【ドバイWCデー2024】日本馬の所感

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ドバイ2024日本馬の所感

月末恒例の執筆作業と個人的な事情が重なって、かなり慌ただしい週末を迎えております。

とはいえドバイについて何も言及しないのも、ねえ。と思いまして、せめて日本馬だけでも所感や近走内容をまとめておきます。

ドバイゴールデンシャヒーン

△イグナイター
→JBCスプリントではリメイクを撃破した兵庫の雄。ただ、当時の大井競馬は砂入れ替え&砂厚変更した最初の開催で、馬場がかなりタフだった。1200m戦はスピードタイプが苦戦し、1400mをベストとするような馬が活躍していた。そういう馬場が完全にマッチした面はある。

一般論として、日本の地方競馬より圧倒的な「スピード」が求められるのがメイダンのダートGⅠ。応援はしたいが、苦戦を強いられる可能性が高い。

…ケイアイドリー
→東京盃2.3秒負け、JBCスプリント2.2秒負けの馬で、そもそも今回出走する日本馬内での比較でも厳しい立ち位置。前走リヤドダートスプリントもリメイクから1.6秒離され、初ダートのジャスパークローネからも0.9秒差。厳しい。

▲ドンフランキー
→昨年プロキオンSはテン33.9秒の強気な逃げでリメイクに勝利。3着以下は6馬身離しており、日本のダート短距離馬ではリメイクともどもダブルエースといっていい。

フェブラリーSは骨折明けで距離が長く、また今回のドバイ遠征を念頭に置いた叩きの一戦。しかもテン33.9秒のハイペース逃げでは残らないのも仕方がない。1200mに替わるのは歓迎。ただし前提として、逃げ一手のタイプはもっと速いアメリカ馬が出てくる番組だとモロさを出しやすい。

◯リメイク
国内でもクラスターCで上がり33.5秒をマークするなど、軽いダートを得意とする馬。JBCスプリントの敗戦は前記したタフ馬場が合わなかった中でも格好をつけたものであり、むしろ能力の高さを示したともとれる。海外経験の豊富さも含め、日本勢4騎の比較では断トツだろう。

ただ、リヤドダートスプリントは23.44-22.61-24.43というラップ構成。ハイペース気味で中盤が締まるペースであり、コーナー部でインをぴったり立ち回れた分の利は見た目以上に大きかった。昨年先着を許したアメリカ勢との比較では(日本プールだと)やや人気しすぎの感もある。

ドバイターフ

◯ダノンベルーガ
→直線が長いコースの1800~2000m、キレの生きる馬場がストライクゾーンで、GⅠだと適鞍がココと秋天くらいしかない。

3走前は緩い馬場が合わないなかで4着健闘、2走前は1000m通過57.7秒のハイペースを中団から伸びて2着争いに加わるも、結果的にはもっと後ろから食われた。展開のアヤ。ジャパンCは相手が強すぎたし、距離も長かった。

休み明けも走る馬なので、相手関係は別としてこの馬単体の買い時としては絶好。妙味あり。

◎ドウデュース
→3歳時フランス遠征の2戦は参考外として、昨秋は久々の実戦となった天皇賞(秋)を折り合い欠いて惨敗、ジャパンCは不利なく走り切った上で4着だった。ただ、イクイノックスという史上最強馬がいて勝ち時計は2:21.8、結局ここの3~5着馬が有馬記念でも上位を占めたわけで、レースレベルがSSSSくらいあったという解釈でいいのでは。

有馬は好枠に恵まれた部分もあったが、あまり得意とはいえない2500mで外からあっさりマクり差し。ダービー馬健在を印象付ける内容だった。とはいえ「左回りの2000m前後がベスト」という個人的な見解は変わらず、今回の方が条件はいいと思う。

ただし一応書いておくと、基本的に叩き良化型の馬ではある。古くは2歳アイビーSで太目が残ってしまい、朝日杯FSでそれを絞って勝利。3歳春は弥生賞で敗れたところから3戦目でダービー制覇。ニエル賞は一部報道だと「ダービーより40キロ近く太い」と言われていたし、昨年も秋天7着→ジャパンC4着→有馬1着と上げていった。不安はそこだけ。

△ナミュール
→3歳のころは連戦すると馬体が減ってパフォーマンスも下がっていたが、古馬になってしっかりした。富士Sは1:31.4の好タイムで勝ち、鬼門の叩き2戦目・マイルCSは上がり33.0秒を出して後方一気を決めた。ラスト11.5-11.2の加速ラップを踏むおまけつき。ただし、直線追い風で展開的に恵まれた部分はある。香港マイルはさらに連戦で中2週を克服し、外を回されながら香港最強馬ゴールデンシックスティと0.4秒差。ついに本格化した。

