オークス2025の概要
開催日
2025年5月25日(日)
グレード
GⅠ・3歳牝馬
コース
東京芝2400m
概要と歴史
牝馬三冠の第2戦。イギリスのクラシックを範として1938年に創設された。当時は鳴尾競馬場・芝2700mでの開催で「阪神優駿牝馬」という名称だった。戦後の1946年から東京芝2400mに舞台を移し、名称が現在と同じ「優駿牝馬」に変更され、その後1965年から「オークス」の副称が付された。
桜花賞から一気に800m距離が延び、3歳牝馬にとっては非常にタフな舞台となる。ただ、同時期にNHKマイルCもあるため、桜花賞好走馬のうち明らかに距離がもたない馬はそちらに回る向きがある。(出走してきた)桜花賞の上位陣vsフローラSや忘れな草賞の勝ち馬という構図になることが多い。
オークス2025の登録馬
登録馬一覧
登録馬20頭
アイサンサン
アルマヴェローチェ
ウィルサヴァイブ
エストゥペンダ
エリカエクスプレス
エンブロイダリー
カムニャック
ケリフレッドアスク
ゴーソーファー
サタデーサンライズ
サヴォンリンナ
タイセイプランセス
タガノアビー
パラディレーヌ
ビップデイジー
ブラウンラチェット
リンクスティップ
ルージュソリテール
レーゼドラマ
レーヴドロペラ
オークスの基本データ(過去10年)
人気と配当の傾向

1番人気馬が【6-2-0-2】と高確率で連対しており、勝ち馬10頭はいずれも3番人気以内、単勝オッズ10倍未満から出ている。
2-3着馬に目を向けるとヒモ荒れがチラホラ。20年には13番人気ウインマイティーが3着、21年には16番人気ハギノピリナが3着だった。ただしモズカッチャン、ウインマリリン、カレンブーケドールやスタニングローズ、ドゥーラなど、人気薄で好走した馬が「後から見れば強い馬だった」というケースの方が多い。身も蓋もないが、能力がなければ好走は難しい。
平均馬連配当は4321円。最高馬連配当は2万5140円(19年ラヴズオンリーユー→カレンブーケドール)、最低馬連配当は420円(16年シンハライト→チェッキーノ)。
枠順と脚質の傾向

枠順別成績にはそこまで大きな偏りがない。同コースでもCコース初週のダービーは内枠有利と知られているが、オークスでは1-4枠が複勝率18.2%、5-8枠が同16.0%とほぼ互角だ。
なお単勝オッズ10倍未満の人気馬に限ると、1-4枠【4-2-3-10】複勝率47.4%、複回収率74%に対し、5-8枠が【6-3-2-2】複勝率84.6%、複回収率153%とむしろ外枠の方がいい。このあたりはダービーと明確に違う傾向が表れている。

