日本競馬史上、最も多くの「GⅠ馬」が出走したGⅠレースはどれ?

多分2014年ジャパンC(エピファネイア)じゃないか?

netkeibaさんがこんな投稿をしていた。

などと言っていた矢先に天皇賞(春)勝ち馬のテーオーロイヤルがジャパンC回避になってしまったので、いずれにせよ「GⅠ馬11頭出走」にはならないようだが。

「GⅠ馬11頭は史上最多タイかも?」という趣旨の投稿だが、これは不正解。GⅠ馬の頭数が11頭より多いGⅠレースは少なくともひとつ存在する。わたしも偶然覚えていただけだが、2014年のジャパンCが12頭だった。

日本馬に関しては言うまでもないと思うが、アイヴァンホウはバーデン大賞やバイエルン大賞を、アップウィズザバーズはジャマイカHという謎のGⅠを、トレーディングレザーは愛ダービーを勝っていた。

では、これよりGⅠ馬が多かった13頭以上レースは存在するのか? ちょっと本腰入れて調べてみることにした。

調べ方

どうやって調べるか。元ツイのnetkeibaさんの書き方でも分かる通り、「JRAGⅠ勝ち馬」の出走数を調べるのはそう難しくない。targetで86年以降のGⅠ勝ち馬を全て抽出して「それより後」の出走を洗い出せばいいだけ。5分でできる。

確かに2019年有馬記念の11頭が最多で、次点の10頭は14年有馬記念、20年安田記念、23年安田記念の3レースだった。

問題はここに「海外GⅠを勝った日本馬」と「海外GⅠを勝った海外馬」を加算しなければならないこと。これはtargetだけでは完結しない。

「海外GⅠを勝った日本馬」はJRA-VANworldあたりにまとまっているから、該当馬と勝利時期をExcelにでも書き出す。その後馬名を全てコピーしてtargetの馬データ検索に貼り付け、戦歴を検索する。43頭。海外の前にJRAでGⅠを勝った馬は既に調べたものと重複するので除外すると、20頭が残る。

あとは手作業になるが、20頭がGⅠ初勝利より後に出走したGⅠレースだけにマークをつけ、それらをテキストファイルに出力する。先ほどのデータと合体させると……。

このようになる。つまり「国内あるいは海外でGⅠを勝った日本馬」の出走頭数が最も多いのもやはり19年有馬記念であった。

残るブラックボックスは海外馬だ。これは目視のパワープレーしかない。ただ、前記した「GⅠ馬13頭以上」を満たすには少なくとも「GⅠ勝ち日本馬」+「海外馬の出走数」が13以上にならないといけないわけで、調べるべき対象レースは絞られる。

可能性があるのは1990年ジャパンC、2002年ジャパンC、10年ジャパンC、12年ジャパンCの4レースだ。ひとつずつ確認しよう。

まず90年ジャパンCは日本のGⅠ馬がヤエノムテキ、オグリキャップ、オサイチジョージの3頭出走。海外から参戦したGⅠ馬はベタールースンアップ、カコイーシーズ、アルワウーシュ、ベルメッツ、イブンベイ、フレンチグローリー、スタイリッシュセンチュリー、プティットイルの8頭で、計11頭であった。

02年ジャパンCは日本のGⅠ馬がシンボリクリスエス、ジャングルポケット、ノーリーズン、テイエムオーシャン、ナリタトップロード、エアシャカール、アグネスフライトの7頭出走。海外から参戦したGⅠ馬はファルブラヴ、サラファン、ゴーラン、ブライトスカイ、ストーミングホームの5頭で、計12頭。お、現状のタイ記録に並んだ。

10年ジャパンCは日本のGⅠ馬がローズキングダム、ブエナビスタ、ヴィクトワールピサ、ジャガーメイル、オウケンブルースリ、エイシンフラッシュ、ナカヤマフェスタの7頭出走。海外から参戦したGⅠ馬はジョシュアツリー、ヴォワライシの2頭で、計9頭に留まった。

12年ジャパンCは日本のGⅠ馬がジェンティルドンナ、オルフェーヴル、ルーラーシップ、トーセンジョーダン、ビートブラック、エイシンフラッシュ、ジャガーメイル、オウケンブルースリ、ローズキングダムの9頭出走。海外から参戦したGⅠ馬はジャッカルベリー、ソレミアの2頭で、計11頭だった。

この時点で、JRAで行われた1986年以降のGⅠレースのうち、13頭以上のGⅠ馬が出走した可能性のあるレースはなくなった。

他にタイ記録の可能性があるレース(日本GⅠ馬+海外出走馬が12頭のレース)も調べてみる。すると新たに89年ジャパンC(ホーリックス、オグリキャップ、ペイザバトラー、スーパークリーク、ホークスター、イブンベイ、フレッシュボイス、トップサンライズ、イナリワン、アサティス、バンブーメモリー、キャロルハウス)が見付かった。(わたしのヒューマンエラー、要は見落としがなければ)この3つが最多記録である。

まとめ

というわけで、日本競馬史上もっとも多くのGⅠ馬が出走したGⅠレースは……

1989年ジャパンC(勝ち馬ホーリックス)
2002年ジャパンC(勝ち馬ファルブラヴ)
2014年ジャパンC(勝ち馬エピファネイア)

の3レースで、いずれも12頭という結論になった。

海外馬を除いた場合の最多は、冒頭にもあった2019年の有馬記念(11頭)である。

ところで、地方のJpnⅠも含めると13頭以上のGⅠ(級)勝ち馬が出走したレースもあるのだろうか。

……。これは調べようと思ったら全部目視だなあ……。まあ事実上フェブラリーSとチャンピオンズCだけが候補なので、めちゃくちゃヒマな時に探すかもしれません。

「馬券研究・競馬知識」カテゴリの記事一覧

鈴木ユウヤ

東大卒競馬ライター。中央競馬、南関東競馬を中心に情報発信している。単勝&ワイド。攻めて勝つ。

Share
Published by
鈴木ユウヤ