神戸新聞杯も話が速い。
ダービーの好走馬が出てきたらもう軸が決まるからだ。
条件が似た「大箱芝2400mの脚比べ」の二冠目で3着以内に入っていた馬は【7-2-0-2】。この着外の「2」というのは出遅れたエポカドーロ、不良馬場に泣いたシャフリヤール(しかも中京代替)なので、よほどの荒天でなければ馬券圏内には来てくれる可能性が高い。
言うまでもなく、今年はダービー3着馬ハーツコンチェルトがいる。うん、話がとってもクイックだ。
……とまあ、全く同じような話をセントライト記念でも書いた。あっちは「皐月賞3着以内馬は進路さえあれば馬券圏内」だから、なんだかんだ言ってもソールオリエンスは馬券に絡むでしょう、という話だった。そして実際、安全策の騎乗で2着はしっかり確保した。
単純であからさまだけど、複勝率が8割を超えてくるようなデータにはそれ相応の理由がある。今週も「とりあえずハーツ」に何を添えるか、という方針でじっくり考えよう。
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【怪盗ユタカの「二手詰め」と真の狙い】
もう1頭の人気馬ファントムシーフに騎乗するのは武豊騎手。3歳クラシック戦線における武騎手のスタイルには「二手詰め」の概念が存在すると思っている。
春は日本ダービーの勝算を最大化するために、皐月賞を布石に使う。具体的には、勝敗度外視の後方待機策から末脚を引き出して乗る。詰将棋のように二手使って目標に到達する。ドウデュースがまさにそうだった。
当時、皐月賞後は「もう少し流れると思った」的な当たり障りのないコメントを撒いていたが、それはブラフで本音は「ここは3着で十分、勝負は次」だったのではないか? 本人に聞いたわけじゃないので、あくまで個人の妄想です。コメジルシ。でも、そう考えないと辻褄が合わないくらい、武騎手は皐月賞での後方待機が多すぎる。
そして秋はどうかというと、神戸新聞杯を折り合い練習に使って菊花賞に備える二手詰めだ。内訳を見よう。
2000年以降だと逃げたのはたった1回。春に500万下→毎日杯→青葉賞を逃げ切って、ダービーも逃げて2着だったアドマイヤメインですら、ここでは好位から走らせている。前哨戦で気分よく行かせてしまうと菊花賞で不利になるのが分かっているからだろう。
ディープインパクトやドリームジャーニーのような元々主戦法が追い込みの馬、あるいは「3着あれば御の字」という伏兵ならいいけれど、こう乗られるのが分かっている以上、「上位人気のキレない馬」は買いにくい。
「1~5番人気」で「前走上がり3位以下」の馬に限ると【0-2-0-6】。ファントムシーフはこれに当てはまる。ましてや、共同通信杯勝ちで菊花賞出走に賞金的な不安もない。陣営も鞍上も、ここの勝敗なんかより、もっととんでもないお宝を狙っているんじゃあないのかい? あくまで個人の妄想ですけれども! そうと分かればここは見送り、来月の淀で大捜査網を張ろうじゃないか。
さてと。そんなファントムシーフとは対照的に、ここ勝負になりそうなのがマイネルラウレアfeat.横山武史だ。
これまた言うまでもないが、武史騎手は菊花賞の乗り馬がソールオリエンスでおそらく確定している。それに、今のところ非常に律義というか、GⅠ前哨戦のGⅡでも高い勝負度を持って乗ってくる騎手でもある。
過去5年のGⅡ競走で横山武史騎手の成績は【8-3-7-38】の単回収率212%、複回収率98%。2・3歳戦に限れば同307%、106%とさらに上昇する。
馬自身も追走力の乏しさと器用さの不足が弱点で、それをカバーできる阪神芝2400mへの距離延長は待ってましたと言わんばかりだ。京都新聞杯も上がり33.2秒を出しながらの展開負けで、地力を否定するものではない。まずは全力投球で菊花賞へのチケットをつかみ取ろう。