4角通過順で見ると6番手以下の馬が10年で8勝。4角3番手以内【1-1-0-33】。前で粘るのは容易でない。また、前走逃げた馬が【0-0-0-14】、前走で4角2番手以内だった馬も【0-0-0-28】と不振だ。
前走について
前走が条件戦だった馬は【0-0-1-17】。基本的には無視していい組だが、矢車賞の勝ち馬だけは【0-0-1-3】でハギノピリナ16番人気3着、ディアドラ9番人気4着、ペプチドサプル8番人気5着がある。
OP・リステッド組は【2-1-1-19】。好走の内訳は忘れな草の勝ち馬が3頭、スイートピーSの勝ち馬が1頭だ。
重賞はレース別に。まずフラワーC【0-1-0-8】はスタニングローズ10番人気2着だけが好走例。
フローラS組は【1-3-1-36】で全体成績は決してよくないが、その上がり2位以内【1-3-1-7】複勝率41.7%、複回収率122%、同3位以下【0-0-0-29】なので見極めは簡単。カムニャックは上がり3位だったのが微妙なラインだ。
最後に桜花賞組。これが【7-5-7-63】でやはり中核を担っている。その4着以内馬が【6-4-4-17】複勝率45.2%に対し、同5着以下【1-1-3-46】複勝率9.8%。ガラリと距離が変わる割に、大敗馬の巻き返しは多くない。また、桜花賞の際に4角4番手以内だった馬は【0-0-1-14】。マイルで「先行できてしまう」スピードの持ち主にとって、800m延長への対応は容易でない。
オークス2025の参考レース
参考レース① 桜花賞
レース映像(Youtube、JRA公式チャンネルより)
トラックバイアス:やや外有利
展開:ミドル
→雨の影響で前日とは一転、外伸びの馬場傾向に。エリカエクスプレスが最内枠から好スタートを決めて逃げると、他のジョッキーたちにインを狙う意欲があまりなく、競りかけてこなかった。前後半46.6-46.5のイーブンペースでタテの有利不利はなし。また勝ち時計1:33.1が出ており、極端な低速戦というわけでもなかった。外を通った馬が恵まれたレースと評価する。
1着エンブロイダリーはスタートやや出負けから促して中団のインへ。直線は馬場の真ん中、エリカエクスプレスの後ろに進路を見つけて脚を使い、アルマヴェローチェとの追い比べに勝った。ラスト11.4-11.4と失速しておらず、上位2頭には余力もあった。高速馬場を先行してよし、渋った馬場を差してもよし。マイラーとしての完成度が非常に高く弱点が少ない。NHKマイルCならまず勝ち負けだったろうが、オークスとなると血統的にやや不安あり。
2着アルマヴェローチェは中団馬群の外目、エンブロイダリーにフタをするような位置関係でレースを運び、直線入り口でスムーズに外へ持ち出せた。満点騎乗。一度はエンブロイダリーより前に出たように見えるが、最後は差し返された。今日は勝ち馬が一枚上手。阪神でこれだけ走れたのは予想以上で、改めて能力を再認識した。ただ、母系が短距離なのでオークスは長いとも思う。
3着リンクスティップはやや出負けし、狭くなってポツン最後方からの競馬に切り替えた。4角で大外をマクり気味に押し上げていき、直線外から伸びるも前2頭からは離された。見た目には距離ロスの大きい競馬だが、今の馬場なら特に不利な進路取りではなかった。力は出し切った。
5着エリカエクスプレスは内枠からロケットスタートで労せずハナへ。道中12.1-12.0と緩め、直線に向くところではやや左に流れ気味。再加速を試みたがあっさり差され、勝ち馬からは1.1秒離された。トラックバイアスに逆行したし、この馬以外の先行勢が全て10着以下に沈んだことを思えば、悪くない内容で走ってはいる。ただ、マイルでも折り合いがつかないので2400mは明らかに難しい。今回逃げたことも延長する上では悪影響。
9着ブラウンラチェットは大外枠で出遅れ。切り替えて後方イン突きの策をとるも、今日はそこが伸びない。阪神JFに続いて渋った馬場も合わなかった。パンパン良馬場でやれれば挽回のシーンも。
11着ビップデイジーは好位追走から直線は外に持ち出せたが、そこから全く伸びなかった。もともと距離が延びるオークス、秋華賞でこそのタイプと思っていたが、3歳になってからの2戦は内容があまりにもよくない。下方修正せざるを得ない。
参考レース② フラワーC
レース映像(Youtube、JRA公式チャンネルより)
トラックバイアス:内外フラット
展開:ミドル
→ハードワーカーの逃げで前後半60.1-60.0のほぼイーブンペース。2番手から抜け出した勝ち馬がラスト11.6-11.7でまとめており、後方勢がやや差しにくい展開ではあったが、おおむね能力通りの決着だったと評価する。
1着レーゼドラマは序盤促して外の2番手へ。そこからは終始危なげなく、4角で早々に先頭に立つと直線半ばでは大きなリードをとった。完勝。ただ、これまで勝った2戦は上がり36.8秒と35.4秒で、レース上がり33.8秒だったゆりかもめ賞では6着に敗れている。瞬発力に欠け、中山コースは合っていた。
2着パラディレーヌは出遅れて後方から。コーナーから動かしていき、4角出口でゴーソーファーを押し出すように進路確保。そこからは鋭く伸びてきた。右回りだと左に張る面があるので、初でも左回り東京への舞台替わりは歓迎といえる。
3着ゴーソーファーは中団の外目を追走。4角で追い上げていったが、前にいた馬たちが少し外に膨れ気味だったアオりも受け、内から6~7車線目を回らされた。ややもったいない競馬。こちらも中山だとコーナーのたびに膨れたり減速したりするので、本質的には左回りか広いコースがベターだろう。
7着レーヴドロペラは押しても位置がとれず13番手からの競馬。直線もジリジリ伸びてはいるが、前に迫るほどの勢いはなかった。ズブくて瞬発力にも欠けるので、もっとタフな競馬になるか距離が延びるかしないと戦い方が難しい。
参考レース③ フローラS
レース映像(Youtube、JRA公式チャンネルより)
トラックバイアス:フラット~やや内有利
展開:ややスロー
→ロートホルンが逃げ、向正面でエストゥペンダのマクりもあったが、前後半は59.9-58.7秒でやや後傾。道中やや緩みもあってのレース上がり3F34.2秒なので、ラップ的にはそこまで後ろ有利の感はない。結果として差し勢が台頭してはいるが、タテの有利不利は限定的、内を通った馬がやや有利なレースだったと評価する。
1着カムニャックは好スタートを決め、序盤は行きたがるのをなだめて中団から。手応え十分に直線へ向き、左にモタれるのを立て直しながら差し切った。距離延長、左回り、状態アップの3点がバッチリ噛み合った。同日1勝クラスのマイルで1:32.2が出た高速馬場ではあるが、勝ち時計1:58.6はレースレコード。オークスでも穴候補として魅力あり。
3着タイセイプランセスは道中ほぼ最後方で運び、4角までは内目をエスコート。直線は半ばで前をカットされる不利を受けたが、そこから外に切り替えて最後の伸び脚は際立っていた。上がりもメンバー中最速の33.0秒。正直かなり驚いたが、決してこの激走はフロックではないと思う。
4着エストゥペンダは大外枠で序盤ハギノピアチェーレに内から張られる場面もあり、初角は内から6~7頭目を回されて距離ロス大。折り合いにも苦労し、向正面で動いてハナに。直線半ばまで粘っていたが、最後はさすがに力尽きた。今回は枠順がかわいそうだったし、距離もやや長かったか。1600~1800mがよさそう。
5着タガノアビーはインの最後方でじっくりと溜め、4角も外には出さず、直線は馬群のなかを伸びてきた。ロスを避けてトラックバイアスが味方した部分はあるが、軽い馬場でこれだけ脚が使えたのは収穫。
16着ゴーソーファーは出遅れ。道中は中団~やや後方でレースを進めた。直線は伸びかけたところで狭くなる不利はあったものの、それを加味しても最後は止まりすぎ。案外な内容でハッキリした原因が分からない。おそらく、揉まれる形がダメか、速い上がりには対応できないか(今回の34.2でも自己ベストではあった)のどちらかだとは思う。