クラシック直前! 現3歳世代の主なハイレベル戦まとめ

回顧・次走注目馬

はじめに

クラシックがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!

どうもこんにちは鈴木です。生まれる30年も前のネタをまだコスる男です。

2024年のJRA春のクラシックがもうすぐそこまで迫っている。各所で言われていることだが、現3歳世代の重賞戦線はなかなか珍妙なことが起きている。重賞のレベルが例年のパターンとまるで違うのだ。

JRA屈指の出世レースであり、10年以上続けてのちのGⅠ馬(1位入線馬含む)を輩出し続けている東スポ杯がまさかの凡戦に終わり、クラシックに直結しないことでお馴染み京都2歳S組がまあまあ頑張ったりしている。

ここいらで一旦、現3歳世代のレースについて評価を整理しておこう。重賞だけにフォーカスしようかとも思ったのだが、せっかくなので平場の予想にも応用できる話を書くことにした。いわゆる「ハイレベル戦」を簡単な短評とともに一覧する。

「ハイレベル戦」の定義は以下のように決める。

・出走馬のその後の活躍が目覚ましいもの
・勝ち時計、ラップ的な強調点があるもの
・上記どちらにも当てはまらないが、わたしのセンサーに引っかかったもの

一応のルールとして、なるべく勝ち馬だけでなく複数頭を評価できるものをピックアップすることにした。たとえばビザンチンドリームの新馬戦はイン前馬場を大外ぶん回し、ラスト11.5-11.3の加速ラップで突き抜けたすごい内容だが、逃げて3馬身離された2着馬以下をその後追いかけても仕方がないだろう。

以上を踏まえて本編に行く。数が多すぎる(全108レース)ので月ごとに区切った。ちなみに、文句なしで「超ハイレベル」と思えるものもあれば、当然ながら、取り上げるか否かの当落線上だった微妙なレースもある。そのあたりは短評の温度感で察していただければ幸いだ。

(※勝ち上がり等の記述は24年3月10日終了時点)

ハイレベル戦一覧

6月

◆新馬戦(ボンドガール)
→8着馬まで勝ち上がり。OP~重賞勝ち馬を4頭輩出。2歳6月での1分34秒台がまず優秀で、ラスト11.2-11.0-11.1が光る、宝石のようなレース

◆新馬戦(ゴンバデカーブース)
→1~5着、9着、12着馬が勝ち上がり。実は最下位がコスモキュランダだった。こちらも2歳6月の東京マイルで1分34秒台をマーク。

◆新馬戦(ダノンエアズロック)
→2歳6月の東京芝1800m新馬では史上最速の勝ち時計。勝ち馬は骨折判明で春クラシックは絶望的か。4着サンライズジパングがホープフルS3着、若駒S1着と躍動。

◆新馬戦(アマンテビアンコ)
→勝ち馬はカトレアS勝ち、雲取賞2着と活躍。2,3,4,6,7,13,16着馬が勝ち上がっている。2着ハビレもヒヤシンスS2着であり、OP級の馬が2頭いたレース。

◆新馬戦(ボルケーノ)
→1~3着馬が勝ち上がり。こちらも1.34.5の好時計だった。勝ち馬は萩S除外以降、音沙汰なしだが……。

◆未勝利戦(コラソンビート)
→勝ち馬は京王杯2歳Sを勝ち、阪神JFでも3着。5着オーキッドロマンスはカンナS勝ち、クロッカスS2着馬。6頭立てながら4頭が勝ち上がり。勝ち時計1.34.6も優秀。

