東京ダービー馬を指名しよう
第1回はコチラ。
いきなりだが、みなさんはPOGで東京ダービーを勝ったことがあるだろうか。多くの方はNOだと思う。東京ダービーがJpnⅠに変更されて1年しか経っていないわけで、中央競馬を対象とするスタンダードなPOGプレイヤーにとって、上の質問は「ラムジェットを指名したか」と同義だ。あるいは「すぱっと!POG!」に参加している方なら交流化前に勝ったことがあるかもしれない。
わたしはある。大学時代にサークルのPOGでヒガシウィルウィンを指名して、東京ダービーとジャパンダートダービーの二冠を獲った。まあサウスヴィグラス産駒でグランド牧場生産、キハクの牝系、角川厩舎で(たしか)初日能検組と、地方馬のなかでは獲りやすいプロフィールだったが……あの快感は一生忘れないだろう。なお日本ダービーは勝利どころか掲示板もありませんが。
あれから8年。そろそろ2回目の東京ダービー制覇を本腰入れて狙ってみたい。それも単に「走りそうなダート馬を指名する」ではなく、もう少しピンポイントに作戦を立てる。
まず東京ダービーを勝つには二つのルートが考えられる。中央ルートと地方ルートだ。
JpnⅠになる前の東京ダービーは道営か南関東で強い牡馬を探せばよく、話はシンプルだった。ただ、今や地方ルートはかなり細い線と言わざるを得ない。昨年の地方最先着はシンメデージーの4着。のちに交流重賞でバリバリやれるクラスの名馬を以てしてもJRAの牙城は崩せなかった。南関東勢の最先着は6着(シシュフォス)で、1着からは3.4秒差だった。
今年はナイトオブファイアが南関の希望として奮起しているが、それでも羽田盃でナチュラルライズに5馬身差を空けられた。カナルビーグルも合流する東京ダービーで1着の目は薄いだろう。
そもそも今の競走体系で地方の有力馬を指名できたとて、東京ダービーを目指してくれる保証がない。中央勢が4頭出てくることを考えれば、1着賞金1億円でもそんなにオイシイ番組ではないからだ。たとえば「5着で地方馬最先着」なら5着賞金500万円+DG競走褒賞金1000万円+3歳競走地方所属馬付加賞金500万円(1着賞金の5%)=2000万円になるはずだが、これでも2023年のSⅠ・東京ダービー=1着5000万円には遠く及ばない。交流路線を敬遠し、他地区の「優駿」に遠征したり、短距離路線を目指したりという動きは現に昨年見られた。この「ダート三冠」に対するイチ南関ファンとしての苦言は書き出すとキリがなくなるので、一旦ここでやめる。
残るのは中央ルートだ。中央ルートで東京ダービーを目指す場合、最大の障壁は何か。それは「出走すること」だと考えている。出走枠のわずか4頭に入るのが極めて難しい反面、出走にさえ辿り着けば高確率で上位争いになる。
中央馬が東京ダービーに出走するためには、羽田盃(3頭)かユニコーンS(1頭)で権利を取らなければならない。そして羽田盃に出走するには、雲取賞か京浜盃で権利を取る必要がある。そして雲取賞か京浜盃に出走するには「3歳1月か2月までにダートで2勝」がほぼ必須条件だ。
何が言いたいかというと、東京ダービーを狙って「大井ダ2000mに適性がありそうな馬」を指名しても、まずJRAで早期に2勝できなければ土俵に上がれない。ダート2000mの適性よりも、JRA1勝クラスのボリュームゾーンである1400~1800m戦で勝てるかの方が重要だ。
ラムジェットは(ユニコーンS経由だが)7月デビューで2歳のうちに2勝を挙げていたし、今年権利を取ったナチュラルライズは7月の札幌新馬勝ち→カトレアS勝ち、ジャナドリアは8月新潟でデビュー勝ち→12月に2勝目、アメージングは8月新潟デビューで、初勝利は11月になったが、3月2日に2勝目。このアメージングがギリギリのデッドラインだ。
以上から獲りたい馬の方向性をまとめると、
1.中央の牡馬
2.「JRAのダ1400~1800m」向きの馬
3.夏までにはデビューしてくれそう
となる。このあたりを踏まえて候補馬をリストアップした。
指名候補馬
※左上から順に馬名、性別、父、母、厩舎、生産者、馬主
◆ブラックコーラル
牡 キタサンブラック アドマイヤマリン 栗・清水 ノーザンF サンデーR
