【馬券の考え方】1番人気の取捨が決まれば、予想の半分は終わりである

馬券研究・競馬知識

1番人気の取捨が決まれば、予想の半分は終わりである

馬券というゲームは、単にレースの結果を当てればいいというものではない。いや、正確に言うと、本当はレースの結果を当てればいいというものなのだが、現実的には不確定要素が多すぎて的中率はどこかで頭打ちになってしまうため、プラス収支を計上するためにはオッズとの兼ね合い、いわゆる「期待値」を追い求める必要があるということだ。

馬券とは、端的に言えば他の馬券購入者とプールし合ったお金のとり合いをするゲーム。だから、最も多くのプール対象になっている「1番人気馬」の取り扱いが肝要なのは疑うべくもない。

そこで、タイトルのように「1番人気の取捨が決まれば、予想の半分は終わりである」という命題をぶち上げてみた。これは各種データや、年間3000レース以上×5年間ほど購入し続けたわたしの実感に基づくものなのだが、せっかくなので改めて考察を深めて文章化しておこうと思いたった。

・「期待値が高い馬=オッズが高い馬」ではない

まず大前提として、馬券購入者(わたし含む)が陥りがちな勘違いを正しておこうと思う。

それは、「期待値が高い馬=オッズが高い馬」という誤解。仮に「全く好走可能性が同じ2頭」がいるのであれば当然オッズの高い馬の方が期待値は高い、という話であって、単に統計として「オッズの低い馬」と「オッズの高い馬」を比べれば、前者の方が期待値は高い。つまり、「競馬で勝つためには穴を狙わなきゃ」という発想は誤りなのである。

以下、データに基づいて話そう。下記は2022年の中央競馬平地競走における、人気別の回収率だ。

ご覧の通り、1~4番人気の回収率がやや高く、8番人気以下の回収率はやや低い。「俺は穴党だから、穴馬から先に考えるぜ」というのも楽しみ方のひとつとして否定はしないが、単複回収率がトップの上に勝率34.1%、連対率53.0%に達する1番人気馬、これの検討をおろそかにしていては収支もなかなか上がってこないと思う。

・データから分かること

もうひと押し、データを見ると面白いことが分かるので付け加えておく。

下は前記と同じサンプルのうち、「1番人気が連対を外したレース」を抽出したもの。

ここで述べたいのは、1番人気が連を外すことさえ分かれば、「それ以外の何を買っていてもおおよそプラス収支になる」という事実である。逆説的だが、1番人気を上手に取捨選択できれば、「穴馬を見極める目」がなくても人気薄を買って黒字を計上できるのだ。

それをもって冒頭の命題に戻る。もしあなたが穴党で、本命馬の単複回収率が上がらずに悩んでいるのなら、「1番人気が連を外すレース」を徹底的に探して、そのレースにだけ参加してみてはいかがだろう。仮に完璧に「1番人気の連外し」を見抜けるとすれば、雑に馬を選んでも回収率は100%を超えることになる。実戦上そう簡単にはいかないだろうが、丁寧に1番人気を分析することで「雑に選んでも単複回収率90%」ぐらいの有利な状況で戦うことは可能になるはずだ。

また、下は反対に「1番人気が連対したレース」の表。

1番人気馬にまともに走られた時点で、人気薄は単勝、複勝ともに超低期待値、ということが分かるだろう。こういうレースは徹底して「1番人気と何か」で馬連やワイドの低配当を当てていくしかない。そもそもやらないという選択肢もある。

・「飛びやすい1番人気」の特徴

以上で大方終わりなのだが、最後におまけとして筆者が思う「飛びやすい1番人気」の特徴をいくつか書いておこうと思う。主に初心者の方に向けて、1番人気を取捨する際の参考になればと思う。

・経験不足、気性難

2歳戦や3歳春のレースでよく見かけるもの。ダートであれば砂を被る形をやったことがないのに1番人気とか、初の長距離輸送なのに1番人気、初の左(右)回りなのに1番人気、とか。

あとは慢性的にゲートが悪いとか、馬群を捌く器用さがないとか、明確な弱点があるのに「上手く行った時の最高打点」だけで評価されていることがある。注意。

・そもそも大して強くない

身もふたもないが、これが割と頻出だと思う。騎手人気、話題性人気、過去走で展開に恵まれた、などなど。戦ってきた相手や時計などをしっかり吟味してみよう。

・展開不利、枠不利、適性不利

なんだかんだで馬の戦績、あるいは実力がオッズを形成する部分が大きく、明らかに展開や枠が不利なのに1番人気に推されている馬はままいる。京都芝1200m多頭数なのに外の追い込み馬が人気になってるとか、逃げ馬が10頭ぐらいいるのにそのうちの1頭が人気になるとか。あとは距離やコースなど得意じゃない条件に出てきたのに1番人気になってしまうケースもある。

・1番人気が疑わしいレース条件

ハンデ戦や芝の道悪、多頭数の短距離戦、牝馬限定重賞など、そもそも実力と結果がリンクしにくいレース条件が存在する。アートハウスが中山牝馬Sで1番人気だったやつとか……。

・まとめ

今回の内容は以上。

まとめると

・「期待値が高い馬=オッズが高い馬」という認識は統計上誤り

・1番人気が「来ない」レースが分かれば、「それ以外の何を買ってもおおよそプラス収支になる」

・「飛びやすい1番人気」の特徴を把握して、取捨の精度を高める

ということでした。

競馬は血統やドラマも面白いけど、馬券というゲームを構造から考えて勝ち方を探すのも醍醐味だと思いますので、また何か気付きや仮説があれば更新していきます。

※【馬券の考え方】シリーズは「オリジナルの最強馬券予想理論」構築を目指す管理人(鈴木ユウヤ)が、考察や仮説を書いていくものであり、実戦検証中のものも含まれます。したがって当ブログの予想が全てこの考えに立脚しているわけではありません。

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