7月

◆新馬戦(ナスティウェザー)
→JRAのダート戦史上最速となるラスト1F10.9がマークされた一戦。6頭立てで1~4着馬が勝ち上がり。

◆新馬戦(ラムジェット)
→1着、3~6着が勝ち上がり。勝ち馬はヒヤシンスSを制し、6着アンモシエラは交流重賞を制した。

◆新馬戦(トレミニョン)
→2~4着馬が次走V。ほかにも6,7,10,12,13着馬が勝ち上がった。ただ、総じてクラスが上がると苦戦している。

◆新馬戦(ドナベティ)
→勝ち馬はすずらん賞を制してファンタジーS2着。2,3着馬は次走で勝ち上がり。特に2着サトミノキラリは2勝を挙げて朝日杯FSでも6着に善戦した。ビッグアーサー産駒は総じてマイルをこなせないわけで、守備範囲外でのGⅠ・6着はトウシンマカオに続く快挙。

◆新馬戦(エコロヴァルツ)
→勝ち馬はコスモス賞を勝って朝日杯FS2着。2着馬ルシフェルも萩Sを制した。そこから0.6秒離れた3着以下はどこまで評価していいか微妙だが……。

◆新馬戦(レガレイラ)
→勝ち馬は年末にGⅠ制覇。2着セットアップも重賞を勝った。ただ、このレースも3着以下は0.6秒離れており、ほかの勝ち上がりは出ていない。

◆新馬戦(ショウナンマヌエラ)
→超大物が出たわけではないが、1~6着、9着馬が勝ち上がり。シカゴスティング、バウンシーステップは既に2勝を挙げている。

◆新馬戦(エンヤラヴフェイス)
→後半1000m58.0秒。2歳7月以前、1600m以上で後半1000m58.0秒以下が出たのはほとんどがのちのGⅠ馬によるもの。そこに比肩するだけのラップを踏んでいる。勝ち馬含め、その数字の割には苦戦しているが、なんだかんだで5頭が勝ち上がり。

◆新馬戦(パワーホール)
→1000m通過64.1秒のドスローとはいえ、ラスト2F11.2-11.1は素晴らしい数字。2着キャプテンシーもジュニアCを制し、3着ソニックラインも1勝クラスで2着としている。

◆新馬戦(カンティアーモ)
→2歳レコード記録レース。勝ち馬がデイリー杯2歳Sでまさかの大敗を喫し、2着ミッキースターダムも気の難しさを見せて勝ち上がれていないが……数値は優秀。3~5着、7着馬が勝ち上がり。

8月

◆新馬戦(ライジンマル)
→2歳8月新潟ダ1800mでの1.54.8というタイムは非常に優秀。良馬場で言えばミトノオーより少し早く、エピカリスに準するくらいのレベル。勝ち馬はプラタナス賞2着のあと出て来ないが、走れば活躍するだろう。8馬身離された2,3着馬もきっちり勝ち上がっている。

◆未勝利戦(チェルヴィニア)
→勝ち時計1.46.9は前記カンティアーモのレコードと0.5秒差。ただ、こちらはハイペースではなく、レース上がり33.2秒で出された記録。勝ち馬の強さが際立った。GⅠ級。

◆新馬戦(パッシングシャワー)
→2着エトヴプレ、3着スウィープフィートがのちの重賞馬に。4着エフエイト、12着ロードフロンティアがダートに転じて勝ち上がった。

◆新馬戦(ラヴスコール)
→勝ち馬はフェアリーS3着。2着ラーンザロープスはシンザン記念4着、3着オーサムストロークはベゴニア賞を制した。ほか4,6,10着馬が勝ち上がり。超大物はいないが、メンバーの水準は高かった。

◆新潟2歳S(アスコリピチェーノ)
→1000m通過59.8秒はマイル重賞としては遅めの流れ。にもかかわらず馬群は縦長で、5番手アスコリピチェーノで1000m通過60.5秒だった。後ろが不利なレース。上がり最速ジューンテイクはその後こうやまき賞を制して朝日杯FS4着、同2位シリウスコルトは芙蓉S勝ち、弥生賞3着。上がり3位のアスコリピチェーノはいわずもがなGⅠ馬となった。ここで速い脚を使った馬たちが気を吐いている。

