【神戸新聞杯】ダービー組それぞれに不安点あり 有力馬の調査レポート

中央競馬予想

神戸新聞杯2024 上位人気想定馬の評価

メリオーレム

能力評価:★★★

得意条件:長距離適性高い?
苦手条件:右回りだと内にモタれる

臨戦過程:7月の2600m戦を勝ってから中10週。精力的に攻められて権利獲得への意欲見える

《寸評》
ハーツクライらしい晩成ステイヤーだったシュヴァルグランの初年度産駒。春はすみれS3着、プリンシパルS2着とリステッド好走級だったが、小倉芝2600mに距離を延ばして2勝クラスを圧勝した。相手は手薄だったが、55キロ(=古馬牡馬換算58キロ)の実質トップハンデで後続を千切ったあたり、長い距離への適性を感じる。

右回りだと右にモタれて追いづらくなる面があり、左回りに替わるのはプラス要素。あとは他との比較だが、今年の神戸新聞杯は例年なら核となる日本ダービーの上位馬が全くいない。最先着の10着ジューンテイクとすみれSで0.5秒差だったわけで、レベル感としては通用していい。陣営も菊花賞に出したい意欲が強いはずで、中間も精力的に攻められている。有力視。

メイショウタバル

能力評価:★★★★

得意条件:道悪
苦手条件:距離に不安

臨戦過程:日本ダービーを左後肢ザセキのため取消。デビューから使い詰めだった馬で、休み明けでのパフォーマンスは未知数。調教は動く

《寸評》
毎日杯は逃げて上がり最速をマークしての6馬身差勝ち。ゴールドシップ×フレンチデピュティの血統から重馬場が得意なのも確かだろうが、勝ち時計1:46.0は現行距離の毎日杯史上2位タイの記録であり、決して「道悪で着差がついただけ」でもない。負かした相手もノーブルロジャーが米子S4着、ベラジオボンドが1勝クラス勝ち、スマートワイスが2勝クラス勝ちなどそこそこ活躍しており、このパフォーマンスは高く評価する。

皐月賞は暴走逃げで1000m通過57.5秒。玉砕やむなしの展開だった。普通に走れば即巻き返し……と思う一方、あの折り合いだと2200mへの対応に不安も残す。初角までが非常に長い中京芝2200mは自然と序盤のピッチが上がってしまいやすいコース形態でもある。我慢できるかどうかが焦点。

ジューンテイク

能力評価:★★★

得意条件:レース巧者、消耗戦◯

臨戦過程:日本ダービーから中16週で秋の始動戦。菊花賞への賞金も足りていて、今回は叩きの一戦

《寸評》
京都新聞杯は内有利の馬場で最内枠。逃げたウエストナウが初角で逸走する事象で他の先行勢が不利を受けるのを尻目に、この馬はイン3で不利もロスもなく追走。直線も空いた内をすり抜ける100点満点の好騎乗で勝った。今回のメンバー中だと日本ダービー最先着馬になるが、ダービーはやや内有利馬場のドスローでイン前有利な決着。他馬よりイン前にいたということに尽きる。ここ2走は恵まれた要素が大きい。

菊花賞に向けて賞金が足りている立場でもあり、ここメイチの仕上げとは考えにくい。レース巧者で安定感はあるが、馬券的に買うタイミングではないと見る。

オールセインツ

能力評価:★★★

得意条件:スローの瞬発力勝負

臨戦過程:夏場に条件戦を二つ勝って中6週でトライアルへ。1週前はメリオーレムと併せて先行遅れ

《寸評》
新馬戦では後に1勝クラスを勝つアスクカムオンモア(※油断騎乗気味)を破って勝利。追走にまごつく部分はあるが、エンジンがかかると強烈な脚を使う。

京都新聞杯は流れに乗れないまま終わった大敗。京都の1勝クラスでは上がり33.1秒、ラスト10.9の加速ラップを出して差し切り、月岡温泉特別は前後半64.6-57.1の超スローペースで上がり32.3秒をマーク。ラスト10.7-10.9という展開を差し切った。スローの上がり勝負なら強い。

ただ、中京芝2200mは前記の通りテンが速くなりやすく、2度の急坂越えもあるタフなコース。瞬発力タイプよりジリっぽい馬が走る。しかも大外ぶん回しが届きにくい形状でもある。ここ2走のように「切れ味で大外から一刀両断」という競馬にはまずならない。コース相性に疑問が残る。

ビザンチンドリーム

能力評価:★★★★

苦手条件:左回り? 関東圏?

臨戦過程:日本ダービーでシンガリ負けを喫して中16週で秋の始動戦。春に比べて調教の時計は短縮

《寸評》
新馬戦は阪神開幕週芝2000mのどイン前競馬を大外ぶん回しで差し切り、ラスト11.7-11.5-11.3の加速ラップを叩き出す好内容で、密かにダービー候補と見ていた。きさらぎ賞も出遅れが響いて4角は大外ぶん回し。これも絶望的な競馬をしているが、ラスト11.1-11.3を無理やり差し切った。皐月賞は前2走の比にならないほど大きく出遅れてしまい、4角は大外を回った上に、逸走したサンライズアースから不利も受けた。弱り目に祟り目、泣きっ面に蜂だった。

ここまでは力負けがなかったが、日本ダービーだけは負けすぎ。前後半62.2-56.8のイン前決着を後方待機なので届かないこと自体は仕方ない。しかし4角で早々に手が動き、インを突いた割に最後周りの馬に脚色でも劣ってしまったのは不満。左回りがダメなのか、関東圏がダメなのか。敗因をどう見るか次第。能力は高い。

ミスタージーティー

能力評価:★★★★

得意条件:内回り系、消耗戦
苦手条件:瞬発力勝負、高速馬場?

臨戦過程:日本ダービーから中16週で休み明け。1週前追い切りラスト11.6-12.9の減速ラップだったのが懸念点

《寸評》
父ドゥラメンテで、母リッスン、その父サドラーズウェルズという重めの血統。兄姉にサトノルークスやタッチングスピーチがいて、切れ味比べというよりは低速馬場の粘り合いで真価を発揮するタイプだろう。実際、冬のタフ競馬だったホープフルSは進路さえあればもっと上の着順だった。

共同通信杯は1000m通過62.7秒の超スローペースでラスト10.9-10.8の極限切れ味勝負。こういうのは合わない。若葉Sをなんとか勝ったが、皐月賞はレコード決着の高速馬場で適性外、日本ダービーはまたドスローの瞬発力勝負を後方に構え、展開的にも適性的にも向かなかった。春は踏んだり蹴ったり。力負けではない。

中京芝2200mはいかにも合いそう条件。狙ってみたいのだが、ちょっと気になったのは1週前追い切りのラスト11.6-12.9というラップ構成。折り合いがとても怪しい。上手に走れば好勝負になりそうだが……。

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