【桜花賞】好素材多数もコース適性に差あり 有力馬の調査レポート

中央競馬予想

桜花賞2025 上位人気想定馬の評価

エンブロイダリー

能力評価:★★★★★

得意条件:高速決着、持続力勝負

《寸評》
3代母にビワハイジ、近親にブエナビスタやアドマイヤジャパンらがいる超良血馬。これまで5戦して2度敗れているが、新馬戦はドスローからラスト11.0-10.9の極限キレ味勝負で前を差し損ねただけ。サフラン賞は出遅れて後方で包まれ、完全に仕掛け遅れの失敗騎乗だった。

未勝利勝ちは逃げて上がり最速のレコードV。1勝クラスはスローからラスト11.0-11.0の展開を差し切った。2着ボンヌソワレも後のフィリーズレビュー3着馬。価値が高い。

そして圧巻だったのがクイーンC。前半3F34.2秒のハイペース、その後11.5-11.5-11.5と道中もタイトな流れで他の先行勢が失速していくのを尻目に、この馬だけスイスイと走り切って完勝。勝ち時計1:32.2は3歳3月以前のマイル戦としては史上最速だった。コートアリシアン、マディソンガール、ショウナンザナドゥといった実力馬ですら馬券に絡めないほどレースレベルが高かった。能力はここでも頭ひとつ抜けているという見解で、鞍上にもモレイラを配してぬかりはない。

不安要素を挙げるなら今回が初の関西圏になること。栗東で調整されているが、昨年チェルヴィニアの例もあるように、全ての馬に栗東滞在が合うわけではない。あとは週末雨マークが出ているのも気になる。この馬の道悪適性は未知だが、他の有力馬には渋って嬉しい馬が多い。雨が降ると優位性が減少する。高速馬場でやりたい。

エリカエクスプレス

能力評価:★★★★

得意条件:ハイペース、内回り系
苦手条件:折り合い△、スローペース、瞬発力戦は?

《寸評》
新馬戦は逃げて12.7-11.0-11.4-11.7-11.9-11.8-12.1-12.1というラップ構成。序盤突っ込んで後半徐々に減速しながら押し切った。全体時計1:34.7は同日古馬3勝クラスと0.4秒差の優秀な記録だが、折り合い面に課題を感じさせる走りであった。

2戦目のフェアリーSは他馬がテン3F34.1秒と飛ばしてくれたのも功を奏し、好位でなんとか我慢が利いた。4角で早々にティラトーレを捕まえると、あっさり抜け出して3馬身差勝ち。勝ち時計1:32.8はレースレコードを大幅に更新するもので、前週に行われた(ファンダムの)ジュニアCより0.7秒も速かった。パフォーマンスとして優秀だったのは間違いない。

ただし懸念が残ったまま。前走はペースが流れたからよかったものの、スローでは折り合えない可能性がある。また血統的にも父エピファネイア、母父ガリレオで、持続力を問うタフな競馬が合いそうな反面、阪神外回りマイルの上がり勝負だと適性からズレるのでは。実際、ここまでの2戦で自身は上がり36.0秒、35.1秒とどちらも「トップスピードが要らない競馬」で勝ってきた。

母父ガリレオといえば、新馬戦とシンザン記念を上がり34.4秒、35.1秒で連勝したリラエンブレムが先日毎日杯に出走し、瞬発力勝負にまるで対応できず7着に敗れた例がある。ハイ逃げで後続にどんどん脚を使わせていく戦法ならチャンスはあると思うが、ソロっと乗って脚を残すのが戸崎騎手の基本スタイルで、そういう策も考えにくい。能力は認めつつも、条件とオッズ的に疑ってかかりたい。雨が降れば相対的に評価アップ。

アルマヴェローチェ

能力評価:★★★★

得意条件:持続力勝負、道悪
苦手条件:マイルの瞬発力勝負は?

