スプリンターズステークス2025の概要
開催日
2025年9月28日(日)
グレード
GⅠ・3歳以上
コース
中山芝1200m
スプリンターズステークス2025の登録馬
登録馬一覧
登録馬17頭
アスクワンタイム
ウインカーネリアン
カピリナ
カンチェンジュンガ
サトノレーヴ
ジューンブレア
ダノンマッキンリー
トウシンマカオ
ドロップオブライト
ナムラクレア
ピューロマジック
ペアポルックス
ママコチャ
ヤマニンアルリフラ
ヨシノイースター
ラッキースワイネス
ルガル
スプリンターズステークスの基本データ(過去10年)
※出典:TARGET frontier JV
人気と配当の傾向

紛れの多いGⅠレース。1~3番人気で8勝を占めてはいるものの、8,9番人気が各1勝、2桁人気馬の馬券絡みも5回ある。単勝万馬券の馬は【0-0-0-28】とさすがに全滅だったが、それ以外の範疇で穴っぽいところにも目を光らせたい。
平均馬連配当は5306円。最高馬連配当は1万5840円(24年ルガル→トウシンマカオ)、最低馬連配当は530円(20年グランアレグリア→ダノンスマッシュ)。
枠順と脚質の傾向

中山芝1200mは外回りを使用する。コースに占めるコーナー部の割合が多いこともあり、このレースでは内枠有利の傾向が見られている。
1枠の成績が突出していて、内外で半分に分けても1~4枠が複勝率27.5%、複回105%と優勢だ。