母は現役時代ダートで2勝、近親にアドマイヤサガスがいる血統。最初は芝でおろしそうだが、この父なら芝ダートどちらに出ても不思議ない。馬格もある。ゲート試験合格済みで、7月小倉デビュー予定だとか。
◆カレイジャスビート
牡 リアルスティール ティールグリーン 栗・高野 ノーザンF キャロットF
父はフォーエバーヤング、チカッパ、カナルビーグルらダート重賞馬も出す種牡馬。当馬の写真を見ると前肢の筋肉がモリっと浮き上がったような馬体でいかにもパワフル。6月デビューらしい。
◆イナズマダイモン
牡 クリソベリル パリスビキニ 美・宮田 ノーザンF 藤田晋
半姉にCCAオークス勝ち馬Paris Lightsがいる血統。ひとつ上の半姉アメリカンビキニもダートで既に2勝を挙げている。セレクトセール1億1000万の高額馬。3月中にゲート合格済みで、それなりの時期に出てくるのでは。
◆アルカディアカフェ
牡 Into Mischief Mary’s Follies 堀宣行 外国産 西川光一
カフェファラオ、ルクソールカフェの下。父はAmerican PharoahからInto Mischiefに替わった。既に入厩&ゲート合格済みで、本日美浦ウッドでラスト12.1-11.9を計時。この陣営なので、レーンがいるうちに6月東京で使ってきそう。
◆リアライズタキオン
牡 ルヴァンスレーヴ タイムハンドラー 美・手塚 社台コーポレーション白老F 今福洋介
近親にタイムフライヤーやタイムパラドックスがいる血統。ゲート試験合格済み。
◆サトノボヤージュ
牡 Into Mischief ジョリーオリンピカ 美・田中博 下河辺牧場 里見治
母はブラジルGⅠ馬で、北米に移籍してからも重賞を複数勝った馬。Into Mischief産駒は日本だとだいたい短距離に出るので2000mは少し怪しいが、1600mくらいで2勝して京浜盃路線に乗ってくれれば。既にゲート合格して在厩中。
◆テイエムキハク
牡 ルヴァンスレーヴ タイニーダンサー 美・伊藤圭 グランド牧場 竹園正繼
母は関東オークスなど交流重賞3勝。その母キハクの牝系からは冒頭で触れたJDD馬ヒガシウィルウィンらが出ている。セレクションで7920万の高額馬。既にゲート試験は受かり、坂路で結構いい時計も出している。
◆ロードアマルフィ
牡 ルヴァンスレーヴ アルセナーレ 栗・中村 ケイアイF ロードホースクラブ
母は関東オークスの3着馬。ゲート試験合格済み。5月7日に栗東坂路4Fで2歳一番時計となる54.6秒をマーク。
◆ウリズンベー
牡 ルヴァンスレーヴ ヌチバナ 美・萩原 追分F G1レーシング
兄姉にミッキーヌチバナ、アコークロー、近親にソロルやルコルセールがいる砂血統。そこにルヴァンスレーヴでダート特化に。
◆リアライズグリント
牡 キタサンブラック マドラスチェック 栗・矢作 追分F 今福洋介
母はTCK女王盃の勝ち馬でJBCレディスクラシック2着2回。セレクトセール1億6500万円の高額取引馬。POG本の追分Fのコーナーではトップ級の扱い。
◆リクスダラー
牡 ニューイヤーズデイ キャットコイン 上原佑紀 白老F サンデーR
母は芝重賞勝ち馬だが、二つ上の全兄グロッシェンはダート馬。1個上のドゥカートもダートで勝ち上がった。父ニューイヤーズデイはあまり話題になっていないが優秀なダート種牡馬。勝ち上がり率が4割を超えており、ミリアッドラヴやエートラックスといった重賞馬も出している。ネット情報によると今週入厩らしい。
◆馬名未決定
牡 ナダル メイショウササユリ 栗・松永 三嶋牧場 松本好雄
3代母に砂の名牝ファストフレンド。見た目にもどっしりした体格でいかにもダートは向きそう。
◆ホウオウファラオ
牡 American Pharoah マールボロロード 美・奥村 岡田スタッド 小笹芳央
おばにGⅠ勝ち馬Magnificent Songがいて、近親にはビヨンドザファザー。アメリカンファラオは本邦で出走した100頭ほどの産駒からダノンファラオやカフェファラオ、ルクソールカフェを出すなど打率が高い。POG本で夏デビューが示唆されていた。
*****
第2回はここまで。あと1回か2回続きます。