《寸評》
新馬戦の勝ち方はさほど目立つものではなかったが、札幌2歳Sは外有利のトラックバイアスに反するイン突きでハナ差2着と力を見せた。阪神JFは外差し有利の馬場と展開に乗じたとはいえ、ラスト11.5-11.4の加速ラップを差し切った。素直に評価できる勝ち方であった。

ただし、この世代に限り「阪神JFと桜花賞のコースが違う」という特殊事情がある。マイルCSの時などにたびたび書いているが、主にラスト3ハロンの直線切れ味勝負になる「阪神外回り」と「東京」マイルは親戚のような関係で、下り坂から4ハロンのロンスパ持続力勝負になる「京都外回り」のマイルは質的に異なる。京都マイルは比較的、中距離質の馬に向きやすい。実際昨年の阪神JFは1~3着いずれも距離短縮組だった。

この馬も札幌2戦の上がりが36.0秒、36.3秒だったハービンジャー産駒。京都代替と当日のひと雨が味方した。上がり33秒台、あるいは1F11秒台前半のトップスピードが必要な競馬はまだやっていない。阪神マイルの切れ味比べには不安がある。雨がたくさん降ってほしい。

ビップデイジー

能力評価:★★★★

得意条件:中距離向き?

《寸評》
4代母キャサリーンパーからクリソベリル、クリソライト、マリアライト、ダンビュライトなどの重賞馬が出ているファミリー。上記の面々から分かる通り、ダート馬や道悪巧者、非根幹距離の消耗戦巧者が多く、東京や阪神外回りでキレッキレの脚を使う一族ではない。そこに父サトノダイヤモンドがついた。そもそもマイラーではないと思う。

紫菊賞はラスト11.4-11.2-11.0という加速ラップを踏んで勝利。200m短縮で臨んだ阪神JFは序盤モタモタするのを鞍上が促して中団へ。直線は馬場のいい外まで急ハンドルを切って2着まで伸びてきた。能力を見せたが、マイルは忙しいレースぶり。先に述べた「中距離質の馬にも向く」京都での代替が味方した。

チューリップ賞は賞金が足りている立場の叩きで、スローの上がり勝負に見劣ったもの。悲観はしなくていい。が、やはり阪神マイルがベストではなさそう。オークスや秋華賞でより高く評価したい馬。おそらく馬場は渋った方がいい。

リンクスティップ

能力評価:★★★★

得意条件:中距離
苦手条件:マイルへの対応、瞬発力勝負に不安

《寸評》
新馬戦は大出遅れをかましながら、のちの若駒S2着ミッキーゴールドとタイム差なしの接戦。2戦目は単なる未勝利ではなく前走2-3着馬が10頭も集合する好メンバー。4角先頭で上がり最速V、勝ち時計2:00.8は翌日の3勝クラス(ホウオウプロサンゲ)より速かった。

きさらぎ賞は稍重で1000m通過58.7秒のハイペースを果敢に先行。勝ち馬には3馬身離されてしまったが2着を確保した。3着馬ランスオブカオスがチャーチルダウンズC勝ち、8着ミニトランザットが同3着、10着ウォーターガーベラがチューリップ賞2着など、メンバーレベルもそこそこ高かった。能力的にはGⅠでも面白いかもしれない。

ただしデビューからの3戦は1800~2000mを使われてきた馬で、自身の上がり自己ベストは34.7秒。この馬も切れ味勝負の経験がなく、阪神マイルの適性に疑問が残る。おそらく馬場が渋ってくれた方が相対的に有利。

パンパン良の高速馬場ならエンブロイダリー1強、雨が多量に降るなら想定2~5番人気との差が詰まって大混戦。そんなイメージを持っている。

ショウナンザナドゥ

能力評価:★★★

得意条件:持続力勝負
苦手条件:遠征△?

《寸評》
2歳6月時点で1:33.5の好時計をマークして未勝利勝ち。ただ、その割に秋以降は「重賞級の1頭」くらいの立場に甘んじてしまっている。

アルテミスSはスローペースを差して展開向かず、阪神JFは逆にハイペース外差し競馬を先行して展開向かずの小差4着。この2戦はいいとして、クイーンCはハイペースを前で運んだエンブロイダリーが突き抜けるのと対照的にこちらは失速して1.2秒差負け。関東への遠征で-6キロ、イレ込みもあったようだが、クラシック候補からは後退と言わざるを得ない。

フィリーズレビューはメンバー低調かつ内が大渋滞。何もできなかった馬が複数発生しており、総じて参考にならないレース。クイーンCで下げた評価をV字回復させるには至らない。

タイトルとURLをコピーしました