超私的・2023年JRA賞授賞式

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はじめに

1月9日に2023年のJRA賞が発表された。もはや毎年の恒例行事だが、この賞が発表されると、

「なぜ○○が選ばれないんだ!」「▲▲に投票した記者ふざけるな!」

という方々が一定数現れ、個人的にはその風潮がすごく苦手だったりする。

あくまでわたしは「おのおのが自分の尺度で、好き勝手に好きな馬を表彰し、労い、称えればそれでいいんじゃないか?」というスタンスであり、別に他人の投票結果に全く興味がない。

ということで、今年も「超私的・2023年JRA賞授賞式」を開催します(※実は以前にもやっていた。ネットの海のどこかに転がってます)。わたしが独断と偏見でJRA賞の各部門を表彰し、その馬たちにコメントを添えていきたいと思う。

ルールは3つ。

1.実際のJRA賞で選出されなかった馬から選ぶ
2.実績にとらわれず、主観的な理由や私情で選ぶ

3.地方・海外での活躍も考慮するが、地方馬は対象外

それでは各部門受賞馬の発表に移ります。

最優秀2歳牡馬

フォーエバーヤング(栗東・矢作芳人 3戦3勝)

新馬戦では内枠から馬群の中で砂を被りつつ追走し、ラスト12.8-12.2という強烈な加速を見せたダート界の大器。この内容の素晴らしさはJBC時の当ブログでも取り上げた通りだったが、その期待通りにJBC2歳優駿を制覇。

そして度肝を抜かれたのが全日本2歳優駿。重賞勝ち馬イーグルノワールをなんと7馬身ぶっちぎり、ラスト1F12.6でまとめて見せた。この川崎開催は馬場が非常にタフで、全体時計含めちょっと考えられないくらいの数字といっていい。今年は海外か国内かまだ不明だが、国内に目を向けるなら新設されたダート三冠の初年度を象徴するような1頭になっていくだろう。

最優秀2歳牝馬

ボンドガール(美浦・手塚貴久 2戦1勝)

昨年秋、幾度となく使ったフレーズが「華のボンドガール組」。2歳戦開幕週の東京マイル新馬に登場し、稍重馬場で叩き出したのは勝ち時計1.34.6、後半1000m57.5秒という衝撃的なタイムだった。このレベルを裏付けるように、2着チェルヴィニア、3着コラソンビートが重賞勝ち。4着マスクオールウィンは1200m戦で2勝を挙げ、5着アンジュグルーヴ、6着キャットファイトまでが既に勝ち上がった。

自身はサウジアラビアRC2着ののち、阪神JF当週に放馬で無念の回避。しかし打撲なら不幸中の幸いといったところか。「伝説の新馬戦」を牽引していく存在になる。そう信じて疑わない。

(タガノエルピーダど迷いました。レガレイラは言うまでもないけど)

最優秀3歳牡馬

スキルヴィング(美浦・木村哲也 3戦2勝)

木村哲也厩舎のキタサンブラック産駒。年明け初戦のゆりかもめ賞は雄大な馬体で他馬を置き去りにし、2.24.8の好時計で3馬身差の圧勝。これは3歳3月までの芝2400m戦としては史上最速の記録だった。1倍台の支持を集めた青葉賞も外を堂々と回る貫録の競馬でのちのダービー3着馬ハーツコンチェルトに力の違いを見せつけた。

「ついに青葉賞からダービー馬が出る」。そんな期待に満ち溢れたわたしの想像は、残念ながら現実のものにならなかったけれど……。その短い競走生活と、秘めていた無限の可能性に敬意を表して。

最優秀3歳牝馬

マスクトディーヴァ(栗東・辻野泰之 5戦3勝)

3歳1月にデビューして勝利を飾ると、オークス出走へ負けられない戦いだった忘れな草賞は7着。ただし明らかに内回りのコーナリングを苦にした敗戦であり、能力に底を見せたわけではなかった。6月に自己条件をひとつ勝ち、夏をしばしの休養に充てると、仮面の下に秘められた真の実力が明らかになる。

ローズSは内有利馬場の高速決着を、外追走から外差しという豪快な競馬で勝利。のちのGⅠ馬ブレイディヴェーグを破り、時計は1.43.0の世界レコードというおまけつき。続く秋華賞は不得手な内回り、スローペースに泣かされたものの、ゴール前は女王リバティアイランドが止まって見えるほどの鬼脚を繰り出した。今年は果たしてどこまで強くなるのか。非常に楽しみな1頭だ。

最優秀4歳以上牡馬

ジャスティンパレス(栗東・杉山晴紀 5戦2勝)

春は阪神大賞典→天皇賞(春)→宝塚記念という古風な王道ローテを歩んで1着→1着→3着といずれも結果を出した。秋も天皇賞(秋)→有馬記念と使って2着→4着。有馬は若干展開や騎乗面で上手くいかなかった感もあるが、1年通じて古馬中長距離路線を賑わせてくれたことにいちファンとして感謝したい。稀代の名馬、大種牡馬・ディープインパクト最後の大物として、今年も大舞台での活躍に期待しています。

最優秀4歳以上牝馬

スターズオンアース(美浦・高柳瑞樹 4戦0勝)

