「9月中山加速ラップ詐欺」再び
「ラスト1Fのタイムがその前の1Fより速くなるラップ構成」を指して「加速ラップ」と呼ぶ。大逃げ等による例外もあるが、基本的には「勝ち馬が脚を余しながらゴールしたこと」を示し、強い馬を発見する手がかりとして評価されている。
ところが昨年9月中山で異常事態が起きた。この「加速ラップ」がやたらと頻発したのである。この件については以前記事にまとめたので、興味のある方はぜひ読んでみてほしい。
そして今年も同じような事態が発生した。9月の中山開催で昨年と同様に「加速ラップ」が大安売りされたのである。その出現状況について、昨年とも比較しながら調査してみた。
2024年9月中山の加速ラップ出現状況
2024年9月中山開催における加速ラップ出現の状況を表にまとめた。
平地では芝ダートあわせて104レースが施行。加速ラップは38戦で出現した。特に芝レースに関しては54レース中28レースが加速ラップで、その出現率はなんと51.9%だった。
なお昨年9月は104レース中28戦で出現。芝レースに占める加速ラップの割合が38.9%。これでも「多すぎる!」と騒いでいたのに、今年はさらに激増した。もはや価値があるとは到底言えない。
ちなみに今年の春開催は芝が75レース施行されて加速ラップは15戦。出現率20.0%に留まっていた。一体全体どういうカラクリなのかさっぱり理解できないが、なぜか9月の中山だけラスト1F異常に速いラップが計時される。
さらに細分化して週別の履歴を見る。
開幕週は京成杯AHでアスコリピチェーノがラスト10.9をマークするなど、芝12戦のうち8戦が加速ラップ。出現率は驚異の66.7%だった。2週目(セントライト記念など3日間開催)が17戦中12戦で出現率70.6%。3週目(オールカマー週)が12戦中4戦で出現率33.3%、そして最終週が13戦中4戦で出現率30.8%だった。
どの週も出現率が高いことに違いはないが、特に最初の2週はちょっと次元が違う。結論としては「9月中山(特に最初の2週間)でのラップを評価されて人気になる馬は要注意!」ということになる。
それにしても何故こんな現象が起こるのか。馬場の軽さや風の影響で出やすい週、出にくい週があるのは分かるが……。そういうレベルの話でもない気がする。知っているJRA関係者の方がいたら教えてください(笑)。