。ただ、立ち回りが巧く、中山への適性はある。

5着アルビージャは上位陣で唯一外差しの競馬。4角は内から5~6頭目を回されてロスが非常に大きかったにもかかわらず、ただ1頭いい脚で追い込んできた。休養前にヴェラアズールを破った能力はどうやら本物らしい。次走はすごく楽しみ。

6着ステラヴェローチェはサリエラ、レーベンスティールとのポジション争いに敗れた。終始3車線目を回され、4角はサヴォーナのさらに外から追い上げを図るも伸びず。今日は上手くいかなかった。悲観する負け方ではない。

12着サリエラは絶好のイン3をとったが、4角で手応えが悪くなってまさかの大敗。走らな過ぎた。アクシデントでないとすると、メンタル的な問題があるかも。しばらくは静観になる。

【日本テレビ盃】

トラックバイアス:やや内有利
展開:ややスローペース
12.0-11.7-13.0-12.9-12.8-12.0-11.8-13.0-13.6

馬場は火曜までの直線外伸び風味が薄れ、シンプルなやや内有利のコンディションに変化した。戦前の予想通りウィリアムバローズが労せず逃げて主導権。1000m通過62.4秒のやや遅い流れを作り、残り800~400mで一気にペースアップして後続を翻弄した。内めを先行した馬がやや有利な競馬だったと評価する。

1着ウィリアムバローズはスタートを決めて単騎逃げ。2番手につけたデルマソトガケの手応えがあまりよくなかったこともあり、それほどプレッシャーを受けずに序盤を通過する。残り800mの標識からピッチを上げるとデルマが脱落し、直線に向く時点で3馬身ほどのリード。残り200mではその差を5馬身ほどまで広げ、最後はウシュバテソーロに詰められたが既にセーフティリードだった。まず坂井瑠星騎手が素晴らしすぎた。トラックバイアスと展開の援護も確かにあったが、3~4コーナーで12.0-11.8を踏んで他を振り切ったのは地力のなせる業。揉まれない形ならGⅠでも楽しみはある。距離は1800mがベストで、マイルも2000mも少し適性から外れる。買うならチャンピオンズCだろう。

2着ウシュバテソーロは昨年ほどいい位置がとれず、先頭から離れた7番手。本質的に追い込み型でこのポジションになってしまうのも仕方ない。ちょっとわたしの展開想定に希望的観測があった。展開にもトラックバイアスにも逆行してよく詰めてきたが、勝ち馬にしてやられた。悲観する負け方ではなく、BCクラシックでは頑張ってくれるはず。

3着メイショウハリオは外4を回るロスの大きい競馬。それでもナニハサテオキの追い込みはさすがに封じて、JpnⅠ・3勝馬として最低限の格好はつけた形。理想は大井の2000mなので、東京大賞典で前崩れの展開ならチャンスはある。

4着ナニハサテオキはさすが森さんというイン立ち回りで、上手く乗ってもらえた面も大きいが、この相手に大健闘といっていい。右回りに実績がないので、勝島王冠よりは相手が強くても浦和記念の方がいいかもしれない。

5着デルマソトガケはどうしたものか。デキの問題か、船橋の砂質が合わないか。あるいは海外でアメリカンなハイペースバテ合いの競馬ばかりやってきたせいで、こういうスローから途中で加速する流れに対応できなかったか。敗因がハッキリとせず、遠征に向けて不安を残した。

【スプリンターズS】

トラックバイアス:内有利
展開:ハイペース
11.8- 9.9-10.4-11.0-11.6-12.3

今日も中山芝は内有利。ピューロマジックが前走から一転、スピードを抑えずに飛ばして逃げ、前半3Fは32.1秒。GⅠとしてもかなりのハイペースになった。離れた3番手ルガルでも32.8秒。内でじっと溜めた差し馬が恵まれたと評価する。

1着ルガルはスタートから主張して3番手。最初のコーナーまでに内ラチ沿いを取り切っていた。4角もウイングレイテストをかわすための1頭分だけ外に出し、極限までロスをそぎ落とした完璧な立ち回り。最後は12.3と鈍ったが、なんとか押し切った。鞍上のファインプレーにも助けられたとはいえ、展開がさらに向いた2-3着馬は自力で封じており、十分に強い内容だった。ようやくこの路線に王者らしい存在がでてきた。

2着トウシンマカオは中団のイン追走から直線も最内がキレイに空いて、こちらも150点くらいの競馬ができた。今日は内容的にもルガルに軍配が上がる。今後も右回りの良馬場1200mなら走ってくるだろう。

3着ナムラクレアは位置を取りにいかず、中団やや後ろでじっくり溜める。4角を出るまでは内めでやりすごし、直線は外に出していい脚を使った。好騎乗。急かさない乗り方の方が合っている。今日は展開、馬場ともに味方した側。着順以上の強調点はない。

4着ママコチャは内めの5番手を追走。このハイペースながら序盤少しリキむロスはあった。直線は外へ出し、人気馬の中では真っ先に前を捕まえに動いたが、結果論で言えばタイミングが少し早かった。立ち回り次第で逆転もあっただろう。

7着サトノレーヴは中団、内から3頭目を回された。他の人気馬がロスなく立ち回っている中、この競馬ではツラい。0.4秒差なら大健闘の部類で、GⅠでも通用するメドが立った。

8着ピューロマジックはスタートから全く追っていないのにこのペース。スタートダッシュ能力という意味では日本競馬史上最速なのでは。そのまま大きなリードを保って直線へ向いたが、自身のラスト1Fは推定12.8を要してこの着順。1200mでも長い。ベストは1000m以下。1200mなら平坦がいい。

12着マッドクールは内に潜ることができず。もともと器用さを武器にトラックバイアスや展開を味方につけてきた馬なので、こうなってしまうと上位陣に対して力負けする。

14着ウイングレイテストは16番枠からこのペースの2番手に付けて脚を使った。さすがにバテてしまったが、着順ほど悪い負け方ではない。スワンSや阪神Cなら今年も好勝負だろう。

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