9月

◆新馬戦(キャントウェイト)
→1000m通過64.3秒のドスローで勝ち時計は遅いが、ラスト11.8-11.4の加速ラップ。1~3着馬、7着馬が勝ち上がった。

◆未勝利戦(イーグルノワール)
→勝ち馬は兵庫JGを勝って全日本2歳優駿2着。2着エートラックスはネモフィラ賞を勝ち、5着アンモシエラはブルーバードCを勝った。

◆新馬戦(ピュアキアン)
→2着と3着が10馬身離れたレースながら、1~6着馬が勝ち上がり。

◆カンナS(オーキッドロマンス)
→勝ち馬は京王杯2歳S3着、クロッカスS2着などその後も短距離で活躍。2着マスクオールウィンはフェアリーS2着、3着ビッグドリームも中京2歳S2着、萌黄賞勝ちなど好成績を残している。

◆未勝利戦(サンライズジパング)
→勝ち馬はJBC2歳優駿2着ののち芝に転向してホープフルS3着、若駒S勝ち。2着アンモシエラはブルーバードC勝ち、4着エートラックスはネモフィラ賞を勝った。

◆新馬戦(ショウナンラプンタ)
→レースの後半1000m58.5秒は、このコースの2歳新馬戦としてはディープインパクトに次ぐ2位の記録。1着、2着馬はどちらも既に2勝している。3着シュヴェルトリリエも勝ちあがれてよさそう。

◆新馬戦(ダノンマッキンリー)
→出走馬のほとんどが次走で着順を上げた一戦。2,3,5,7,10,11,17,18着馬が既に勝ち上がっている。

◆ヤマボウシ賞(サトノフェニックス)
→勝ち馬は兵庫JG2着。2着ナスティウェザーはなでしこ賞を勝って昇竜S3着、3着ラムジェットはヒヤシンスSを勝った文句なしのハイレベル戦。

10月

◆新馬戦(タリフライン)
→ラスト11.3-11.0の加速ラップを後方から差し切った勝ち馬は相当な器……だが、ホープフルSで残念ながら予後不良に。2着フォーザボーイズも次走で着差を付けて勝ちあがっており、レベルはなかなか。

◆サウジアラビアRC(ゴンバデカーブース)
→ほぼ毎年レベルの高いレースだが、1.33.4なら例年と遜色ない好タイム。ラスト11.2-11.3も文句なし。

◆新馬戦(オペラプラージュ)
→勝ち時計1.53.7はこの時期の2歳戦としてはまずまず優秀。2着ブルーサンはのちに雲取賞を制し、そこから7馬身離れた3着馬も次走で勝ち上がった。

◆未勝利戦(スパークリシャール)
→1.34.2は上々のタイム。勝ち馬は既に1勝クラスも突破、2着馬、4着馬がその後勝ち上がっている。

◆新馬戦(ジャンタルマンタル)
→勝ち時計1.47.4は当コースの2歳新馬戦史上最速のタイムだった。勝ち馬はGⅠ制覇、2着馬は次走V。4,6,10着馬がその後勝ち上がり。

◆新馬戦(ファビュラススター)
→ドスローで時計は遅いが、ラスト11.1-11.2はかなりのもの。勝ち馬は1勝クラス勝ち、4着ダノンデサイルが京成杯を制した。

◆新馬戦(オールナット)
→これも馬場の影響で時計はかなり遅い。1~5着、7~9着馬が勝ち上がっていて、メンバーレベルは相当のもの。2着プレリュードシチーは京都2歳S2着、5着ウォーターリヒトはシンザン記念3着、きさらぎ賞2着。

◆プラタナス賞(イーグルノワール)
→いずれもハイレベル戦を勝ち上がってきたイーグルノワール、ライジンマル、アマンテビアンコの3頭が激突した一戦。

◆新馬戦(フォーエバーヤング)
→良馬場の2歳ダ1800mでラスト1F12.2は非常に優秀。全体時計1.54.8も決して遅くない。実際、勝ち馬は無敗のまま全日本2歳優駿を圧勝、サウジダービーを勝った。