もともとオークス3着もある馬で、1800mは守備範囲だと思う。ただ、路線のレベルとしてSSSS級のジャパンCを戦ってきた前述2騎と比べるとどうか。

ついでに、以下は仮説だがハービンジャー産駒の傾向としてマイルCS>安田記念というものがある。イメージとしては「上がり4F戦に強いが、3F戦に弱い」というのがハービンジャー産駒のマイラーに対して抱いている印象。質として東京に近いメイダン芝1800mが適性的に微妙な気はする。

…マテンロウスカイ
→3走前はスローを前受けしてリステッド勝ち。東京新聞杯はイン有利の馬場で外々を回らされて5着なので悪くなかったが、逆に中山記念勝ちは開幕週のイン前競馬を存分に利したものであった。急激な相手強化で手を出しづらい。

ドバイシーマクラシック

…シャフリヤール
→一昨年覇者で昨年はこのレース5着。昨年のドバイシーマは勝ち馬イクイノックスを筆頭に、出走馬がその後GⅠを勝ちまくるなど、メンバーレベルはかなり高かった。

香港ヴァーズを現地のメディカルチェックで取消になったあと、仕方なく使った有馬記念でも0.3秒差の5着。国内GⅠでも十分戦える力を見せた。が、内枠から好位のインで完璧に乗られた割に、お粗末な競馬になったジャスティンパレスにすら先着を許した点で内容的には物足りず。6歳で大きな上積みも見込めない。

▲ジャスティンパレス
→宝塚記念では対イクイノックス0.2秒差、天皇賞(秋)はハイペースを後方にじっと構えたのが奏功して対イクイノックス0.4秒差2着。有馬記念は4角1~3番手が上位を占める前残りの決着で、後方から外を回して追い込むも届かず。ちょっと溜めすぎた感はあった。

スタミナが問われる競馬なら現役最強クラスであるものの、今回も非常にスローっぽいメンバー。良さは出ない。モレイラ替わりで好位をとれればいいが……。

◎スターズオンアース
→適条件は広いコースの2400~2500m。そういう意味で、デビューからいい条件で走れたのはオークス1着とジャパンC3着の2回だけ。阪神内回りとかヴィクトリアマイルとか、よく崩れないものだと感心すらする。

昨年ジャパンCはリバティアイランドと同じような位置取りから真っ向勝負になり、1馬身遅れをとった。ただ、当時は頓挫明けで斤量2キロ差。今回は斤量差が0.5キロまで縮まる。海外遠征でスローと見れば迷わずハナを切ってくれるルメールが乗るのも心強い。逆転まであっていい。

◎リバティアイランド
→デビュー以来【5-2-0-0】の三冠牝馬。負けたのは直線詰まったアルテミスSと、さすがにイクイノックスが強すぎたジャパンCだけ。どちらかと言えば左回りベターで、距離的にも2400mがベスト。これといって欠点も不安点も見当たらない。スターズオンアースとの一騎打ちになるだろう。

ドバイワールドカップ

…ウィルソンテソーロ
→チャンピオンズCはイン溜めの差しが有利な競馬で、まさに正解の作戦をとって2着。東京大賞典はスロー逃げで展開利があったもの。ウシュバテソーロとは0.1秒差でも能力差を感じる走りだった。

フェブラリーSはハイペースを追いかけすぎたのが敗因だが、それにしてもメンバーレベルを考えれば9着はいただけない。初の海外遠征という点も含め、他の3頭に比べて見劣る。

▲ウシュバテソーロ
→昨年のドバイWC勝ちはパンサラッサとリモースが延々競り合って超ハイペース。イン後方で溜めに溜め、ハマった感じの勝ち方だった。前走のサウジCも前がかなり激しくやり合って展開は向いた。もちろん追い込み馬であるがゆえに、速いアメリカ馬が集まる大舞台で展開的な恩恵を受けるのは必然とも言える。ただ、ここは徹底逃げタイプがそう多くない。昨年ほど上手くいくとは考えにくい。

◎デルマソトガケ
→昨年はサウジダービー3着からUAEダービー勝ちとパフォーマンスを上げた。叩き良化型かつ距離は延びて大丈夫なタイプで、輸送中のアクシデントもあったサウジCからは大幅に条件が好転する。BCクラシックではウシュバテソーロに先着しており、ダート馬の成長曲線も考えれば既にコチラが日本最強という可能性も。

…ドゥラエレーデ
→昨年UAEダービーでそのデルマソトガケの2着。ただ、着差は6馬身と決定的だった。チャンピオンズCはイン有利のコースを先行して上手く乗られた3着、東京大賞典もスローの前残りを先行してウィルソンテソーロをかわせず、後ろからウシュバテソーロにあっさり差された。ダートでは揉まれる形で好走した経験もなく、アメリカの方々との兼ね合いが難しい中、内枠を引いてしまった。厳しい条件。

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