以前「ウイニングポスト」をプレイしていた時、距離適性が1500m「だけ」という馬をツモったことがある。それもよりによって“超大物”という、ほぼGⅠ級の能力が確定する評価だったので、なんとかして大成させようと腐心した。
プレイしたことがある人はご存知だろうが、ウイポの距離適性は「短い方はある程度こなすが、長い方は100mでも無理」な仕様。結局、国内の1400m重賞を使いながら、最終的にはオーストラリアのジョージライダーSに持っていって無理やりGⅠ馬にしたわけだが……。
閑話休題。日本には1800mのGⅠがない。したがって、千八の最高峰は春の中山記念、そして秋はこの毎日王冠ということになる。
マイルGⅠは層が厚く、2000mもまた然り。ゆえに千八巧者の一線級は「ベストとズレた距離で強敵と戦わなければいけない」ため、国内では大成しづらい。“GⅠではちょっと足りない”と評価を受けている馬が、“実はこの距離ならめっぽう強いんですよ”と躍動するのが毎日王冠なのだ。
去年の勝ち馬サリオスは結局1800mに生涯で2回だけ出走。どちらも毎日王冠で、3歳時3馬身差勝ち、5歳時レコードVだった。古馬になってからGⅠでは5,5,8,6,3,15,3,14着とワンパンチ欠くなか、毎日王冠だけは別馬のように強かった。
19年の勝ち馬ダノンキングリーは現役通じて1800m【3-1-0-0】、17年覇者リアルスティールはドバイターフ勝ち馬、国内ではGⅠタイトルに手が届かず。15年勝ち馬エイシンヒカリは全10勝のうち8つをこの距離で挙げ、イスパーン賞(その年はシャンティイ代替で1800m)を制した。
要するに「国内古馬GⅠでちょっと足りない1800mマイスター」を探すことに注力したいレースで、データで言うと東京芝1800m重賞を過去に勝っている馬が【5-4-3-10】、7歳以上の高齢馬を除くと【5-4-3-6】複勝率66.7%とさらに上昇する。
今年ならシュネルマイスターとジャスティンカフェが対象で、ソングラインはややイメージから外れる。
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【ウインカーネリアンの隠れた適性】
人気になるであろうシュネル、ジャスティンの2頭以外で、1800m巧者っぽい馬がいないか、さらに調査しよう。
1800m重賞の勝ち馬は、ラジオNIKKEI賞馬エルトンバローズと、昨年のラジオNIKKEI賞勝ち馬フェーングロッテン、そして3年前のラジオNIKKEI賞勝ち馬バビット。おお、珍しいこともあるもんだ。こんなところで密かに「三世代ラジニケ馬対決」が実現している。
ただ、いずれも器用さや先行力にモノを言わせるクチで、東京替わりでこのメンバーだと分が悪い印象は否めない。他を当たろう。
そこで目を付けたのがウインカーネリアン。いやいやマイル重賞2勝馬だし、普通にマイラーだろう、と声が聞こえてきそうだが……。
ウインカーネリアンの戦歴を見ると、実は1800mでも3勝を挙げていて、皐月賞の4着馬でもある。マイルが上限いっぱいということはない。勝った昨年関屋記念の1000m通過は60.3秒、谷川岳Sも同60.2秒。中距離っぽいペースメイクから脚を伸ばす競馬もできる馬だ。
昨年のマイルCSは駐立不良で先行できずに終戦、ゴドルフィンマイルはダートが合わなかったものと割り切れる。安田記念0.7秒差8着が現状の目いっぱいだろうが、別定で2キロ課せられるソングラインとの差は、距離適性、仕上げの問題を含め、詰まる公算が高い。オッズ的にはこちらの方が面白いんじゃなかろうか?