安田記念2025の概要
開催日
2025年6月8日(日)
グレード
GⅠ・3歳以上
コース
東京芝1600m
概要と歴史
上半期の古馬マイル王決定戦。陸軍軍人にして競馬法の制定や日本ダービー創設に尽力し、日本中央競馬会の初代理事長も務めた安田伊左衛門の名前を冠している。
古馬トップマイラーにとっての大目標レースであるのはもちろん、ドバイや香港のGⅠ、あるいは大阪杯やヴィクトリアマイルからも転戦可能な時期にあり、毎年のように豪華なメンバー構成となる。昨年は香港の最強馬・ロマンチックウォリアーが参戦して見事優勝。2006年ブリッシュラック以来18年ぶりの海外馬Vとなった。
安田記念2025の登録馬
登録馬一覧
登録馬19頭
ウインマーベル
ウォーターリヒト
エコロヴァルツ
オニャンコポン
ガイアフォース
グラティアス
サクラトゥジュール
シックスペンス
シャンパンカラー
ジャンタルマンタル
ジュンブロッサム
ソウルラッシュ
ダディーズビビッド
トロヴァトーレ
ブレイディヴェーグ
ホウオウリアリティ
マッドクール
レッドモンレーヴ
ロングラン
安田記念の基本データ(過去10年)
※出典:TARGET frontier JV
人気と配当の傾向

1番人気【2-3-3-2】は複勝率8割と優秀ながら、案外勝ち切れていない。単勝1倍台に推された16年モーリス、19年アーモンドアイ、20年アーモンドアイ、21年グランアレグリアいずれも2~3着止まりだった。その分3-4番人気の活躍が目立ち、7-9番人気からも4勝が出ている。
平均馬連配当は3857円。最高馬連配当は1万480円(17年サトノアラジン→ロゴタイプ)、最低馬連配当は650円(20年グランアレグリア→アーモンドアイ)。
枠順と脚質の傾向

枠順別では1-2枠がやや低調。全体的に内枠の好走例は人気馬ばかりで、「1-4枠の6番人気以下」は【0-0-0-45】とキレイに全滅を喫していた。逆にいいのは最多4勝の7枠。こちらは単勝50倍以上の超人気薄を除くと【4-1-3-10】複勝率44.4%、複回収率138%ときっちり黒字だ。

