能力評価:★★★★★
得意条件:高速の持続力勝負
臨戦過程:朝日杯FSののち、距離を延ばして2戦。ハイペースを先行してからの距離短縮は理想的。中2週の影響さえなければ
《寸評》
2歳時に無傷3連勝でGⅠ制覇。ただし朝日杯FSはイン有利の馬場で最内を立ち回れたこと、勝ち時計が前週阪神JFより1.2秒遅かったことから、牝馬との比較では少し疑問が残る。
共同通信杯はペースが遅すぎて良くも悪くも参考外。皐月賞は1000m通過57.5秒の超ハイペースを3番手先行し、直線半ばでは完全に抜け出すシーンを作った。坂上で鈍ったところをジャスティンミラノとコスモキュランダに食われたが、最も強い競馬をしたといっていい。
そこからの距離短縮は絶好のひとこと。条件自体は大幅好転する。懸念は激走からの中2週で反動がどうかと、桜花賞組との力関係くらい。
能力評価:★★★★★
得意条件:本質的にはハイラップ向き?
臨戦過程:年末からの直行で桜花賞を使い、そこから中3週で叩き2戦目。お釣りもあって間隔もちょうどいい
《寸評》
昨年の阪神JFはボンドガールとチェルヴィニアを欠いたメンバー構成ながらレースレコードの1:32.6で決着。当週は土曜のリゲルSもレースレコードだったので馬場が速かったのは事実だが、一定以上のレベルは担保される。
桜花賞は外有利のバイアスに順行する形で2着。4角少し外に膨れたところで内からステレンボッシュに押圧されてしまい、そのロスをリカバーし切れなかった。力負けではないし、走破時計1:32.3も非常に優秀であった。
特に不安要素らしいものもないが、強いて言えばドスローになったとき、インで待たされたときにどうか。近親にサトノルークスやタッチングスピーチがいるリッスンの牝系で父がダイワメジャーとなると、本質的にはハイラップで加減速の少ないペースが合うと思う。今の馬場傾向もあわせて外枠がほしい。
能力評価:★★★★
得意条件:不明
臨戦過程:ホープフルSを感冒で取り消したのち、喉頭蓋エントラップメントを発症して手術明け。どうも2週間ほどで乗り込みが再開できる手術のようだが……。他馬に比べると順調さを欠いたのは否めない
《寸評》
この世代の6月東京新馬といえばボンドガールが話題を席巻していたが、こちらも実は「出世確定ライン」といえる1:34.8の好タイムで勝っていた。実際、その後2~5着馬も勝ち上がって、3着オーキッドロマンスは重賞2着、最下位コスモキュランダも活躍は周知の通りだ。
サウジアラビアRCは好スタートを切って中団につけるも、行きたがるのをややなだめると今度は進みが悪くなって最後方に下がる。それでも直線で外に持ち出すと後方一気、上がり最速33.5秒、勝ち時計1:33.4の好記録を残した。これも例年なら朝日杯FSでもまず勝ち負けという時計だ。
能力が高いのは確かで、今回もこれまで2戦と同じ東京マイルなので適性面は特にコメントがない。焦点は、順調に使えず経験不足な点をどうみるか。朝日杯FS組や桜花賞組と比較する手掛かりが乏しく、正直評価が難しい1頭。
能力評価:★★★
得意条件:荒れ馬場、持続力勝負こなす
臨戦過程:前走時は中間熱発があったとのこと。毎日杯から中5週で順調
《寸評》
新馬戦はマイルにして1000m通過63.4秒のドスローを2番手でピタリと折り合い、上がり33.3秒で突き放した。時計はペースのせいで当然遅いが、センスを感じる勝ち方だった。シンザン記念は今回再戦となるエコロブルームに0.2秒差を付けて快勝。ただし外差しのトラックバイアスとやや速いペースが重なっており、そのあたりの恩恵があったことには注意したい。
毎日杯は好位で完璧に運んだものの、メイショウタバルにどんどん離されて2着。勝ち馬のパフォーマンスが高すぎただけで、この馬自身も例年なら勝ちに等しい時計で走ってはいる。手薄な年のNHKマイルCなら通用していいのだが、今年はなんせ相手が強い。スケールで多少見劣る。
能力評価:★★★★
得意条件:不明だが、ここ2走は引っかかった。ハイペースがベター?
臨戦過程:昨年の阪神JFを放馬の影響で回避し、直行予定だった桜花賞も除外になってNZTへスライド。中3週でデビュー以来初めての連戦
《寸評》
新馬戦の優秀さは既に語りつくされているが、改めて紹介。2歳6月東京での勝ち時計1:34.6はほぼ重賞~GⅠ級が確約されるタイムだった。さらにすごいのが後半1000m57.5秒という記録。2歳7月以前、マイル以上のレースで後半1000m57秒台は過去5例しかなく、その勝ち馬はワグネリアン、グランアレグリア、ジオグリフ、セリフォス、リバティアイランド。新馬の内容はこの面々に肩を並べていた。
その後チェルヴィニアがアルテミスSを快勝し、コラソンビートも重賞勝ち、阪神JF3着と活躍。華のボンドガール組。「伝説の新馬戦」という言葉が相応しい。このあたりは別記事にも書いたのでリンクを貼っておきます。
サウジアラビアRCはゴンバデカーブースに敗れたが、出遅れと道中引っかかった分を加味すれば特に悪い内容ではなかった。ニュージーランドTも半年ぶりの実戦、初の右回り、序盤やはり行きたがった。2着なら悲観する必要はない。
一度使った今回は上向いているようで、陣営からも「中身が違う」とのコメントが出た。突き抜けてもおかしくない。近2走の折り合いを見るに、ペースは多少流れてほしい。
能力評価:★★★★
得意条件:ワンターンの1600m。瞬発力勝負
苦手条件:2000mは長かった
臨戦過程:ホープフルS9着を最後に中距離を見切り、今年はマイルで2戦。シーズン3戦目で中2週。ややタイト
《寸評》
ファントムシーフの半弟。ターファイトに重賞馬を2頭プレゼントするルパンⅡ、偉すぎる。
2歳時は中距離を使われ、重賞で少し足りないレースぶり。しかし今年3月に阪神マイルで復帰すると、好メンバーがそろった一戦を大外からぶっこ抜いた。勝ち時計1:33.4、上がり33.1秒はジュエラーやハープスターの桜花賞みたいなもの。GⅠで勝ち負けになる数字と評価している。
アーリントンCは前後半48.8-45.3のドスロー。いくら外差し有利のトラックバイアスとはいえ、普通はアレンジャーが勝つ競馬。上がり32.4秒での差し切りは、並の馬にはできない芸当だ。能力はここでもヒケをとらない。
ハイペースを望む馬が多いメンバーにあって、この馬は真逆のタイプ。キレは一級品だが、これまでテン3F35.0秒より速い流れを経験していない。あまり前が飛ばすと追走に苦労し、末脚も削がれてしまうだろう。その点が不安要素。