◆新馬戦(タガノエルピーダ)
→京都内回りマイルの2歳戦で1.34.3だけでも優秀だが、後半1000m57.9秒、ラスト11.0-11.0のおまけつき。恐ろしく優秀。勝ち馬は次走でGⅠ・3着。チューリップ賞は枠に泣いたが、世代のトップを争うはずの1頭。

◆紫菊賞(ジュンゴールド)
→正直入れるか迷った。後半1000m57.8秒は優秀なんですよねえ。3着ナムラフッカーもデイリー杯3着と好走するなど、5頭立てとはいえ内容のないレースではなかったと思うが。

◆未勝利戦(ジャスパーノワール)
→勝ち馬は2勝、2着アララララも先日1勝クラスを突破した。そこから4馬身離れた3着以下は苦戦しているが。

◆新馬戦(ミッキーファイト)
→セントラルヴァレーが勝利目前で急に逃避し2着に敗れたレース。ミッキーファイトともども既に1勝クラスも勝っており、上位2頭のレベルは高い。3着以下も未勝利戦なら威張れる馬がちらほら。

◆新馬戦(アフィリオン)
→勝ち馬は気性が暴発してしまって苦戦中。ただ、2~5着馬が勝ち上がり、うち2頭は既に2勝馬となっている。

◆アイビーS(ダノンエアズロック)
→超のつくスローペースとはいえ、ラスト11.2-10.9-11.0は優秀。勝ち馬の弥生賞敗戦は骨折の影響で、力負けではないだろう。3着レガレイラが次走でGⅠ制覇。

◆未勝利戦(メイプルタピット)
→ラスト12.8-12.5の加速ラップ。7、8着馬が勝ち上がり。ほか、まだ勝ち上がっていないが未勝利戦で上位争いしている馬が多数。

◆未勝利戦(ヒルノドゴール)
→勝ち馬から1.8秒離された4着馬までが勝ち上がり。地味だがメンバーレベルはまずまず。

◆なでしこ賞(ナスティウェザー)
→8頭立てながら、その後(レースに出ていない8着馬を除き)いずれも1勝クラス以上で馬券に絡んだ。

◆アルテミスS(チェルヴィニア)
→1.33.6の走破時計も上々だが、ラスト11.4-11.2-11.0の加速ラップでもあった。4着ライトバックがエルフィンS勝ち、6着ラヴスコールがフェアリーS3着。

◆未勝利戦(ブルーサン)
→勝ち馬は雲取賞制覇。2着馬も次走を勝ち上がって1勝クラスでも2着に好走している。10着馬すらその後未勝利戦で上位入線。好メンバー。

11月

◆未勝利戦(ソニックライン)
→勝ち時計1.37.3はハイレベルと書いたプラタナス賞と同タイム。それをラスト12.3-12.3と落とさずにマークした。10馬身離れた3着以下はさすがに強調しにくいが、2着ロジアデレードまでは要注目。

◆新馬戦(シンエンペラー)
→ラスト11.1-11.0の加速ラップが秀逸。勝ち馬は京都2歳Sを制し、ホープフルSでも2着。2着、4着馬も勝ち上がり。

◆京王杯2歳S(コラソンビート)
→例年手薄なメンバーになりやすい重賞だが、今年はレコードが出た通りのハイレベル戦。ラスト11.8-11.5の加速、勝ち馬の上がり33.2秒など非常に価値のある一戦だった。2着ロジリオンは同舞台クロッカスS制覇。

◆未勝利戦(イフェイオン)
→1.33.3は京都内回りマイルの2歳戦としては歴代2位の好タイム。勝ち馬は重賞を勝ち、2,3,5着馬も勝ち上がった。

◆未勝利戦(ロードフロンティア)
→1~3着馬いずれも次走勝利。ただ、3着から5馬身離れた4着馬以下はさすがに強調点に欠ける。

◆未勝利戦(デビッドテソーロ)
→勝ち時計1.37.7はソニックライン組ほどではないが悪くない。1~3着、5着馬が既に勝ち上がった。

◆百日草特別(アーバンシック)
→1000m通過60.8秒は決してドスローでもないが、逃げたマーゴットソラーレが直線よく伸びてラスト11.7-11.5-11.3。この「止まっていない逃げ馬」を後方から一刀両断したアーバンシックの上がり33.2秒は怪物級。このコースの2歳戦で勝ち時計2分を切って上がり33秒台を使った馬はキングズレインとコレだけ。

