天皇賞(春)2025 上位人気想定馬の評価
ヘデントール
能力評価:★★★★
得意条件:長距離
苦手条件:ゲートにやや難あり、右回り△
《寸評》
新馬戦でジャスティンミラノの2着。そこから連勝で青葉賞に駒を進めるも、後方から上がり33.7秒を出して8着大敗。オシェアが後ろに構えすぎた。率直に言って上手く乗っていない。
圧巻だったのが日本海S。そもそも3歳馬が夏のうちに芝中距離の3勝クラスを勝つこと自体珍しいが、そのうえ3馬身半差の完勝、後半1000m57.5秒、ラスト11.7-11.3-11.1の加速ラップという衝撃的な内容だった。菊花賞はトラックバイアスと展開も向いて2着。ダイヤモンドSはノーステッキで4馬身差V。スタミナ抜群で長距離適性は高い。
強いて言えば、菊花賞時に直線で右にモタれていたことは気になる。左右差があり、これまでのパフォーマンスで特に強いと感じたのも日本海S、ダイヤモンドSの左回り2戦。右回りだと半枚落ちる。
サンライズアース
能力評価:★★★★★
得意条件:長距離、持続力勝負
苦手条件:瞬発力勝負
《寸評》
日本ダービーで残り1200mあたりから超ロングスパートを敢行して4着。長期休養明けの日経新春杯はメイショウタバルの暴走を追いかけて自爆、早春Sは3勝クラスで2番手追走するも2着に終わった。中距離戦だとそこまで目立つ存在ではない。
しかし3000mに延ばした前走が極めて強い競馬。残り1200mから11.7-11.2-11.5-11.5-11.5-12.1とかなり早仕掛けのラップ構成だが、他の先行勢が失速するのを尻目に2番手から上がり最速で6馬身差勝ち。菊花賞4着馬ショウナンラプンタを1秒以上置き去りにした。スタミナ抜群で使える脚が極めて長く、長距離界なら天下を取れる。
JRAの芝3000m以上でレース後半5Fが58秒を切ったのは全7例。その内訳は下記の通り。
1996年阪神大賞典
勝ち馬ナリタブライアン→次走春天2着
2002年阪神大賞典
勝ち馬ナリタトップロード→次走春天3着
2002年天皇賞(春)
勝ち馬マンハッタンカフェ
2006年天皇賞(春)
勝ち馬ディープインパクト
2023年阪神大賞典
勝ち馬ジャスティンパレス→次走春天1着
2024年阪神大賞典
勝ち馬テーオーロイヤル→次走春天1着
2025年阪神大賞典
勝ち馬サンライズアース
阪神大賞典では過去に4度記録されているが、その勝ち馬はいずれも次走の天皇賞(春)でも馬券に絡んだ。前走通り走ればここでも上位争いが濃厚。
ジャスティンパレス
能力評価:★★★★★
得意条件:3000m以上
苦手条件:2000m路線は忙しい、道悪
《寸評》
一昨年の勝ち馬。何故かその後は長距離路線を使わず、3000m以上のレースに出走するのはちょうど2年ぶりとなる。
昨年の天皇賞(秋)はスロー、ドウデュース除いて前残りの展開に上がり2位で追い込み4着。ジャパンCもスローの前残りで上がり33.3秒を使うも5着止まり、有馬記念はスローの中団で待たされ、直線は伸びないインに突っ込み5着だった。どれも展開不利のなかでいいものを見せているが、同時に今は2000~2500m路線だと忙しいことも露呈した。
前走の大阪杯も距離的には合っていないが、鮫島騎手が序盤からゴリゴリ主張してベラジオオペラの後ろ、内ラチ沿いを一時取り切る超ファインプレー……と思った矢先、何故か3角から外に出して追い上げてしまった。早めにエンジンをかけたいのは分かるが、この日の馬場でそれは疑問手。適性も進路もよろしくなかった中で0.4秒差6着は地力の高さがなせる業。
今回は待望の3200m。層の厚いジャパンC→有馬記念戦線で掲示板に載るだけの力があれば、長距離GⅠでは当然足りる。楽しみ。
ショウナンラプンタ
能力評価:★★★
得意条件:左回りややベター
《寸評》
GⅡで3度馬券に絡んでいるが、神戸新聞杯のときは内有利馬場のインを捌き、日経新春杯は前後半57.7-60.9のハイペースをじっくり溜めて展開が向いた。当時斤量1キロ不利で0.1秒差先着したマイネルエンペラーとは、展開を加味すればほぼ能力差がないと評価する。
前走の阪神大賞典は前半のスローペースを後方に構え、中盤以降ペースアップした区間で外を回って追い上げを試みた。確かに展開不向きの競馬ではあった。とはいえ先行したサンライズアースに上がり3Fでも見劣って1.1秒差の4着。完敗と言わざるを得ない。なお、菊花賞でヘデントールとタイム差なしであり、この馬を起点にすると間接的にサンライズアース>ヘデントールの推測が成り立つ。
レース後に武豊騎手から「京都がいい」とのコメントが出たが、外野から見ている限り特に大きく好転するとは思えない。
ハヤテノフクノスケ
能力評価:★★
得意条件:道悪
《寸評》
前提として3歳時にはゆきやなぎ賞でショウナンラプンタに0.4秒差負け、菊花賞は4角不利があったとはいえ、ヘデントールやショウナンラプンタ、ビザンチンドリームの集団からも1.8秒離されて大敗している。当時の能力通りならここでは荷が重い。
その後休養を挟んで+18キロと馬体を増やし、2勝クラスと3勝クラスで着差を付けて連勝した。力を付けてきた感じはある。
ただ、前走の1.5秒差4着リンフレスカンテ、1.9秒差5着ウインエアフォルクがそれぞれ阪神大賞典で2秒以上離された9着、8着に敗れたことから、さすがに阪神大賞典組に比べるとレースレベルは低調だった。一気の相手強化で穴人気もするのであれば、あえて手を出す魅力は感じない。
マイネルエンペラー
能力評価:★★★
得意条件:道悪、消耗戦
《寸評》
兄姉にマイネルファンロンとユーバーレーベンがいる、ビッグレッドファームの良血馬。晩成型で出世は遅れたが、明け5歳を迎えた日経新春杯は前後半57.7-60.9のハイペースを5番手追走から3着に粘った。自分以外の1-7着馬はいずれも道中8番手以下の差し追い込み勢が占めており、この走りは価値が高い。
一方、前走の日経賞はアーバンシックを除くとGⅡとしてはやや低調なメンバー構成。外3から早めにスパートをかけ、持ち前のしぶとさをフルに生かして押し切った。雨馬場で差しが届きにくい馬場になったのも味方した。
半兄マイネルファンロンと違って折り合いの不安がなく、距離に関しては大丈夫だろう。ただし前走が理想的な条件だっただけに、その後追いで妙味の観点では微妙。