ヴィクトリアマイル
ナミュール
能力評価:★★★★★
得意条件:京都ベターか
苦手条件:以前は連戦×も、克服した感あり
臨戦過程:ドバイ遠征帰りで中5週
《寸評》
2歳時、それこそ新馬戦でラスト10.8-10.7というラップを出した時点から将来を嘱望されてきたが、4歳春まではまさかの無冠。連戦すると馬体が減ってパフォーマンスを落とすという弱点が競走成績にも直結していた。
そんな大器が4歳秋ついに覚醒。富士Sを1:31.4の好タイムで制したところまでは驚かないが、マイルCSはそこから中3週、課題の連戦でも馬体重をキープして出走し、後方から追い風にも乗って直線一気。ラスト11.5-11.2の加速ラップで自身は上がり33.0秒の鬼脚を繰り出した。
さらにさらに、中2週で海外遠征となった香港マイルは外々を回される厳しい形ながら3着に善戦。ドバイターフでは短アタマ差の2着に入った。いつの間にか牡馬を含めても1600~1800mでは現役トップクラスの実力馬になっている。
近走に比べば今回の相手は手薄のひとことで、大崩れはまずないのでは。重箱の隅をつつくと、ハービンジャー産駒は京都マイルに強い反面、東京や阪神外回りのマイルだとそうでもない。そのあたりがやや引っかかる。とはいえ富士Sと同じだけ走れば十分ですからね。
マスクトディーヴァ
能力評価:★★★★
得意条件:直線長いコース
苦手条件:内回りは不得手、ハイペース追走経験乏しい
臨戦過程:東京新聞杯から始動してシーズン3戦目、中4週
《寸評》
デビュー以来7戦4勝、2着1回。崩れたのは内回りに対応できず膨れてしまった忘れな草賞と、大出遅れの東京新聞杯だけ。秋華賞は相手が仕上がり途上だったとはいえリバティアイランドに猛然と襲い掛かる末脚を見せた。終いの爆発力は一級品。
懸念点を挙げるならマイルへの対応。テン3Fは34.4秒までしか経験しておらず、速い流れを追走したときにどうかという疑問は残る。とはいいつつ、今年のヴィクトリアマイルは珍しく1200m質の馬が皆無で、ハナ主張もおそらくコンクシェルだけ。ハイペースになるとは考えにくい。ミドル~遅めの流れなら順当に末脚が発揮されるだろう。
ウンブライル
能力評価:★★★
苦手条件:イン有利馬場は△
臨戦過程:長期休養明けで+22キロと太かった東京新聞杯を叩き、10キロ絞って阪神牝馬S2着。そこから中4週
《寸評》
2歳時はモタモタして操縦性の悪さも目立ったが、ニュージーランドTで初ブリンカーを着けてからは4戦して2着3回とパフォーマンスが上がってきた。唯一崩れた東京新聞杯も上記の通り+22キロの影響が少なからずあったはず。
阪神牝馬Sはマスクトディーヴァより1キロ軽い斤量で2着まで。ただ、これはスローペースで位置取りの差がそのまま着順になっているので、力負けとは言えない。良くも悪くも勝ち馬との勝負付けはまだ。展開変われば逆転があってもいい。
弱点として、馬群で溜めて瞬時に加速するような器用な競馬はできない。前走のように外が伸びる馬場で外に出し、早めからエンジンを温めていく形が合う。枠と当日のトラックバイアスがカギになる。
モリアーナ
能力評価:★★★
得意条件:直線短いコース?
臨戦過程:AJCC4着で中距離に見切りをつけたか、阪神牝馬Sからマイルに路線変更して3着。そこから中4週
《寸評》
2歳時には2番人気で阪神JFに臨むも折り合いを欠いて大敗した。テン33.7秒であれだけ行きたがった通り、スピードがあって気性は前向き。距離はちょうどいい。
ただ、昨年クイーンCではハーパーとドゥアイズに、NZTとNHKマイルCではウンブライルに、秋華賞ではマスクトディーヴァとハーパーに、阪神牝馬Sではマスクトディーヴァとウンブライルに先着を許している。今回戦う相手にまあまあ負けてきた。特段の強調点もないというのがわたしの見立て。あと使える脚が短く、直線が長いコースで正攻法の競馬をするとラスト甘くなる。
スタニングローズ
能力評価:★★★
得意条件:内回り系コース
苦手条件:休み明けは?
臨戦過程:昨年ヴィクトリアマイル以降、腱周囲炎を発症して10か月の休養。大阪杯で復帰して中5週。陣営は一貫して強気
《寸評》
3歳時はスターズオンアース、ナミュールとしのぎを削った。当時の状態に戻れば能力的には足りていい。
大阪杯は前後半60.2-58.0の後傾ラップ。しかしローシャムパークが動いた影響もあって残り1000mから11.5-11.5-11.4と刻まれており、逃げが決して楽な展開ではなかった。0.5秒差の8着なら見直す余地はある。
本来はレースセンスの高さが生きる内回り1周競馬でこその馬。ワンターンのマイルが合うタイプではないし、例年のヴィクトリアマイルはこういう中距離型がことごとく沈むレースでもある。条件はあまりよくない。とはいえ相手は手薄で、ペースもそこまで速くならない想定。すんなり流れに乗れば地力で上位台頭も。
フィアスプライド
能力評価:★★★
得意条件:高速馬場のマイル
苦手条件:1800mはやや長かった
臨戦過程:昨年からは常に間隔をとりながら使われ、始動戦の中山牝馬Sから中8週
《寸評》
3走前の府中牝馬Sは逃げたディヴィーナを除いて実質スローペース。後方から上がり最速32.6秒での0.1秒差4着は注目に値する。実際、同じような競馬で2着だったルージュエヴァイユはその後GⅠで2度好走した。
ターコイズSは枠に恵まれた感のある勝利でそこまで強調点はないが、牝馬どうしのマイル重賞なら上位の力がある点は示した。前走の中山牝馬Sはトップハンデの56キロ、やや長い1800mの稍重馬場、向正面から11秒台が刻まれる中を動いてしまったロスなど、かなり厳しい条件が重なった。0.4秒差9着なら悲観する必要はない。
速い時計が出る馬場、広いコースのマイルはベストといっていい舞台設定。狙うタイミングとしては絶好に見える。ルメール騎乗で過剰に人気しなければ。