エルムステークス2025の概要
開催日
2025年8月9日(土)
グレード
GⅢ・3歳以上
コース
札幌ダ1700m
概要と歴史
札幌で行われる古馬のダート重賞。夏競馬期間のJRAにおいては古馬にとって唯一の中距離ダート重賞となる。1996年に「シーサイドステークス」の名称で創設され、函館競馬場で施行。翌年から札幌に移り、レース名もエルムSに変更された。
創設当初の勝ち馬にはキョウトシチー、プリエミネンス、アドマイヤドンなど錚々たる面々が名を連ねているが、2014年のローマンレジェンドを最後に、優勝馬からその後GⅠ級競走を制した馬が出ていない。
エルムステークス2025の登録馬
登録馬一覧
登録馬17頭
ウィリアムバローズ
ショウナンライシン
ジャスティンアース
ジョーメッドヴィン
スレイマン
テーオードレフォン
トロヴァトーレ
ドゥラエレーデ
ハビレ
ブライアンセンス
ペイシャエス
ペリエール
マテンロウスカイ
ミッキーヌチバナ
ロードクロンヌ
ワールドタキオン
ヴァルツァーシャル
エルムステークスの基本データ(過去10年)
※出典:TARGET frontier JV。「枠順と脚質の傾向」は函館代替を除く9回
人気と配当の傾向

人気別を見ると勝利数のバラツキが大きく、9番人気まで勝ち馬が出ている。必然的に1~3番人気の回収率が低く(単57、複57)、中穴の4~10番人気に妙味がある(単127、複105)。
平均馬連配当は3892円。最高馬連配当は9660円(16年リッカルド→クリノスターオー)、最低馬連配当は850円(17年ロンドンタウン→テイエムジンソク)。
枠順と脚質の傾向

枠順と脚質については札幌開催の9回を対象とする。1枠が1度も馬券に絡めておらず、全体的に中枠が好成績。3-4枠と6枠が一歩か二歩抜けている。

直線の短い札幌だけあって、4角通過順別で見ると5番手以内の馬が圧倒的。ただし初角通過順で言えば6番手以下の馬が9年で6勝になるので、早めにポジションを上げていけるなら差しも届く。
前走について
前走3勝クラス組は【1-1-0-5】。母数が少ないのでなんともいえないが、リッカルド7番人気1着の例があって単回収率は高い。
OP・リステッド組は【7-4-4-49】複勝率23.4%。大沼S→マリーンS→エルムSと続く「北海道ダ1700mシリーズ」の終着点でもあり、マリーンSの3着以内馬は【7-3-1-12】複勝率47.8%、単回収率242%、複回収率135%と大幅黒字になっている。データとしてはここが狙い目の筆頭だ。
重賞組はレースごとに。まず成績がいいのは平安S組【1-1-2-5】複勝率44.4%くらいで、ほかは特に強調するレースがない。ドバイWC【0-1-0-0】は昨年ドゥラエレーデが2着。一方、かしわ記念【0-0-0-2】、帝王賞【0-0-0-5】とJpnⅠ組が意外にも結果を出せていない。
エルムステークス2025の参考レース
参考レース① かしわ記念
レース映像(Youtube、NAR公式チャンネルより)
トラックバイアス:フラット~やや外有利
展開:スロー
→ウィリアムバローズが好発を切って内から主張すると、シャマルはハナにこだわることなく2番手で控えた。ペースは落ち着いて前後半50.3-48.9のスローペース。前有利なレースだったと評価する。また、このスローだった割に勝ち時計1:39.2は昨年(不良馬場)と0.2秒差。同日他レースで比較しても、昨年より馬場はむしろ軽かったか。
2着ウィリアムバローズ【コーナー加速で振り切る】
不良馬場&シャマルが強気に行った昨年と違い、今年は内枠でもすんなりハナを切れた。テンから12.8-12.5-12.4と序盤が非常にヌルく、その割にロードフォンスやコスタノヴァ以下のマークも甘かった。残り800mから12.0-11.7でリードを広げにかかり、それを守り切って2着。勝ち馬ともども展開の恩恵が大きかった。坂井騎手のペースメイクが巧み。日本テレビ盃の時もそうだったが、コーナー加速でアドを作れるので1周小回りの1600-1800mが理想。
参考レース② フェブラリーS
レース映像(Youtube、JRA公式チャンネルより)
トラックバイアス:内外フラット(差し優勢)
展開:スローペース
→馬場は引き続き内外バイアスは感じないものの差しがよく届く状態。ミトノオーの逃げでテン3F35.0秒は過去10年で9番目。このレースとしてはスローペースの部類に入るが、馬場と相殺して展開上の大きな有利不利はなかったと評価する。
11着ドゥラエレーデ【東京合わず?】
今日は先行策にこだわらず、道中は7番手集団のインでレースを進めた。直線で仕掛けても特に伸びはなく、ジリジリと後退しながら流れ込んだ。マイルというか、直線での加速を要求される東京のようなコースが合っていないように見える。
13着ウィリアムバローズ【完敗】
2番手追走から直線で一度は先頭に立ちかける場面もつくったが、最後は失速して勝ち馬から1.9秒差の完敗。ここでは能力的に厳しかった。
参考レース③ マリーンS
トラックバイアス:やや内有利
展開:ミドル(早仕掛け)
→ピュアキアンの逃げで前後半61.0-61.3のバランス自体はミドルだが、向正面ペプチドソレイユがマクってL2に11.9を踏んでおり、やや早仕掛けの展開だった。タテの有利不利は小さく、内を立ち回った馬がやや有利だったと評価する。
2着テーオードレフォン【力差はない】
イン3追走からペプチドソレイユが動いたのもあって、4角では前がガラ空きになっており、スムーズに脚を使える状況。展開としてはベストに近かった。0.3秒差負けだが勝ち馬より斤量は2キロ重く、力差はほぼない。
5着ハビレ【馬場に逆行】
後方待機から4角で外を回しての追い上げ。上がり最速タイの脚でよく伸びてはいるが、今日のトラックバイアスであの進路取りではツラかった。0.5秒差も悲観不要な負け方。
8着カンピオーネ【前遠い】
元々ゲートの速い馬ではなく、今日もスタート決まらず後方から。4角で外を回ったし、前も遠かった。ただ、同じような進路取りのハビレには直線でむしろ離されており、そことの能力差は感じる。
11着ショウナンライシン【後方入線】
スタートで若干躓いて後方からの競馬に。3~4角は外を回って追い上げを図ったが、早々に手応えがなくなり、そのまま後方入線だった。揉まれずに先行すればもう少しやれてもいいが……。
12着ワールドタキオン【完調遠い】
長期休養明け2戦目。序盤から積極的に促して2番手を確保し、向正面では外からペプチドソレイユがマクってくるのも警戒はしていたようだが、抵抗するだけの脚がなかった。以前の力とは程遠い。