JRAは2023年の年始からベースとなる負担重量1キロ増加させた。
これは「騎手の福祉」を目的としたもの。欧州に比べて日本競馬は斤量が軽い傾向にあり、短期免許で来日した外国人ジョッキーの乗鞍が制限されたり、デビューから間もない若手騎手が減量苦で度重なる騎乗停止処分を受け、結局引退を余儀なくされたり、といった事象があったからだろう。
ルールなので当たり前といえば当たり前なのだが、ハンデ重賞などで59キロ以上の斤量を背負う馬が目に見えて増えた。買おうと思っていた馬に斤量59キロ、60キロなどと書かれているとつい尻込みしてしまうものだが、果たして実際のところはどうなのか。11か月分のデータが集まったこのタイミングで、前年と比較して検証してみた。
結論から述べると、ルール改定で増加した「59キロ以上背負う馬」は馬券的に狙える。
(※平地競走限定)
複回収率95%は優秀な数字であり、比較対象になる「昨年の58キロ以上」よりいい。(もちろん「昨年の59キロ以上」よりもいい。)
ただ不思議なのは、勝率や複勝率も「今年の59キロ以上」の方が明確に高いこと。頭数も3倍弱の差がある……つまり、今年の該当馬が少なすぎる。平均人気を見ると「今年の59キロ以上」が7.6番人気、「昨年の58キロ以上」が8.5番人気。「59キロだと馬券購入者がなんとなく敬遠する」どころか、むしろ「今年の59キロ以上」の方が人気はしている。
簡単に言うと「昨年の58キロ以上」より「今年の59キロ以上」の方が「本当に強い馬」を含む割合が高いようだ。考えられる理由としては……
①ハンデの付け控え
→JRAのハンデキャッパーが59キロ以上付けるのを遠慮している。それにより、最上級クラスの馬が昨年より(他馬と比べて相対的に)甘い斤量で出走している
②陣営の出し控え
→「59キロはかなり強い馬じゃないと厳しい」という陣営の意識がある? 昨年なら「58キロならOK!」と出していたクラスの馬を、「59キロならやめておこう」と慎重になって別の番組へ回している。そのため、59キロ以上で出走するのはより厳選された馬になっている。
この2点を仮説として付しておきたい。
ただ、身も蓋もないが我々馬券野郎には正確な理由が何かは関係のない話。結論としては「59キロにビビらず買え、むしろ複回収率はかなり高い」だ。これだけ押さえておけばよかろう。