脚質は特に有利不利なし。ただし4角3番手以内で馬券に絡んだのはモーリス、ロゴタイプ、アエロリットの3頭で各2回ずつという独特の内訳になっている。
前走について
OP・リステッドから参戦した例は4つしかなく【1-0-0-3】。モズアスコットが安土城S2着からの連闘という異色中の異色ローテを成功させた。
重賞組はレースごとに。出走数の多い方から行くと、マイラーズCが【1-0-5-33】。勝ち馬【0-0-3-6】も複回収率48%で微妙。マイラーズC2番人気以内【1-0-4-9】、3番人気以下【0-0-1-24】なので、着順よりも人気の方が大事。
京王杯SC組は【1-1-1-22】だが、2017年のサトノアラジン1着、レッドファルクス3着を最後に馬券絡みがない。1400m路線とマイラーの棲み分けが進んでおり、近年はそもそもこのローテで人気に推される馬すらいない。今年は間隔が従来より2週空くが、1-2着がスプリンターのトウシンマカオ、ママコチャで、安田記念に有力馬は送り込まない。
大阪杯組は【0-0-1-14】、唯一の好走もスワーヴリチャードの1番人気3着とイマイチ。ヴィクトリアマイル組は【2-5-0-10】。このうち安田記念5番人気以内になった馬は【2-5-0-2】複勝率77.8%で、中2週ながらよく機能している。
前走海外GⅠ組は【1-3-1-14】複回収率43%、唯一の勝利は昨年のロマンチックウォリアー。「遠征帰りの日本馬」というくくりなら【0-3-1-9】複勝率30.8%、複回収率50%。該当馬の質に比して結果が出ていない。酷暑の中東遠征からだとダメージが残りがちだし、香港からだと間隔が足りず、モーリスの時のように検疫絡みで調整に制約が生じたりする。能力でなんとかする馬がチラホラいる程度で、進んで買うローテーションとは言えない。
安田記念2025の参考レース
参考レース① ドバイターフ
レース映像(Youtube、JRA公式チャンネルより)
トラックバイアス:不明
展開:ミドル
→メイショウタバルがいつもより抑制的にハナを切り、前後半4Fは47.62-46.65のほぼミドルペース。展開による大きな有利不利はなかったと評価する。
1着ソウルラッシュ【難敵撃破】
スタートから鞍上が少し促して好位を取りに行ったが、それでも道中は引っかかることなく走れていた。ロマンチックウォリアーの後ろという理想的なポジションを確保し、直線は抜け出した同馬を標的に伸び、ゴール前でギリギリ差し切った。ロマンチックウォリアーの方にはサウジC激走の反動もあったのだろうが、これまで数多の日本馬を封じてきた香港の雄を破った事実に価値は大きい。今なら1800mも問題なく、むしろマイルへの短縮が少し忙しい可能性すらある。
7着ブレイディヴェーグ【力は出したが】
ゲート内でゴタついて発馬はイマイチ。そこから挽回して外3でレースを運んだ。しかし直線は粘るメイショウタバルらをかわせず、後ろからマルジュームやファクトゥールシュヴァルに差された。ソウルラッシュとの着差はマイルCS時とおおむね変わっておらず、不発というよりはこれが現状の力関係。
参考レース② 大阪杯
レース映像(Youtube、JRA公式チャンネルより)
トラックバイアス:やや内有利、超高速
展開:ややハイ
→デシエルトが出遅れるも結局我慢ができずハナへ。1000m通過57.5秒で突っ込んだ。ただし2番手ホウオウビスケッツの集団だと前後半推定58.3-57.9で「締まったミドル」という表現の方が適切。また、勝ち時計1:56.2は従来のレコードを1秒更新するもの。前後の有利不利はあまりないが、内を回った馬と高速馬場巧者が恵まれたレースと評価する。
4着エコロヴァルツ【枠不利も善戦】
不利な8枠から鞍上が内にエスコート。4角も内目を通し直線はインを突いて伸びてきたが、背後からヨーホーレイクに差された。非常に上手く乗られており、現状の最善は尽くせた。このくらいペースが流れてくれれば2000mでも折り合いはつく。
7着シックスペンス【正攻法で惜敗】
外目好位の3番手を追走する正攻法。トラックバイアスに対して1~2車線分のロスがあったとはいえ、悪くはない立ち回りで直線へ向いた。そこから伸びあぐねたが、2着からは0.2秒差。人気ほどの能力は発揮できなかったが、展開ひとつでGⅠでもやれるメドは立った。本質的には1600~1800mがベターで、瞬発力勝負の方がいいかもしれない。
参考レース③ 東京新聞杯
レース映像(Youtube、JRA公式チャンネルより)
トラックバイアス:やや内有利
展開:ミドルペース
→土曜ほど内一辺倒ではなくなったが、依然としてイン優勢の馬場傾向。前後半46.1-46.5なので数字上はやや前傾だが、離れた3番手マテンロウスカイ以下の馬群はミドルか少し遅いくらい。どちらかといえばイン前有利な競馬だったと評価する。
1着ウォーターリヒト【後方一気】
そのややイン前有利なレースで外から後方一気。上がり最速タイの33.2秒で好メンバーを一刀両断した。ちょっと想像を超えてきた。この勝ち方ができるなら安田記念でも出番があるかもしれない。
4着ブレイディヴェーグ【重めで】
ゲートでやや出遅れ。中団を追走して直線も不利なく外へ持ち出したが、府中牝馬Sのような鬼脚は発揮されなかった。休み明け+14キロとやや重め残りで、距離も1ハロン忙しかった感。
7着シャンパンカラー【バイアス有利も】
内枠から内ラチ沿いを走行し、トラックバイアス有利な進路取り。直線も目の前のボンドガールについていくだけの競馬だったが伸び負けた。59キロを背負っているとはいえ、GⅠを勝った舞台でこの走りはいただけない。
10着ジュンブロッサム【参考外だが…】
59キロの斤量を背負い、道中は内から4頭目のラインを回り続け、トラックバイアスに大きく逆行した。参考外。それでもこの馬の実力からすると負けすぎの感はあるが……。
16着サクラトゥジュール【折り合い△】
ペースが落ち着いてしまったこともあり、序盤は折り合いを欠きながらの競馬。ギリギリ許容範囲で我慢させ、直線はボンドガールの背後をとったが、そこで伸びあぐねる間に両隣が寄ってきて挟まれた。一応「直線不利」にはなるが、時系列としては伸びずに下がりはじめる→不利の順番。「挟まれたせいで失速した」ではないことに注意。