◆未勝利戦(エコロブルーム)
→後半1000m57.9秒、上がり11.5-11.0-11.1と強烈な数字。これをノーステッキで4馬身千切った勝ち馬がとにかく強い。離された馬たちもなんだかんだ2~4着馬が勝ち上がり。メンバーレベルも悪くなかった。

◆オキザリス賞(ノヴァエクスプレス)
→2着チカッパが昇竜S勝ち、8着シークレットキーがくすのき賞、9着ラムジェットがヒヤシンスSを勝った。

◆新馬戦(オスカーブレーヴ)
→1000m通過63.9秒のスローで進み、逃げたオスカーブレーヴが4角出口で一気に仕掛けて11.0-11.1。後続勢を翻弄して逃げ切った。術中にハマった2着馬クイーンズウォークがその後連勝で重賞制覇。ほか、5,6,9着馬が勝ち上がりを決めた。

◆未勝利戦(ラヴオントップ)
→同日古馬OP・室町Sと0.2秒しか差がない強烈な時計。大差勝ちも納得。その大差離された2着、3着馬も既に勝ち上がっている。ラヴオントップはどこまで行けるか。個人的にはJBCスプリントを意識できる器と見ている。

◆新馬戦(キタノズエッジ)
→時計的には目立たないレースだが、2着馬が次走勝利、そこから8馬身離された3,4,6着馬も既に勝ち上がっている。

◆未勝利戦(コトホドサヨウニ)
→馬場が速かったとはいえ、直前に更新された2歳レコードをさらに0.9秒短縮した点は見過ごせない。勝ち馬はネモフィラ賞2着、2,5,9着馬がその後勝ち上がり。まだまだ勝ち上がりが増えそう。

◆未勝利戦(ブライトマン)
→ハイペースとは言え1.33.3の勝ち時計はなかなか優秀。2,3,5着馬がその後勝ち上がった。

◆新馬戦(ジャスティンミラノ)
→単なるスローの上がり勝負かと侮っていたが、勝ち馬は共同通信杯を制し、2着ヘデントールは粗さ全開の競馬で暴力的な2連勝。上がり33.1秒を使ったタンゴバイラリン含め、この組は相当やるかもしれない。

◆未勝利戦(ロードフォアエース)
→重馬場とはいえ1.52.2は好タイム。同日古馬2勝クラスと0.1秒差だった。既に4着までが勝ち上がっている。

◆赤松賞(ステレンボッシュ)
→書くか迷ったライン。スローペースの割に勝ち時計1.33.8はアルテミスSとほぼ遜色ない。……という点で1勝クラスにしてはレベルが高かった。

◆未勝利戦(ワイドブリザード)
→勝ち馬が1.8秒千切ったレースだが、その離された2着、3着馬も勝ち上がり。8,11,13着も既に勝ち上がった。

◆カトレアS(アマンテビアンコ)
→出走馬のほとんどが次走で着順を上げ、うち4頭が勝利した。勝ち馬はその後重賞で2着、2着ジョージテソーロは1勝クラスを快勝して昇竜Sでも2着。文句なしのハイレベル戦。ちなみに12着デビッドテソーロと15着サンライズジパングは芝に転じて勝利。

◆京都2歳S(シンエンペラー)
→例年はおそろしく春クラシックに直結しないレースだが、今年は勝ち時計も2分を切るなどハイレベルな決着に。3着サトノシュトラーセはあすなろ賞勝ち、4着ダノンデサイルは京成杯勝ち、6着ディスペランツァは1勝クラス勝ち、8着コスモキュランダは弥生賞、11着ギャンブルルームはアルメリア賞勝ち、12着パワーホールは共同通信杯3着、13着ルカランフィーストは若竹賞を制した。素晴らしいね。

