NHKマイルC2025 上位人気想定馬の評価
アドマイヤズーム
能力評価:★★★★★
得意条件:不明
《寸評》
朝日杯FSを0.4秒差で快勝した2歳マイル王。2番手先行から上がり最速、ラスト10.9-11.0で他馬を突き放した。当時の2着ミュージアムマイルが皐月賞を制し、3着ランスオブカオスと5着アルテヴェローチェがチャーチルダウンズCでワンツー。メンバーレベルもGⅠらしい高さであった。
前走は休み明け+8キロでの出走。初の関東圏遠征を経験した。2着に終わったものの、直線半ばで一度抜け出す場面は作っており、始動戦としては及第点。川田騎手曰く「難しさのある馬」で「止まらない」とのことだが、今のところレースでは上手に走れている。先行力も瞬発力も兼備しており、素直に信頼したい。
ランスオブカオス
能力評価:★★★★
得意条件:1600m以下
《寸評》
新馬戦は出遅れながらもラスト11.6-11.1の加速ラップを大外から差し切って2馬身半差勝ち。ポテンシャルの高さを見せた。続く朝日杯FSは前後半48.0-46.1のスロー前残りのなか、後方からただ1頭追い込んで3着まで浮上した。ただ、上がり3Fでもアドマイヤズームには見劣っており、着差0.8秒の通り能力差はある。
きさらぎ賞は相手が強かったのもあるが、距離も1ハロン長かった。チャーチルダウンズCは好時計勝ちも、2着馬は朝日杯FSで既に下していたアルテヴェローチェで、他のメンバーレベルは微妙だった。特に2歳時の評価を更新させるものではない。今回は初の関東輸送、左回りにもなる。有力馬の1頭ではあるが、あえてアドマイヤズームより優先する材料は欠く。
イミグラントソング
能力評価:★★★★
得意条件:高速決着
《寸評》
デビュー戦はそこまで目立たない敗戦だったが、2戦目でラスト10.9-10.9のラップを叩き出して5馬身差の完勝。続くひいらぎ賞はレコード決着でこの世代屈指のハイレベル戦。2着だったこの馬の走破時計1:32.5でも同日メインのターコイズSより0.7秒速かった。
2走前は前後半48.8-46.2のスローペースで前を捕まえきれずの敗戦。ニュージーランドTはやや外有利のトラックバイアスに恵まれた部分もあるが、2歳王者アドマイヤズームを差し切った。例年NZTはメンバー低調になりやすい前哨戦だが、今年に関してはそのアドマイヤや重賞好走馬コートアリシアンらの参戦もあって、チャーチルダウンズCよりレベルが高かったと見る。東京は経験も適性もある舞台。引き続き有力視。
マジックサンズ
能力評価:★★★★
得意条件:道悪
苦手条件:中山△、2000mはやや長い?
《寸評》
須貝厩舎の期待馬に多い函館芝1800mデビュー。新馬をきっちり勝つと、続く札幌2歳Sでアルマヴェローチェ(阪神JF勝ち、桜花賞2着)を破った。ただし外有利のトラックバイアスが向いた面はあった。
ホープフルSは序盤で他馬と接触があり、その後は折り合いを欠いたまま外々を回されてトラックバイアスにも逆行。コーナーは膨れており、全体的にまともな競馬ができなかった。参考外。前走の皐月賞は早仕掛けに付き合わず、4角は大外を回して上がり最速6着。展開利もあったが、そもそものレースレベルが非常に高い皐月賞でここまで走れたのは立派。
母コナブリュワーズは現役時代1200-1400mで4勝を挙げた短距離馬。この馬の半姉にあたるコナコーストはチューリップ賞と桜花賞で連続2着ののちオークスと秋華賞では振るわなかった。その血統面と、ホープフルSの負け方を見ても、2000mは気持ち長いと思う。中山だとコーナリングもやや粗いので、東京マイル替わりは結構なプラス要素。要警戒の1頭。
サトノカルナバル
能力評価:★★
得意条件:不明
《寸評》
6月東京の新馬戦を7馬身差勝ち。ただ、勝ち時計1:23.6は決して優秀と言えず、2着以下の馬からは未だに勝ち上がりが1頭も出ていない。レースレベルに疑問符がつく。2戦目の函館2歳Sも外差し遅刻の4着ヤンキーバローズを除いてメンバー低調であった。まだ強い相手を破ったレースがない。
共同通信杯はスローの4番手を追走するも、2-4着馬に後ろから差されて5着止まり。あまり内容のいい負け方ではなかった。200mの短縮は若干のプラス材料だと思うが、GⅠに混ざると能力劣勢と見る。
アルテヴェローチェ
能力評価:★★★
苦手条件:瞬発力勝負、スローペース
《寸評》
デビュー2連勝でサウジアラビアRCを制覇。稍重ながら時計は1:33.0と優秀だったが、7頭立ての少頭数かつ前後半45.7-47.3のハイペースで差し馬に展開は向いた。当時の2着馬タイセイカレントはファルコンS11着、3着マイネルチケットはシンザン記念4着など、破った相手もそこまで目立たない。
朝日杯FSはスローで序盤引っかかるロスがあったとはいえ、上位3頭には上がりでも負けての5着止まり。はっきりと力量差を感じる敗戦だった。チャーチルダウンズCで当時の3着馬ランスオブカオスと再戦し、やはり0.3秒差負け。こちらも2歳時の評価を更新させる走りではなかった。
これまで自身が使った上がりは前走の34.1秒がベスト。上がり最速は一度もない。あまり瞬発力に長けた馬ではなく、良馬場の東京マイルは適性面でも微妙。