「ボンドガール新馬」の何がスゴいのか

「ボンドガール新馬」の何がスゴいのか

今週の重賞・サウジアラビアロイヤルカップにボンドガールが登録している。6月4日、新馬戦開幕週の日曜に行われたたった1戦を以て「世代最強」との呼び声をほしいままにする素質馬だ。

その新馬戦の内容がいかに優秀だったかについてTwitterに書こうと思ったのだが、文字数制限の関係で書きにくくて仕方がない。ということで、ちょっとこちらの記事にざっとまとめてみた。

1.走破タイム

走破タイムは1.34.6(稍重)。昨年までの2歳6月芝1600m新馬、その走破タイム上位は以下の通り。

1.33.6 グランアレグリア(東京)
1.34.0 コスモインザハート(阪神)
1.34.7 マラキナイア(中京)
1.34.8 ステルヴィオ(東京)
1.35.0 セリフォス(中京)

1分35秒以内で勝利した馬5頭中3頭がのちにGⅠ馬となっている。もちろん上記5例は良馬場での記録。稍重馬場、そしてスローペースでの記録としてはすこぶる優秀だ。

2.後半のラップタイム

レースのラップタイムは以下の通り。

12.7-12.0-12.4-12.1-12.1-11.2-11.0-11.1

テン37.1秒の新馬戦らしいスローペースから上がり3F戦だが、後半1000m57.5秒、600m33.3秒はどちらも強烈な数字。

マイル以上の2歳戦で後半1000m57.5秒は過去6例しかなく、その勝ち馬はグランアレグリアコントレイル、レッドベルオーブ、レゾンドゥスリール、ジオグリフ、ヴァンルーラー。半数の3頭がGⅠ馬に成長した。

ちなみに2歳というくくりを取り払っても東京芝1600mでレース上がり33.3秒以下のレースは過去11例だけ。そのうち10例はやはり良馬場であった。

※追記

前にツイートした説明の方がオシャレだったのでリンクを掲載。

鈴木ユウヤ|毎日競馬予想 (@ysuzuki_keiba) on X
新潟2歳Sの予習をしていたら世紀の発見(?)。 2歳7月までの1600m以上で、後半1000mが58.0秒以下だったレースは過去7例だけ。 その勝ち馬は ワグネリアン グランアレグリア セリフォス ジオグリフ リバティアイランド ボンドガー...

3.負かした相手のその後

最大の話題は、破った相手のその後だろう。1.2秒離した6着馬まではいずれも既に勝ち上がりを決めている。それぞれ確認しよう。

2着 チェルヴィニア→次走1着。上がり最速33.0秒で6馬身差V

3着 コラソンビート→次走3馬身差V、連勝でOPダリア賞勝ち

4着 マスクオールウィン→次走1着、ダリア賞3着、カンナS2着

5着 アンジュグルーヴ→ダートに転じて勝ち上がり

6着 キャットファイト→次走1着、アスター賞1.33.1の2歳レコードで5馬身差圧勝

この面々を負かしたボンドガールに期待が高まるのも当然だろう。

4.レースぶり

以上に加え、改めてボンドガールのレースぶりを振り返る。

4枠4番からゲートは五分に出てインの3番手を確保。スローペースだったが引っかかることもモタつくこともなく、行儀よく直線へ。

外に進路を確保して、いざ追い出したのは残り400m地点。ラスト2Fが11.0-11.1、つまり逃げたチェルヴィニアもグイグイ伸びていたので見た目上は瞬時に反応できたようには映らないが、残り200mでステッキが入るとマスクオールウィンはすぐにパスしてもうひと伸び。最終的には2着チェルヴィニアにも3/4馬身差をつけた。

ゲートにも道中の折り合いにも難がなく、馬群からの差し、直線ビッシリと脚を伸ばす形も経験。能力は言うまでもないが、新馬戦としては教育的にも100点の内容だった。

鈴木ユウヤ

東大卒競馬ライター。中央競馬、南関東競馬を中心に情報発信している。単勝&ワイド。攻めて勝つ。