皐月賞2025の概要
開催日
2025年4月20日(日)
グレード
GⅠ・3歳牡牝
コース
中山芝2000m
概要と歴史
イギリスの2000ギニーをモデルとして1939年に創設された、牡馬クラシックの第一冠。第1回は「横浜農林省賞典四歳呼馬」の名前で横浜競馬場の芝1850mで行われた。1949年に現在の名称になり、1950年に初めて中山芝2000mで行われ、それ以降は数度の東京開催はあれど一貫してこのコースが舞台となってきた。「皐月」は旧暦の5月を指す呼称であり、第6回~第11回は実際に5月開催だったが、その後は4月中旬の日程で定着した。
2月末から始まる中山連続開催の最終週に施行されるが、近年は馬場整備技術の向上もあってスピード馬場の高速決着になることが多い。昨年はジャスティンミラノが1:57.1の好タイムで優勝した。クラシック三冠のなかで「最も速い馬が勝つ」レースと評されるが、その表現が当たっているだろう。
皐月賞2025の登録馬
登録馬一覧
登録馬21頭
アスクシュタイン
アロヒアリイ
エリキング
カラマティアノス
キングスコール
クロワデュノール
サトノシャイニング
ジーティーアダマン
ジュタ
ジョバンニ
ドラゴンブースト
ニシノエージェント
ピコチャンブラック
ファウストラーゼン
フクノブルーレイク
マジックサンズ
マスカレードボール
マテンロウバローズ
ミュージアムマイル
ローランドバローズ
ヴィンセンシオ
皐月賞の基本データ(過去10年)
人気と配当の傾向

1番人気は【2-0-3-5】で2連対とやや不安定。5~9番人気に4勝2着4回があり、中穴クラスの台頭が多いレースと言える。ただし10番人気以下は【0-0-1-81】。馬券に絡んだのは2017年のダンビュライト(12番人気3着)だけだった。
平均馬連配当は4514円。最高馬連配当は1万2880円(18年エポカドーロ→サンリヴァル)、最低馬連配当は660円(20年コントレイル→サリオス)。
枠順と脚質の傾向

1-3枠が合計で【3-2-2-32】複勝率11.9%、単回収率21%、複回収率23%と不振。一概に外枠がいいというわけではないが、内過ぎる枠は減点対象になる。理想は4枠。馬番で言うと7番が【2-3-2-3】の複勝率70.0%で「出目」になっている。

