【天皇賞(春)2025】過去10年のデータ・傾向と参考レース回顧

データルーム

天皇賞(春)2025の概要

開催日

2025年5月4日(日)

グレード

GⅠ・4歳以上

コース

京都芝3200m

概要と歴史

JRAのGⅠとしては最長距離の3200mで行われる古馬の春大一番。優勝馬には「盾」が授与されることから、「春の盾」と呼ばれることもある。

起源は1880年に横浜競馬場で行われた「The Mikado’s Vase」までさかのぼる。その後「帝室御賞典」が各地の競馬倶楽部で年10回行われた時代を経て、1936年にそれらの競馬倶楽部が「日本競馬会」に統合されると、春秋で年2回の施行に改められた。回次は1937年秋のレースを第1回とし、1938年春が第2回、以下秋→春それぞれ1回ずつ加算していくため、天皇賞(春)と天皇賞(秋)は前年の同競走から回次が2回増える。

以前は古馬の一線級、前年クラシックで活躍した馬はここを使うのが当然だった。しかし近年は一流馬のドバイ遠征が増え、大阪杯のGⅠ昇格で中距離と長距離の棲み分けがより進んだこともあり、メンバーが手薄になりやすい。今年も菊花賞馬アーバンシックが参戦せず、前年覇者テーオーロイヤルも春全休が決まっている。4歳新興勢力を中心とした混戦が予想される。

天皇賞(春)2025の登録馬

登録馬一覧

登録馬15頭

アラタ
ウインエアフォルク
サンライズアース
シュヴァリエローズ
ショウナンラプンタ
ジャスティンパレス
ジャンカズマ
ハヤテノフクノスケ
ビザンチンドリーム
ブローザホーン
プラダリア
ヘデントール
マイネルエンペラー
リミットバスター
ワープスピード

天皇賞(春)の基本データ(過去10年)

※「枠順と脚質の傾向」は阪神代替を除く8年のデータ

人気と配当の傾向

1-2番人気で計9勝、残る1勝も3番人気によるもの。勝ち馬はおおむね堅いところから出ている。昔に比べて「距離不安のある人気馬」がそもそも出走してこなくなったのもあるかもしれない。ただし、2着には2桁人気馬の好走が2回ある。ヒモ荒れには警戒が必要だ。

平均馬連配当は4237円。最高馬連配当は2万160円(16年キタサンブラック→カレンミロティック)、最低馬連配当は520円(22年タイトルホルダー→ディープボンド)。

枠順と脚質の傾向

枠順と脚質については阪神代替の2回を除き、直近の8回分を参照する。勝率と複勝率の両面で優秀なのは1枠で、複回収率が100%を超えているのは2枠と4枠。コーナー6回を経済コースで回ってこられること、馬群の中に入れて折り合いもつけやすいことから、内枠の有利が明確に存在する。

ざっくり半分に割っても1-4枠が複勝率24.1%、複回収率96%に対し、5-8枠は同13.9%、複回39%。内枠がいい。

4角通過順別だと5番手以内が好走率、回収率の両面で圧倒している。

なお阪神大賞典の時は「序盤は後ろにいて、4角までにマクってきた馬が好成績」という補足を付けたが、この天皇賞(春)に関しては「初角通過順」を見ても…

5番手以内:複勝率23.8%、複回105%
6番手以下:複勝率16.1%、複回45%

なので、シンプルに前で運べる馬が有利と解釈していい。

前走について

条件戦からの参戦は【0-0-0-7】、OP・リステッド組は【0-0-0-5】。さすがに格式高い古馬GⅠだけあって、これらの組はそう簡単に好走できない。

重賞組はレース別に見る。まずは阪神大賞典が【4-6-5-50】複勝率23.1%。その勝ち馬が【4-2-2-1】複勝率88.9%、単回収率196%、複回収率152%なので、素直に信頼してよい。同2~6着くらいは団子状態。7着以下は【0-0-1-14】と落ちる。

日経賞組は【2-1-2-37】複勝率11.9%とやや劣勢。こちらは3着以内【2-1-2-16】複勝率23.8%、複回収率79%に対し、4着以下【0-0-0-21】。

大阪杯組はGⅡ時代が【1-0-0-1】、GⅠ昇格後【1-1-0-4】。出走数は少なめだが、出てくれば結果は出す。ただし好走例はキタサンブラック2回とシュヴァルグラン1回。キタサンは菊花賞馬、シュヴァルグランはこの前年にも天皇賞(春)で2着だった。「中距離馬が結果を出す」のではなく「合わない2000mを使った長距離馬」がいい。

ダイヤモンドS組は【0-1-1-14】複勝率11.1%。ただ、勝ち馬に限れば【0-1-1-4】とそう悪くもない。変則形だが昨年はテーオーロイヤルが間に阪神大賞典を挟んで優勝した例もある。ヘデントールは嫌いすぎないようにしたい。