競馬ゲームで再現するなら距離適性の査定に困る類の馬。ベストの距離はおそらく2400~2500mなのだろうが、能力と非凡な対応力でマイルGⅠまでこなしてしまう。春は大阪杯→ヴィクトリアマイルとどちらも今ひとつ適性から外れた条件を使って2着→3着。秋は天皇賞(秋)を頓挫で回避してジャパンCに出走。イクイノックスの背中はさすがに遠かったが、もう1頭の怪物牝馬リバティアイランドには肉薄するところまで行った。この時に大きく馬券をとらせてもらった恩馬でもある。

年内最後は「有馬記念の16番」vs「有馬記念が宇宙一巧い男・ルメール」というほこたて対決に臨み、好発を切ってイン2という超次元騎乗に応えて見事にジンクスを打ち破った。強さと巧さを兼ね備えた、サラブレッドの理想に近い。春はどうするんでしょう。広い2400mで見たいから、ドバイシーマクラシック使ってほしいな。

最優秀スプリンター

ナムラクレア(栗東・長谷川浩大 5戦2勝)

ズバ抜けた存在がいない現在の国内1200m路線において、3歳秋以降はずっとこの馬が最強だと思っているのだが……。なにしろ運がない。3歳スプリンターズSは内が反則的に有利な馬場で外を回り4角不利。昨年の高松宮記念は不良馬場で2着、スプリンターズSは3コーナーでママコチャに先制された分が最後まで響いての3着。もどかしいとはまさにこのこと。なんの慰みにもならないとは思いますが、わたしからの敢闘賞を差し上げます。今年はなんとかGⅠ勝とうね。

最優秀マイラー

ナミュール(栗東・高野友和 6戦2勝)

競走馬は成長する。ジャスタウェイやリスグラシューがそうだったように、競走能力が飛躍的に向上する例もあるが、「それまでできなかったことを克服する」という例もある。だからサラブレッドというのは面白い。時に我々の想像を裏切って上方に突き抜ける。

馬体が小さく、連戦だとその維持に苦労していたかつてのナミュール。しかし「食に興味を持ちだした」という師の言葉通り、2023年は一貫して450キロ前後の馬体をキープ。鬼門の中3週で臨んだマイルCSでは並みいる強豪マイラーを上がり33.0秒でなぎ倒し、さらに中2週&海外輸送という厳しいハードルも乗り越えて香港マイルでも3着に入った。ビュイックの言葉を拝借すれば「スーパー牝馬になってきました」。このスーパー牝馬が2024年、どのような走りを見せてくれるのかが楽しみで仕方ない。

最優秀ダートホース

デルマソトガケ(栗東・音無秀孝 4戦1勝)

年内は日本国内での出走がなかったため、ともすれば影が薄い印象かもしれないが、ブリーダーズカップクラシック連対の偉業はもっと話題になってほしいもの。ダート大国アメリカに乗り込み、相手のホームで、古馬最高のタイトルに手をかけたのだから。

ドバイWC勝ち馬ウシュバテソーロに先着し、UAEダービーで破ったドゥラエレーデはチャンピオンズC3着、東京大賞典3着と砂界での立場を築きつつある。その2頭を物差しにすれば、日本の現役最強ダート馬と評価しても過言ではあるまい。今年も日本代表として海外のビッグタイトルに挑んでほしい。

最優秀障害馬

イロゴトシ(栗東・牧田和弥 5戦2勝)

ヨカヨカの活躍で話題になった「九州のノーザンファーム」こと本田土寿牧場が送り出したヴァンセンヌ産駒。2歳時には九州産馬限定のひまわり賞を制しており、火の国の誇りを背に平地3勝クラスまで上り詰めた。

2023年は活躍の場を障害に求めると、2戦目で勝ち上がり、4戦目で中山グランドジャンプを制覇。黒岩悠騎手に悲願のJ・GⅠタイトルをもたらした。

ちなみに馬主は日本語の一風変わった馬名を付けることでおなじみ内田玄祥氏。浦和で「アルヒモリノナカ」「クマサンニデアッタ」「ハナサクモリノミチ」「アトカラツイテクル」「トコトコトッコトコ」「ラララランランラン」などの「森のくまさん」関連馬を数多く所有している。森のくまさんの何がそこまで琴線に触れたのか。謎は深まるばかりだ。

年度代表馬

ドゥラメンテ(美浦・堀宣行)

ディープインパクトの死を受け、日本競馬は再び「種牡馬戦国時代」に突入。長きにわたった王座を陥落させたのがドゥラメンテだった。

もとい、ドゥラメンテに限らず、昨年は2015年クラシック世代が脚光を浴びた一年だった。キタサンブラック産駒イクイノックスが頂点を極め、それに対してドゥラメンテ産駒のリバティアイランド、スターズオンアース、タイトルホルダーが包囲網を形成。サトノクラウンの仔タスティエーラがダービーを勝ち、リアルスティール産駒のレーベンスティールが貴重なトウカイテイオーの血を繋げようとしている。「ウマ娘」のアニメがキタサンブラックを主役にしていたこともあり、そこから入ったファンには特別な感慨もあったのではないか。

残念ながらドゥラメンテは既に早逝。この天下は長く続くものではなく、また新たなリーディングサイアーが生まれる。それが同期のキタサンブラックなのか、前王朝の後継者であるキズナやコントレイルなのか、あるいは「史上最強馬」を名乗れる高みへたどり着いたイクイノックスなのか。

日本競馬の未来に思いを馳せ、宴もたけなわ、このあたりで授賞式をおひらきにいたします。受賞馬と関係者のみなさま、昨年は素晴らしい競馬をありがとうございました!

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