脚質的にも4コーナー時点である程度前にいた馬の方が回収率は高い。またこのコース独特の傾向として、ハイペース時の方がむしろ外を回る差し馬は脚を溜めにくく、結果として前残りになることがある。
前走について
条件戦からの出走はこの10年で1頭もいない。オープン・リステッド組は【0-0-2-1】。2017年ワンスインナムーン(前走朱鷺S1着)と2021年シヴァージ(前走パラダイスS5着)がどちらも人気薄で3着に入った。
最重要ステップのセントウルS組は【4-4-1-44】複勝率17.0%。全体成績はそこまで良くないが、5着以内【4-4-1-22】複勝率29.0%、複回105%で、6着以下【0-0-0-22】。大敗馬を無視すれば好成績のローテと言っていい。その5着以内のうち「セントウルSで1~2番人気だった馬」は【3-4-0-7】同50.0%。トウシンマカオとママコチャはどちらも信頼に値する。
北九州記念組【2-1-1-18】複勝率18.2%とCBC賞組【1-1-0-1】同66.7%は今年から順番が入れ替わったため、扱いが難しいデータ。この2重賞はどちらもハンデ戦だが、スプリンターズSで好走した6頭のうち。5頭は前走時点で牡馬換算57キロ以上のハンデを背負っていた。着順そのものより斤量に注目したい。
キーンランドC組は【0-1-5-37】複勝率14.0%。出走頭数は多いが連対は1だけでよくはない。ただこれも6着以下【0-0-0-21】を除けばそれなりの数字にはなる。ちなみに「キーンランドC5着以内」かつ「スプリンターズSで1~4枠」なら【0-1-5-7】複勝率46.2%、複回176%。(枠順云々は偶然とはいえ)該当馬がいればマークしておきたい。
海外馬を含む前走GⅠ組は【3-3-1-13】複勝率35.0%、複回138%。春のGⅠから直行してくる勢力が前走着順も問わず浮上してくる。
2015年サクラゴスペルは京王杯SC勝ち→安田記念17着→当レース11番人気2着。17年レッツゴードンキは高松宮記念2着→ヴィクトリアマイル11着→当レース5番人気2着。22年ナランフレグは高松宮記念1着→安田記念9着→当レース5番人気3着。昨年ルガルはシルクロードS1着→高松宮記念10着(骨折)→当レース9番人気1着だった。この「スプリント重賞好走→GⅠで一つ馬柱を汚す→人気を落として出走」というプロフィールの馬には警戒したい。
スプリンターズステークス2025の参考レース
参考レース① 高松宮記念
レース映像(Youtube、JRA公式チャンネルより)
トラックバイアス:外有利(3~4角向かい風影響あり)
展開:ミドル~ややスロー
→土日通じて直線は外の伸びが目立つ馬場。また、3~4角向かい方向に7mの風が吹いていたらしく、その負荷もあって先行勢は余計に厳しかった。ペースは前後半33.8-34.1でGⅠにしてはやや緩いくらいだが、外を通った差し馬が恵まれたレースと評価する。
1着サトノレーヴ【風と馬場が味方】
好スタートから中団馬群の中で進め、徐々に外へ誘導。直線入り口では前が塞がっていたが、ママコチャの後ろに進路を見つけ、そこからエンジンがかかって差し切った。風とトラックバイアスを味方につけたモレイラの満点騎乗。ラスト11.3-11.2の加速ラップであった。「上位数頭の力量拮抗」という勢力図を劇的に塗り替える勝利ではないが、トラブルなくいけば秋も順当に上位争いだろう。
2着ナムラクレア【仕掛け待たされた分】
序盤は流れに乗せる程度で急かすことはせず、後方馬群のなかで脚を溜める。直線はサトノレーヴを信じた進路取りに賭けたが、サトノが追い出すのに少し手間取ったため、その背後でもうひとつ余計に待たされた。ラスト1F11.2秒では差せない。もう少しペースが流れるか、サトノが早仕掛けになっていれば……。しつこいようだが、上位陣は展開ひとつで入れ替わる能力差。今回の0.1秒差も展開のアヤ。
3着ママコチャ【不利あるも】
枠なりに馬群の外目を回され、3~4コーナーは少し外に張る場面もあった。内からエイシンフェンサーに弾かれる不利を受け、向かい風の負荷もあったと思うが、残り200mで一度先頭に立つ場面を作って0.3秒差3着。負けて強しの競馬だった。現役続行ならスプリンターズSでも有力だろう。
4着トウシンマカオ【スムーズに運ぶも】
道中は中団馬群の一角、ちょうどサトノレーヴの真後ろに付けた。コーナーはやや外へ張り気味だが許容範囲で、直線もスムーズに追い出せたが、上位2頭ほどの鋭い脚は使えなかった。今回もママコチャとの着差はわずかなのでこの馬自身が大きくパフォーマンスを落としたわけではないが、やはり右回りの方がいいように映る。
7着ルガル【バイアス逆行】
外2の先行策で3~4角はやや外に張り、直線は内目を通りながら徐々に沈んでいった。風の抵抗にもトラックバイアスにも逆行する競馬になってしまった。力負けではないし、右回りの方がベターかもしれない。秋は巻き返す。
8着ドロップオブライト【差は感じる】
外枠からトラックバイアスに順行する中団外目追走。ママコチャの後ろで直線に向いたが、そこからの加速で上位勢には差を見せつけられた。とはいえGⅠでこの着順ならやはり中京は得意。
10着カンチェンジュンガ【弾けず】
普段より前目のポジションで内ラチ沿いを追走。直線は外にカニ歩きしながら追ってきたが、イマイチ弾けなかった。トラックバイアスにやや逆行した面はあるが、この相手では力負けの感。
18着ペアポルックス【流して最下位】
18番枠から外3をとるも直線に向いた時点で全く手応えがなく、流して最下位入線。展開と風の不利はあったが、それにしても走れなかった。
参考レース② セントウルS
レース映像(Youtube、JRA公式チャンネルより)
トラックバイアス:フラット~やや内有利
展開:ハイ
→開幕週らしい高速馬場。ただ、9Rで外4を回したブラックケリーが勝ち切るなど、内外の差はそこまでキツくもなかった。フラットか少し内ベターくらい。
外枠からカルチャーデイがハナを主張し、テイエムスパーダを制して行った。前後半33.0‐34.4のハイペース。このレースに関しては道中締まったことで、トラックバイアス以上に外を回る不利が強調された。内で溜めた差しが有利なレースだったと評価する。
1着カンチェンジュンガ【展開ハマる】
スタート直後の行きっぷりはイマイチだったが、後方のインで促しながら流れに乗っていった。4角まで内目でやりすごし、直線は外に出してスムーズに進路確保。最後は脚が鈍ったママコチャを差し切った。トラックバイアスと展開の恩恵を全面的に受けてはいるが、こういう速い決着に対応できたのは収穫だった。
2着ママコチャ【一時抜け出すも】
先行争いを深追いせず、5番手集団の内ラチ沿いに収納。そのあと少し引っかかってポジションを一列上げた。直線半ばで抜け出し、立ち回りは理想に近かったが、結果論としてはペースが速かった。始動戦としては十分な内容。
3着トウシンマカオ【極めて強い】
外枠から中団追走。インに潜ることはできず、コーナーで3~4車線目を回され続ける形になった。上位馬の進路が最内溜め→イン3→(トウシンマカオ)→外2→最内差し→最内差し→イン5で決まっているわけで、この馬だけ異質の走り。内容的には極めて強い。
7着ヨシノイースター【内を回るも案外】
積極策に出たが、エコロジークらとのポジション争いに負けて引かざるを得ず。出していったぶん、そこで少しリキんで折り合い面のロスはあった。とはいえ内ラチ沿いを回り、トラックバイアスに順行した上で伸びず。案外な内容。アブキールベイとの差がほとんど変わっていないところを見るに、北九州記念のレースレベル自体がこのあたりだったということか。
参考レース③ キーンランドC
レース映像(Youtube、JRA公式チャンネルより)
トラックバイアス:内外フラット
展開:ややハイ
→6Rの1200mで外差しが決まったかと思えば、9Rは人気薄の逃げ切り。最終は内→外→外で決着するなど、内外に一貫した傾向なし。フラット。ペースも前後半33.6-34.6と若干速め程度で、極端な展開ではなかった。おおむね能力通りの決着だったと評価する。
2着ペアポルックス【スムーズに捌けて】
スタートを決めて先行。逃げるウインカーネリアンの後ろ、内ラチ沿いという絶好のポジションに収まった。4角の出口でフィオライアが1頭分膨れてくれたおかげでスペースもでき、あとはそこを抜けてくるだけ。100点満点の立ち回り。その上で今日はパンジャタワーの切れ味に屈した。相手が一枚上手だった。
5着ウインカーネリアン【地力は示した】
スタートで少しだけバランスを崩したが押してハナを確保。残り50mくらいまで先頭を保っていたが、結果的には少しだけペースが速く、わずかに粘り切れなかった。2着までは0.1秒差、3着とはハナ+ハナ差。GⅢなら安定して上位争いができる。地力は示した。