12月

◆未勝利戦(エリカエスティーム)
→1.33.5の高速決着。2着馬が次走勝ち上がり、3~5着馬は次走2着、7着馬はダートに転じて勝ち上がった。

◆葉牡丹賞(トロヴァトーレ)
→2.00.4は優秀なタイム。ラスト11.3-11.4も速く、上がり33.9秒で差し切った勝ち馬は重賞級。……のはず。弥生賞は案外だったが。

◆黒松賞(マスクオールウィン)
→勝ち馬は次走重賞2着、2着馬は1勝クラスを突破、3着馬はOPで馬券絡み。

◆未勝利(キャプテンシー)
→前後半36.0-34.0のスローペースながら勝ち時計1.33.8は優秀。勝ち馬は次走ジュニアCも1.32.5の好タイムで勝った。

◆1勝クラス(ミッキーファイト)
→勝ち時計1.52.5は中山ダ1800mの2歳良馬場レコード。5馬身差の2着ブルーサンもその後雲取賞を制した。ミッキーファイトは相当やりそう。フォーエバーヤングに対抗するとしたらこの馬なのでは。

◆未勝利(ニホンピロカラット)
→4着までが既に勝ち上がり。5着馬もその後2戦連続で2着に入った。

◆1勝クラス(エコロガイア)
→未勝利戦で強烈な時計を出したラヴオントップが出走するも、エコロガイアが返り討ちにした一戦。勝ち馬は次走距離の合わないブルーバードCでも2着に入り、負けたラヴオントップも次走で順当に1勝クラスをクリアした。ただ、3着以下は6馬身離れており、さすがに評価しにくい。

◆阪神JF(アスコリピチェーノ)
→ボンドガール、チェルヴィニアの回避があってもなお1.32.6の好時計。レシステンシアがもっていたレースレコードを0.1秒更新した。ちなみに次週の朝日杯FSより1.2秒も速い決着であり、この世代も「牝高牡低」の傾向があるかもしれない。一例だが、阪神JF7着馬スウィープフィートが朝日杯FS3着馬タガノエルピーダをチューリップ賞で破った。

◆未勝利戦(カンジ)
→2,3,5着馬が既に勝ち上がり。勝ち馬も1勝クラスで2着に好走した。

◆新馬戦(ウィンドフォール)
→これが今回の総当たりで見つけた最大の掘り出し物かもしれない。ひとつ上に書いたカンジ組とは同日で、こちらの方が時計も上がりも速い。ラスト12.8-12.6の加速ラップも強調点。2着馬は次走で5馬身差勝ち。勝ち馬から2秒離された6着馬も勝ち上がった。ウィンドフォールはまだ次走を迎えておらず、出てきたら狙ってみたい。

◆未勝利戦(エコロエイト)
→時計はそれほどでもないが、すでに2,3,5,6着馬が勝ち上がった。

◆未勝利戦(エートラックス)
→勝ち馬はネモフィラ賞勝ち。2着馬と3着馬はキッチリ次走で勝ち上がり。しかし4着以下は7馬身離れており、推せるのは上位3頭までか。

◆未勝利戦(クイーンズウォーク)
→新馬戦でオスカーブレーヴの巧みな逃げにやられたクイーンズウォークの2戦目。構造上加速ラップが出にくい阪神外回りの2歳戦としては5年ぶりの加速ラップ11.4-11.2を記録した。次走でクイーンC制覇。ポテンシャルは非凡なものがある。

◆新馬戦(マーシーラン)
→新馬戦ながら勝ち時計1.21.0は同日万両賞と0.3秒しか差がない。2着ベアポルックス、3着ナムラアトムはどちらも既に2勝馬となっている。

