宝塚記念2025の概要
開催日
2025年6月15日(日)
グレード
GⅠ・3歳以上
コース
阪神芝2200m
概要と歴史
上半期のGⅠ戦線を締めくくる「春のグランプリ」。有馬記念に倣う形で1960年に創設され、ファン投票の上位馬に優先出走権を付与する方式を採っている。ただ、実情は出走馬がなかなか集まらず、フルゲートになったのは65回の歴史でわずか3回。ファン投票の結果が出走可否に影響するケースはほぼない。ちなみに、発走前に演奏されるファンファーレは宝塚記念専用のものを使用する。
今年から従来より開催週が2週前倒しになり、安田記念の翌週となる。近年めっきり減っていた日本ダービーや安田記念からの転戦はこれで事実上なくなるだろうが、そのぶん酷暑や馬場悪化を避ける効果は期待される。この変更で出走馬の頭数や質にポジティブな変化が出るか注目だ。
宝塚記念2025の登録馬
登録馬一覧
登録馬18頭
アーバンシック
シュヴァリエローズ
ショウナンラプンタ
ジャスティンパレス
ジューンテイク
ソールオリエンス
ダノンベルーガ
チャックネイト
ドゥレッツァ
プラダリア
ベラジオオペラ
ボルドグフーシュ
メイショウタバル
ヨーホーレイク
リビアングラス
レガレイラ
ローシャムパーク
ロードデルレイ
宝塚記念の基本データ(過去10年)
※出典:TARGET frontier JV。枠順と脚質については京都開催を除く9回を参照
人気と配当の傾向

1番人気の成績が【2-2-0-6】単回31%、複回47%と低調。対照的に5-12番人気までは軒並み複勝回収率が高く、いかに波乱含みのレースかが分かる。伏兵にも目を配りたい。
平均馬連配当は4624円。最高馬連配当は1万2900円(15年ラブリーデイ→デニムアンドルビー)、最低馬連配当は970円(19年リスグラシュー→キセキ)。
枠順と脚質の傾向

枠順と脚質は阪神開催の9回分を見る。8枠だけで過半数の5勝を挙げているが、とはいえ1-3枠も複勝率は20%台後半とまずまずの成績。内外で特段の有利不利はない。また今年はこれまでより開催が前倒しになる(阪神開催の2週目)ため、インの優位が増す可能性がある。

4角位置別だと好走率は前が多少優勢に見えるが、複回収率ベースでは4角6番手以下の方が高い数字。また、初角通過順に注目すると5番手以内【4-2-3-40】複回40%、6番手以下【5-7-6-70】複回103%と後者に軍配が上がる。序盤から先行する馬より、道中じっくり構えて3~4コーナーのロンスパ合戦で押し上げていけるタイプを探したい。
前走について
前走が条件戦だった馬は【0-0-0-2】、OP・リステッド組は【0-0-0-1】で、そもそも出走自体がほぼなく好走例もない。
時期変更により消滅するのが鳴尾記念組【1-1-0-16】。中1週になる目黒記念組【1-0-1-15】も事実上なくなるローテだろう。ほか国内のGⅡ~GⅢは【0-1-0-9】。23年スルーセブンシーズ(前走中山牝馬S1着)だけが2着に入った。
国内GⅠ組は【5-6-8-56】複勝率25.3%、複回収率109%。天皇賞(春)組【3-3-3-30】は全体でも悪くないが、6着以下馬【0-3-1-12】複回177%に妙味がある。
大阪杯組は【2-3-2-19】複勝率26.9%。前走着順が悪かった馬の巻き返しはそこそこあるが、着差0.6秒以上で負けた馬は【0-0-0-7】と全滅する。
隠れた穴場がヴィクトリアマイル組の【0-0-3-2】。ショウナンパンドラ、ミッキークイーン、デアリングタクトといずれも中距離向きのタイプがVMで6着以下に敗れ、距離延長でキレイに反撃した。