天皇賞(春)2025の参考レース

参考レース① 阪神大賞典

レース映像(Youtube、JRA公式チャンネルより)

トラックバイアス:フラット~やや内有利
展開:スローからのロングスパート
→戦前の想定通りマコトヴェリーキーが先頭に立ちかけたが、それをサンライズアースが制してハナへ。2周目向正面まで淡々と流れたが、何故かサンライズが内を空けると、そこを突いてマコトが一気に仕掛けた。残り6Fから11.7、次区間11.2が最速という超ロングスパート戦で、最後は勝ち馬を除いてバテバテ。消耗戦適性の高い馬、距離ロスを抑えて乗られた馬が有利なレースだったと評価する。

1着サンライズアースは1周目逃げてレースを運んだが、2周目向正面で先頭を譲って2番手。こういうロングスパートはお手のもので、直線は他馬が苦しくなるのを尻目にみるみる突き放していった。やはりスタミナ抜群で長距離適性が極めて高い。天皇賞(春)も楽しみになった。

3着ブローザホーンは中団馬群の一角を追走。ロングスパートの消耗戦を4角まで内で立ち回り、得意かつ有利な展開になった。その上で勝ち馬から1.1秒差離れた3着がやっと。近走に比べれば復調の兆しは見せたが、良かった頃に比べると程遠い。

4着ショウナンラプンタは序盤最後方でじっくり。2周目3~4角、ペースが締まった区間で大外を回して脚をロスし、その分直線は伸びを欠いた。勝ちにいかなければいけない1番人気という立場が災いした。立ち回り次第で2着まではあっただろう。ただ、勝ち馬には完敗。

7着ワープスピードは先行策。2周目向正面でペースが上がると手応えが悪くなり、そのまま徐々に後退していった。元々ロンスパが得意な馬ではないが、それにしても寂しい内容。昨年に比べてややパフォーマンスダウン。

参考レース② ダイヤモンドS

レース映像(Youtube、JRA公式チャンネルより)

トラックバイアス:内外フラット
展開:スロー
→セイウンプラチナの逃げで1000m通過63.6秒。次の1000mも63.6秒で流れ、ラスト3F11.4-11.6-11.9。スローペースだった。また道中はそのスローにもかかわらず馬群がかなり縦長になっていた。前にいた馬が恵まれたレースと評価する。

1着ヘデントールは出遅れ癖のある馬だが、今日はなんとか五分に出た。道中は5番手の外目でずっと手応えがよく、2周目4角で仕掛けると一気に加速。あっという間に先頭に立ち、あとは後続を突き放す一方で4馬身差の完勝だった。時計は遅いが、スローペースに加えて開催中に雪が舞う時間もあり、そこは減点しなくていい。GⅠでも楽しみ。

2着ジャンカズマはスローペースの2番手を追走。ヘデントールにマクってこられても無理に抵抗せず、自分のタイミングを守って直線に向いてから仕掛けた。なんとか2着は守ったが、勝ち馬よりハンデも3キロ軽く、着差的にも内容的にも完敗。相手が上がってどうこうという感じはない。

4着ワープスピードはヘデントールをマークするような位置で運び、2周目4角で外から動いたが、そこでヘデントールに抵抗されて内から4頭目あたりを回らされた。ただ、そのロスがあったとはいえジャンカズマをかわせず、後ろからヴェルミセルにも差されてゴール。あまり褒められる内容ではなかった。もっと溜めて直線だけに賭ける競馬の方が合う。

参考レース③ 日経賞

レース映像(Youtube、JRA公式チャンネルより)

トラックバイアス:内外フラット(やや前残り)
展開:ややスロー
→この日は雨の影響を受けて稍重馬場。内外のバイアスではないと思うが、差し勢のキレが削がれて前残りの傾向があった。前後半6Fで割ると75.9-73.7なのでバランスとしては遅めの流れだが、レース上がり3Fは37.2秒を要した。前に行った馬、道悪適性のある馬が恵まれたレースと評価する。

1着マイネルエンペラーは鞍上が積極的に促して3番手へ。この日の馬場傾向を考えればまずはこれが好判断だった。2周目は4角からビシビシと追ってエンジンをかけ、直線も粘り強く脚の使って後続の追い上げをクビ差しのいだ。力を付けているのは確かだが、ゴールドシップ産駒の道悪&消耗戦巧者であり、今回は馬場の恩恵も大いにあった。

9着アラタは好位のインを追走。直線はやや前が塞がりかけていたが、開いていても突き抜けるほどの脚勢ではなかった。最近特に速い上がりが使えなくなっているので、こういう馬場と2500mの距離はマッチした。

12着シュヴァリエローズは外枠もあってほぼ最後方から。4角も馬群の一番外を回す粗い競馬になり、ジリジリ伸びてはいるが前が遠かった。展開と馬場が向かなかった。着差0.5秒ならそこまで悲観しなくていい。

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