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【阪神JF】京都開催歓迎のハービンジャー産駒・アルマヴェローチェ 有力馬の調査レポート

阪神JF2024 上位人気想定馬の評価

※メイデイレディは日本馬と比較する手立てが皆無なので省略しました。一般論として2歳馬が遠路はるばる日本まで遠征して結果を出すのは難しいと思いますが。

ブラウンラチェット

能力評価:★★★★★

得意条件:不明

臨戦過程:アルテミスSを勝って中5週。最もこのレースで結果が出ているローテ。稽古は相変わらず動く

《寸評》
フォーエバーヤングの半妹。あちらは父リアルスティール(ディープインパクト×ストームキャット)だが、こちらも父キズナ(ディープ×ストームキャット)ということで、血統構成はよく似ている。

新馬戦は数字的にそこまで強調点もなかった(※一応ラスト11.6-11.2の加速ラップだが、この開催は他レースもL1Fの数字が異常に速かった)が、2戦目で好メンバーが揃ったアルテミスSを勝利した。前年と比較すると……

2024年アルテミスS 1:33.8 ブラウンラチェット
12.2-11.1-11.8-12.6-12.5-11.5-11.1-11.0

2023年アルテミスS 1:33.6 チェルヴィニア
12.5-11.4-12.0-12.1-12.0-11.4-11.2-11.0

中盤の緩み方に差はあれど、チェルヴィニアと0.2秒差でラストは似たような加速ラップ。レベルの高い一戦だったと考えていい。レースセンスもよく、現状は弱点が見当たらない。信頼する方向性で。

ショウナンザナドゥ(抽選対象)

能力評価:★★★★★

苦手条件:瞬発力勝負

臨戦過程:6月の内に未勝利を突破し、休養明けのアルテミスSを叩いて中5週。

《寸評》
母はアメリカのAW7FでGⅠを勝ったミスエーニョ。半姉にミスエルテ、ミアネーロがいる。上も中山巧者や道悪巧者、ダート馬が多く、軽い芝の瞬発力勝負に特化した血統ではない。父がキズナに替わったこちらも似たような面がある。

新馬戦は「世代最強牝馬」かもしれないダノンフェアレディのハイパフォーマンスに屈して2着。2戦目は前後半46.6-46.9で道中締まった流れを早め先頭、1:33.5の好タイムで圧勝した。アルテミスSは前記の通りメンバーレベルが高く、上がり33.2秒を出して前を捕らえきれずの敗戦。ここまでキレを問われると弱みが出てしまう。京都外回りはそういう競馬になりづらく、絶好の条件替わり。GⅠを勝つだけの資質はある。

問題は現時点で9分の2抽選対象であること。22.2%。レースで勝つことより、そこを突破する方が難しい。

テリオスララ

能力評価:★★★★

得意条件:不明

臨戦過程:関東馬ながら萩Sを勝って中5週の再遠征。最終追切前の日曜に速い時計を出す。

《寸評》
半兄にセラフィックコールとサンライズアース。父はアイルランドでGⅠを2勝したシスキンという血統。新馬戦はキングスコールのレコード勝ちで2着。その後2連勝とまだ底を見せていない。

萩Sは少頭数で他に逃げる馬もおらず、1000m通過62.4秒の楽逃げ。といっても展開に恵まれただけではなく、上がり最速をマークしてディアナザール(次走ベゴニア賞勝ち)を突き放し、3着以下には1.1秒の差を付けた。アルテミスS組との比較は難しいが、こちらもこちらで力はある。

しかしミルコが過去3年のGⅠ【1-1-0-42】単回12%、複回30%と不振にあえいでいるのがネック。率直に言って乗れていない。

コートアリシアン

能力評価:★★★★★

苦手条件:ゲート難、折り合い難

臨戦過程:新潟2歳Sから中14週。追い切りは「余裕の精神状態」とのこと

《寸評》
しつこいようだが新馬戦が優秀。2歳6月での後半1000m57.7秒というレースラップはグランアレグリアやセリフォス、ボンドガール、クロワデュノールあたりと同水準で、数字上はほぼGⅠ確約級といっても過言ではない。

※こちらの記事も参照

ただし現状はゲートが悪くて折り合いも怪しく、それがモロに出てしまったのが新潟2歳S。道中引っかかり通しで勝ち馬と0.1秒差、後続を3馬身離した内容は能力の高さを再確認できるものだった。初の関西圏でテンションが上がらなければ。折り合い面からするとペースも流れてほしい。

ミストレス

能力評価:★★★

得意条件:不明

臨戦過程:新潟での新馬勝ちから中1週でアルテミスS出走、そこから中5週でシーズン3戦目。1週前はラスト減速の追い切りに

《寸評》
母母Folkloreはロードクロサイトの母。つまり近親にコントレイルがいて、それと同じ父キズナという血統にあたる。新馬戦を逃げ切り、アルテミスSは逃げて2着に粘った。

ただしアルテミスSは前半35.1秒のあとに12.6-12.5と息が入り、ラスト3F33.6秒のスローペース。逃げて展開に恵まれた部分が大きい。内容は強調できない。今の京都芝は逃げの優位がほとんどない馬場。条件悪化で手は出しにくい。

アルマヴェローチェ

能力評価:★★★★

得意条件:消耗戦◯

臨戦過程:札幌2歳S2着から中13週。特に問題もなく順調

《寸評》
母母レイズアンドコールはサクラバクシンオー産駒、全5勝を1400m以下で挙げたスプリンター。母ラクアミも1600m以下で3勝。近親にはモンドキャンノやカリボールらがいて、基本的には短距離向きのファミリー。こちらも1800mを使われてきたが、短縮する分には対応可能と見る。

新馬戦は1000m通過63.4秒の新馬らしいペースをクビ差逃げ切りでさほど目立たないが、札幌2歳Sは外有利の馬場で1番枠、4角~直線にかけて最内を選択しながら惜しいハナ差2着。牡馬相手の重賞で戦えることを示す好内容だった。

これまでに使った上がりは36.0秒と36.3秒。例年なら「阪神マイルの切れ味勝負に不安」と書くべきところだが、今年は京都での代替となる。これが嬉しい。

マイルCSの時に書いたことを再びコスっておくと、京都マイルは①東京や阪神より全体時計がかかり、後半4Fからペースが上がる分キレが求められない②ハービンジャー産駒が好相性、という特徴がある。ハービンジャー産駒の京都芝1600m外回り成績は通算で【3-8-11-53】複勝率29.3%、単回108%、複回104%。うち重賞では【2-2-3-8】複勝率46.7%、単回174%、複回135%に達する。「京都JFだからこそ狙いたい馬」を1頭挙げるならコレ。

鈴木ユウヤ

東大卒競馬ライター。中央競馬、南関東競馬を中心に情報発信している。単勝&ワイド。攻めて勝つ。