◆ホープフルS(レガレイラ)
→GⅠなので当然といえば当然だがレベルは高かった。3着サンライズジパングは若駒Sを勝ち、6着シリウスコルトは弥生賞3着、ほか7着ショウナンラプンタ、9着ディスペランツァ、12着ウインマクシマムが1勝クラス勝ち。15着アンモシエラはダートに戻って交流重賞を勝った。(余談だが取消サンライズアースもすみれS勝ち。) 4角でショウナンラプンタらが外に膨れる事象があったため、総じて外枠だった馬の反撃がオイシイ馬券になっている

◆未勝利戦(ジンセイ)
→ラスト11.5-11.5と減速せず。2,3,6着馬がその後勝ち上がった。ただ、本音を書くとこれを紹介したいというより……。

◆新馬戦(ベラジオボンド)
→前記のそこそこレベルが高かったジンセイ未勝利と同日に行われ、こちらの方が0.5秒速いタイム、上がり3Fも0.5秒速かった。優秀。既に3,5,6着馬が勝ち上がった。ベラジオボンドも共同通信杯はドスローに泣いただけで、まだ底を見せていない。

1月

◆ジュニアC(キャプテンシー)
→勝ち時計1.32.5は馬場が速かろうと簡単にはお目にかかれない数字。世代限定戦としては全部で3例しか存在しなかった。2着チャンネルトンネルはこの次走どん詰まりで馬柱汚し。スプリングSでも穴候補。

◆新馬戦(テーオーパスワード)
→1000m通過66.3秒から13.3-13.1と踏むドスロー。したがって上がりは信用できない部分もあるが、ラスト12.3-12.1は一定の評価をしたい。実際、すでに2,6,9着馬は勝ち上がった。

◆1勝クラス(ファビュラススター)
→こちらも馬場が速いとはいえ、勝ち時計1.59.8は優秀。前週のホープフルSや翌週の京成杯よりも速いタイムだった。勝ち馬は弥生賞で敗れたが、おそらく東京向きで、コース替わりでの反撃待ち。2着コスモキュランダは弥生賞を制覇した。

◆未勝利戦(ヘデントール)
→新馬戦ではジャスティンミラノの後塵を拝したヘデントールの2戦目。出脚がつかず後方からになり、向正面マクっていってねじ伏せた。後半11.8-12.1-12.1-11.2-11.3は道中で脚を使いながらもラストで強烈な伸びを見せた証明である。勝ち時計2.00.2も翌日京成杯より0.3秒速いタイムだった。末恐ろしい。

◆菜の花賞(ミラビリスマジック)
→1.33.4の時計面は上々。前週のフェアリーSより0.6秒速いタイムだった。上位勢がまだほとんど次走を迎えていないが、6着オメガウインクは春菜賞を制している。

◆新馬戦(ジョーローリット)
→中山ダ1200mでラスト12.4-12.2の加速ラップは極めて珍しい印象。勝ち馬は次走心房細動で5.5秒差負けも、これはノーカウント。2着ガビーズシスターは1勝クラスを勝ち、3着、5着馬も既に勝ち上がった。

◆未勝利戦(ホウオウベルクソン)
→まだ判断のつかない部分が多いものの、3着馬が次走で1.3秒差の圧勝。5着馬も次走で勝利した。それ以外の上位勢はまだレースに出ていないが、ポテンシャルは感じる一戦。

2月以降

◆1勝クラス(マルチャレアル)
→良馬場での1.52.7は好タイム。特に勝ち馬は向正面11.9の区間で動いて先頭に立ちながら押し切っており、着差以上に力を感じる。