海外GⅠ組は【3-1-1-20】で単回収率34%、複回収率30%とかなり低調。海外遠征を敢行する馬のレベルを思えば、苦戦傾向と言わざるを得ない。ただしドバイSC3着以内馬だけは【2-1-1-2】と気を吐いている。データ的にドゥレッツァは消すわけにいかない。
宝塚記念2025の参考レース
参考レース① 大阪杯
レース映像(Youtube、JRA公式チャンネルより)
トラックバイアス:やや内有利、超高速
展開:ややハイ
→デシエルトが出遅れるも結局我慢ができずハナへ。1000m通過57.5秒で突っ込んだ。ただし2番手ホウオウビスケッツの集団だと前後半推定58.3-57.9で「締まったミドル」という表現の方が適切。また、勝ち時計1:56.2は従来のレコードを1秒更新するもの。前後の有利不利はあまりないが、内を回った馬と高速馬場巧者が恵まれたレースと評価する。
1着ベラジオオペラ【満点の立ち回り】
スタートの体勢はあまりよくなかったが、さすがの器用さでスっと先行してインの3番手を取り切った。この時点でほぼ勝負あり。馬が競馬を高いレベルで理解している。あとは終始ロスなく立ち回り、直線はホウオウビスケッツとシックスペンスの間を割って抜け出すだけ。言うことがない。パーフェクト。美しい。
戦前にも書いた通り、自分が万能型なので操縦性の高さが生きる条件の方が相対的に有利で、大阪杯が国内GⅠではベストの条件。今後も安定して好勝負していくだろうが、買い時としては今回がベストオブベストだった。
2着ロードデルレイ【外を回って好走】
序盤は外枠から徐々に内へ入れていくが、向正面からは結局馬群の外を回された。馬場バイアス的には不利な競馬だったが、それでも外から差してきた。強い2着。戦前の評価を上方修正せねばならない。ただし高いパフォーマンスは高速馬場に偏っていて、今後道悪になったときには不安を残す。
3着ヨーホーレイク【出遅れを上手くリカバー】
ゲート内で頭を下げた瞬間にスタートを切られて出遅れ。インのほぼ最後方という絶望的なポジションになった。そこから岩田望来騎手は腹をくくって4角も最内に徹して動かず。直線は馬群を割ってなんとか3着まで間に合わせた。出遅れを除けば好騎乗。欲を言えばもう少し上がりがかかる競馬になってほしかったが、おおむね力は出し切った。
6着ジャスティンパレス【距離合わない】
スタートからかなり積極的に促して、ベラジオオペラの背後で内ラチ沿いという理想的なポジションを一度は確保できた。……のに、向正面で外に出した鞍上の判断は不思議。3~4コーナーで外を回り、その分のロスが響き6着止まりだった。ズブい馬なので早めにエンジンをかけたい、というのはもちろん分かる。分かるが、今のトラックバイアスとこの締まった展開で、進路を作ってくれるベラジオオペラの後ろを放棄してまで外から早仕掛けするのはいただけない。インを捌いてくればもっと際どい競馬になっていたと思う。
8着ボルドグフーシュ【高速決着不向き】
インベタに徹してトラックバイアスに恵まれた。ただし直線は少し詰まるシーンがあったし、そもそもこういう高速馬場は不向き。
10着ソールオリエンス【条件ワースト】
後方待機から4角は大外を回して追い込み、上がり最速タイの33.5秒をマークするもこの着順。内回りコースは合わないし、高速馬場も合わない。今回はワーストに近い条件だった。道悪か直線が長いコースで見直し。
参考レース② 天皇賞(春)
レース映像(Youtube、JRA公式チャンネルより)
トラックバイアス:フラット~やや外有利
展開:ミドル、超早仕掛け
→直前の芝1200m戦でも外差しが届くなど、馬場はフラットか、むしろ外がベターくらい。ジャンカズマが逃げて1000m通過60.7秒。この数字自体はこのレースとしては平均かやや速い程度で、特筆するほどの水準ではない。ただ、8F目の12.9秒以外ほぼ緩まず、残り1400mから11.8-12.2-12.1とペースアップ。さすがに仕掛けが早すぎた。スパートを待った外差し勢や、消耗戦巧者が恵まれたレースと評価する。