脚質はいつも通り5番手以内と6番手以下で分けると「やや前有利」くらい。切り口を変えて「4角3~7番手」の成績を見ると【8-7-3-38】で、10年のうち8勝を挙げている(例外は超ハイペースかつ直線追い風だったディーマジェスティ、道悪のソールオリエンス)。個人的にこの「3~7番手」を「皐月賞ポジション」と呼んでいる。前すぎず後ろすぎない、好位~中団やや前目で直線を迎えることが勝利への近道だ。
前走について
近年増えてきたホープフルSからの直行ローテは【2-0-0-4】(GⅠ昇格後【2-0-0-3】)。可もなく不可もないが、皐月賞で単勝3倍を切ると【2-0-0-0】。クロワデュノールを嫌う要素とはならない。
共同通信杯組は【5-0-4-12】複勝率42.9%、単回収率252%、複回収率108%。その連対馬なら【5-0-3-7】複勝率53.3%と高確率で好走してくる。マスカレードボールはホープフルSで苦しんだ中山への対応という課題を抱えているが、個体の事情を無視したデータ面からすれば高評価となる。
それと似たような時期に行われるきさらぎ賞組は【0-0-1-7】と不振。唯一の好走もきさらぎ賞を圧勝して皐月賞1番人気に推されたサトノダイヤモンドで、積極的に狙うローテではない。
弥生賞組は【0-5-2-32】複勝率17.9%。2010年ヴィクトワールピサを最後に勝ち馬を出していないが、馬券圏内という意味では今でも存在感を放っている。ちなみに弥生賞4着以内【0-5-2-23】複回収率112%、同5着以下【0-0-0-9】であり、好走馬に限ればベタ買いでも黒字域に入る。
スプリングSは【1-1-2-32】複勝率11.1%と苦戦している。本番への間隔が近いこともあって近年は特に敬遠されがちで、なかなかレースレベルが高くならない。今年から1週前倒しになり、傾向に変化が起きる可能性もゼロではないが……。
ほか若葉S【0-1-0-18】、すみれS【0-0-0-11】など非重賞組は好走した例がほとんどない。
皐月賞2025の参考レース
参考レース① ホープフルS
レース映像(Youtube、JRA公式チャンネルより)
トラックバイアス:フラット~やや内有利
展開:スローペース
→中山芝は有馬記念の日から一変、フラットかややイン優勢のトラックバイアスに。ハナ候補と見たアスクシュタインが行く気なし&序盤挟まれたこともあり、ジュンアサヒソラ単騎で前後半61.4-59.1のややスローペース。ファウストラーゼンがマクって先頭はL4に11.6を踏んだが、3番手以下は深追いせず実質3F戦。内前有利な一戦だったと評価する。
1着クロワデュノールは好スタートを切ったが、北村騎手は最初から内に入れる気がなく、向正面で外に持ち出し進路確保。そこから徐々に進出すると、直線も余力ありげに抜け出して完勝だった。徹頭徹尾危なげなく、初コースやこれまでと質の違うラップも全く問題にしなかった。文句なしのダービー最有力候補。
2着ジョバンニは今回もスタートはあまり速くなかったが、前に入って来る馬が意外と少なく、内目の7番手というポジションをとれた。4角~直線入り口で前もバラけてスムーズに進路確保。勝ち馬は遠かったが2着には浮上した。今回は展開と馬場に恵まれた面がある。
3着ファウストラーゼンは最初の直線で両隣から挟まれる不利があって前半は後方待機。スローペースの向正面で一気にマクりに動いて先頭に立ち、そのまま粘り込んだ。マクったのは1000m~1200m=レースラップ12.0秒の区間であり、自身のラップは推定11.1~11.2秒くらいか。残り5Fからこれだけ急激にスパートしたら普通は止まる。この仕掛けでジュタやクラウディアイの追い上げをしのいだのは地味に偉い。
4着ジュタは16番枠から好位の外目を追走。トラックバイアスにやや逆行する形ながら健闘した。
6着アスクシュタインもスタートでかなりゴチャつき、道中は内目の10番手で運ぶ。3~4コーナーでは加速がつかず、出口で外に膨れ、直線は今度右にササるなど粗いレースになったが、差し勢の中ではよく伸びていた。
11着マスカレードボールは道中後方。3~4角のペースアップにイマイチ反応できず、直線に向くところで他馬が膨れてくる不利も受けた。ゴール前でようやく加速してきたが時すでに遅し。懸念されていた右回り1周競馬への不安がモロに出てしまった。ただ、それにしても上位とは差があった。
13着ピコチャンブラックは外の3番手から運ぶ。向正面でファウストラーゼンがマクってきたところで一列下がり、その後徐々に手応えが悪くなりはじめ、4角ではもう余力がなかった。
16着マジックサンズはスタート後に他馬と接触する場面があり、その後はリキみが強いレースになった。道中は折り合いを欠いたまま外々を回されてトラックバイアスにも逆行。コーナーでは膨れており、全体的にまともな競馬ができていない。母は短距離馬であり、この距離は少し長い可能性もある。
参考レース② 弥生賞
レース映像(Youtube、JRA公式チャンネルより)
トラックバイアス:フラット~やや内有利(タフ)
展開:ミドルペース(早仕掛け)
→前日夜にまとまった雨と雪があり、馬場は稍重発表。湾岸Sでレース上がり37.6秒を要するなど、かなりタフな状態だった。まずはヴィンセンシオがハナ。1000m通過60.9秒もこの馬場を思えば決して遅くないが、そこにファウストラーゼンが動いて11.5-11.7。ロングスパートでラスト12.7を要する消耗度の高いレースになった。スタミナ型、仕掛けを待った馬が有利だったと評価する。
1着ファウストラーゼンは序盤を後方で運び、ホープフルSよりさらに早い残り1100mからの仕掛け。向正面で先頭を取り切り、直線は一度ヴィンセンシオが前に出たようにも見えたが、踏ん張って(差し返して?)勝利した。通常「競走馬の全力疾走は600mまで、小出しにして800m」というのが持論。このロンスパで押し切るのは常識から外れた存在と言える。スタミナお化け。本番もマクって自分の土俵に持ち込めば一発ある。
2着ヴィンセンシオは1コーナーでハナを奪って前半は逃げていた。ファウストラーゼンのマクりに付き合わず2番手で控え、落ち着いて4角からスパート。一旦は前に出たようにも見えたが……。消耗戦で粘り負けした。ただ、新馬戦はドスローの瞬発力勝負、2戦目は高速持続力勝負、3戦目はタフオブタフな消耗戦。いずれも結果を出した。対応力の高さは素晴らしい。ベラジオオペラのようなオールラウンダーになっていきそう。
3着アロヒアリイは後方待機。隊列の兼ね合いで3角最後方まで下がった。残り700mあたりから外を回して一気に追い上げ、4角は距離ロス特大。まともに曲がれず膨れたが、直線でミュージアムマイルを競り落とし、最後は上位2頭に食らいつくところまで行った。なかなか強烈なレースをしている。こちらも消耗戦への適性は高い。ファウストラーゼンがいるレースとは相性がいい。
4着ミュージアムマイルは道中中団の外目を追走。3角で多少手応えが悪くなると、幸騎手が一気に仕掛けて外から巻き返し。結果から言えばここで脚を使いすぎたし、内から5車線目を回ってロスも大きかった。これまで軽い馬場のキレ味勝負で結果を出してきた馬で、今回は質が真逆だった。悲観はしなくていい。が、本番もファウストラーゼンがいると結局消耗戦に持ち込まれてしまうか。皐月賞よりはダービーが狙い時だと思う。
6着アスクシュタインは行きたがるのをなだめながら中団追走。早仕掛けに付き合わず、直線勝負に徹して展開は向いたと思うが、ラストの脚は頼りなかった。1800mがベターか。
10着ジュタは中団馬群の一角を追走。4角で外からミュージアムマイル&アロヒアリイが上がってくると抵抗する形でひと脚使ったが、直線の入り口で寄られてブレーキをかけるシーンがあり、最後は止まった。不利がなくても脚色劣勢だった。
参考レース③ 共同通信杯
レース映像(Youtube、JRA公式チャンネルより)
トラックバイアス:フラット~やや内有利
展開:ややスロー
→レッドキングリーが抑えながら先頭に立って1000m通過60.0秒の割に馬群は縦長。ラスト11.5-11.5-11.2の加速ラップが記録された。イン前にいた馬がやや有利なレースだったと評価する。
1着マスカレードボールはスタートを決め、坂井騎手が少し促して前のポジションを取りに行った。引っかかるレッドキングリーを行かせて3番手で直線へ向き、仕掛けて左にモタれながら差し切った。後半1000m58.0秒、ラスト11.5-11.2のラップからして能力が高いのは間違いないが、やはり左右差を感じる。皐月賞よりはダービーだろう。
2着カラマティアノスは中団の内ラチ沿いを追走し、直線もガラ空きになった最内を突いてきた。トラッックバイアスの利はあった。