◆未勝利戦(テウメッサ)
→1.33.9のタイムはなかなか。勝ち馬は次走格上挑戦のアネモネSで2着と好走し、2着馬も次走で着差を付けて未勝利を突破した。

◆新馬戦(カフェニクス)
→これもまだ判断しにくいが、ハイペースの同日古馬1勝クラスと0.7秒差なら時計的には悪くない。既に3着、5着馬が勝ち上がった。

◆1勝クラス(ソンシ)
→ラストの11.4-11.4-11.0というラップが光る。3,8着馬は次走で勝利しており、おそらくレベルは高いと思われる。

◆クイーンC(クイーンズウォーク)
→勝ち時計1.33.1はこのレースとしてはメジャーエンブレムに次ぐ2位タイの記録。後半1000m57.7秒はレース史上最速だった。ひいき目もあるかもしれないが、結局クイーンズウォークの3戦はいずれもハイレベル判定しちゃった。オークス馬だと思うんですけど、どうでしょうか。

◆未勝利戦(ケイアイアルタイル)
→数字面は目立たないが、2着馬と、勝ち馬から1.3秒離された3着馬が既に勝ち上がっている点でリストに入れた。

◆新馬戦(ミッキークレスト)
→厳密に言えばハイレベル戦ではなさそうだが、勝ち馬はいい。ラスト1F12.1の脚を使って一気に突き抜ける姿に素質を感じる。

◆1勝クラス(ナムラアトム)
→ラストは11.4-11.3の加速ラップ。4着セシリエプラージュはフィリーズレビュー3着に入り、5着アンクルクロスは次走であざみ賞勝ち、10着クールベイビーがそのあざみ賞2着だった。

◆つばき賞(メイショウタバル)
→未勝利戦を圧勝してきたインファイター、ラビットアイに、ハイレベル重賞の京都2歳S5着馬キープカルムも加わった一戦。それをメイショウタバルが破り、後半1000m58.1秒が記録された。あまり話題になっていないが、これはなかなか粒ぞろいだったと見る。

◆未勝利戦(ベストミーエヴァー)
→上がり11.7-11.3-11.0の加速ラップが記録された一戦。ひと桁着順だった馬のうち、その後出走したのは4頭だけだが、うち3頭が勝利した。いいのでは。

◆ヒヤシンスS(ラムジェット)
→同日フェブラリーSとタイム差わずか0.6秒。正直、今年に関してはフェブラリーSの方が凡戦だった説もあるが……。3着ハビレは次走で1勝クラス勝ち、5着チカッパが昇竜S勝ち。

◆マーガレットS(ナナオ)
→例年は微妙なメンツになるレースだが、今年は1200mのOPや1勝クラスを好内容で走ってきた馬が集結した。葵S戦線や自己条件での活躍に期待。

◆弥生賞(コスモキュランダ)
→人気馬の凡走で意外な決着になったが、勝ち時計1.59.8はレースレコード。コスモキュランダの強さ……および京都2歳Sのレベルの高さを認めざるを得ない。東スポ杯2着シュバルツクーゲルが5着に敗れたことで、色々見えた一戦。

◆未勝利戦(ジュンヴァンケット)
→勝ち上がり目前のミッキースターダム、リチャードバローズ2騎がいたレースだが、初出走のジュンヴァンケットが5馬身差の圧勝。ちょっとモノが違う感じの勝ち方だった。負けた組も悲観することはない。

◆1勝クラス(ディスペランツァ)
→阪神芝1600mの世代限定戦で勝ち時計1.33.4自体もまずまずだが、勝ち馬の上がり33.1秒がインパクト大。馬場差など無視になるが、ジュエラーの桜花賞(1.33.4、上がり33.0)に近い水準。同日の古馬2勝クラスより決着時計が速い。

まとめ

疲れた……。

しかしこれで大方、世代限定戦を予想する際に押さえておきたいハイレベル戦は網羅できたのではないかと思う。

牝馬はボンドガール新馬組と阪神JF組。牡馬は京都2歳S組→ホープフルS組が優秀なところに、単発で光るレースを見せたアーバンシック、ジャスティンミラノ&ヘデントールあたりがどこまで食い込んでくるか、でしょう。どうにも東スポ杯、朝日杯FS、共同通信杯あたりが例年ほどピンと来ない。

以上でこの記事は終わります。2024年春クラシック、楽しんでいきましょう!

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