3着ショウナンラプンタ【外々回るも】
中団やや後ろ、馬群の外を追走。例年の馬場だとこれだけ外を回れば厳しいものだが、今日はそれでも大丈夫なトラックバイアスだった。ジャスティンパレスが残り1200mで動いても、百戦錬磨の武豊騎手らしく落ち着いて待ち、4角で大外を進出。直線は右にモタれて脚が止まりながら、なんとか3着を確保した。これも展開に恵まれた好走だが、結果論で言えばもっと追い出しを待っていれば上位との差がさらに詰まったかもしれない。
6着ジャスティンパレス【仕掛け早い】
ゲート内での駐立が怪しくて案の定出遅れ。2000mで先行してきた成果は特になく、今回も後方からのレースになった。ただ、それに関してはペースを思えばむしろ正解だったと思う。
敗因は仕掛け。残り1200mで鮫島騎手が動かして外から進出を開始。レース全体が締まった流れで進む区間(12.2-12.1)で前を捕まえに動いており、いくらなんでも強引すぎる。さすがに脚がもたず、後ろで待っていた馬たちに飲み込まれた。脚の使いどころを間違えた。馬の能力は高いのだが、国内最大の適鞍でこうなってしまうと、このあとは買い時が難しい。
7着シュヴァリエローズ【ロス多い立ち回り】
序盤は追走にややモタついて案外いいポジションがとれず、後方の外目を追走する形。2周目で向正面でステッキが何度か入り、4角ではショウナンラプンタのさらに外を押し上げる競馬。ロスが大きく、直線はさすがに失速した。人気薄だったことで悪目立ちしていないが、こちらも立ち回りは割とボロボロだった。
10着プラダリア【適性合わず】
元々距離不安のある馬が、ここまで極度にスタミナ質のレースになってしまうと苦しい。先行して4角まで脱落しなかっただけでも偉い。やはり力はある。中距離に戻れば見直したい。
参考レース③ 日経賞
レース映像(Youtube、JRA公式チャンネルより)
トラックバイアス:内外フラット(やや前残り)
展開:ややスロー
→この日は雨の影響を受けて稍重馬場。内外のバイアスではないと思うが、差し勢のキレが削がれて前残りの傾向があった。前後半6Fで割ると75.9-73.7なのでバランスとしては遅めの流れだが、レース上がり3Fは37.2秒を要した。前に行った馬、道悪適性のある馬が恵まれたレースと評価する。
2着チャックネイト【道悪合う】
中団馬群のなかで手応えよく追走。2周目4角も外には出さず徐々に促していき、最後はマイネルエンペラーが伸びた進路を縫うように伸びて2着まで浮上した。鞍上の好騎乗。道悪は条件戦時代から得意で、距離的にもピッタリだった。
3着アーバンシック【キレ削がれて】
7番枠から馬場の悪い箇所を避けて外を追走。勝負所でも手応えはよく見えたが、いざ追い出してもスパっとは切れなかった。この馬場なので仕方ない部分はある。菊花賞を勝ってはいるが、右回りだとコーナー部でスムーズに加速できない弱点がある。左回りか直線が長いコースの方がいい。
4着リビアングラス【馬場も味方に】
道中は外の2番手で淡々と進める。マイネルエンペラーの仕掛けに応戦する形で4角手前からスパートをかけ、直線もバテそうでバテず、しぶとく残して0.1秒差。差し馬不発の馬場も味方によく粘った。道悪の持続力勝負は得意な馬で、これで近3走続けて稍重に恵まれた形。良馬場に戻った時は割り引きたい。
12着シュヴァリエローズ【展開馬場向かず】
外枠もあってほぼ最後方から。4角も馬群の一番外を回す粗い競馬になり、ジリジリ伸びてはいるが前が遠かった。展開と馬場が向かなかった。着差0.5秒ならそこまで悲観しなくていい。