函館2歳S2025 上位人気想定馬の評価
ブラックチャリス
能力評価:★★★★
得意条件:不明
《寸評》
新馬戦は好スタートを切り、逃げるトウカイマシェリを見るように内目の3番手を追走。直線しっかり脚を伸ばして差し切った。最後は3馬身差を付けて2歳レコードV。同日の古馬1勝クラス、2勝クラスよりも速い時計で、初戦は理想的な内容といっていい。
函館2歳Sは下級を逃げ先行策で勝ち上がった馬が集結するため、「逃げずに勝った経験」が重要となるレース。過去10年で「前走逃げ切り」のキャリア1戦馬は【0-3-4-31】と勝利がなく、複回収率も73%止まり。これに対し「前走4角2~4番手から勝利」したキャリア1戦馬は【7-5-4-37】で単回収率194%、複回収率132%と優勢だ。人気上位が想定される中ではカイショーやマイオウンウェイを減点し、こちらを高評価したい。
カイショー
能力評価:★★★
得意条件:不明
《寸評》
開幕週の芝1000m新馬でデビュー。最内枠からハナを切り、4角で若干膨れながらも、直線はしっかり伸びて3馬身差勝ち。勝ち時計は56.4秒で、ハギノトップレディが46年保持したレコードを更新した。
ただし同日メインの函館SSでもレコードが出るなど、馬場が非常に速かったのは確か。内有利のトラックバイアスにもアシストされている。この組の3-6着馬、9-12着馬が既に次走を迎えたが、8頭いずれも5着以下と負かした相手がその後振るわない。新馬を逃げ切って200m延長、開幕週→最終週と条件は悪化する。今回は見送る予定。
マイオウンウェイ
能力評価:★★★
苦手条件:折り合い△
《寸評》
母アウィルアウェイはシルクロードSの勝ち馬でスプリンターズS3着。POGの記事で取り上げた「キズナ×短距離母」という配合パターンに当てはまる。
新馬戦は好スタートから軽く促してハナを切ったが、道中少し行きたがる場面があった。直線は一度ダイヤモンドノットに並ばれたが、最後の50mほどで逆に突き放して勝利。勝ち時計1:10.5も2歳6月の阪神、稍重を加味すれば水準レベルにはある。能力は感じるが、こちらもカイショーと同じく控えた経験のないキャリア1戦馬。前走時の道中のリキみ方を見ると2戦目で控えてすんなり折り合えるか懐疑的。経験値と気性の面に不安を残す。
クラディスティーナ
能力評価:★★
得意条件:道悪OK
《寸評》
新馬戦は4番手を追走。4角あたりの手応えはあまりよくなかったが、追われてジワジワと脚を伸ばし、ゴール前でなんとか差し切った。外差し馬場で外を通した利はあった。
重馬場なので1:10.5のタイムが絶対値として遅いことは仕方ないが、同日3歳未勝利との比較でも1.0秒遅い。同日古馬比較でも優勢だったブラックチャリス組に比べると、こちらは数字的な強調点に欠ける。
トウカイマシェリ
能力評価:★★★
得意条件:不明
《寸評》
新馬戦は前半3F33.4秒で突っ込み、背後で脚を溜めていたブラックチャリスに3馬身差の完敗。2戦目は一転、他馬を行かせて3番手に控え、差しに回して勝ち上がった。数字そのものにさほど見所はないが、函館2歳Sの前に一度こういう競馬を経験したことには価値がある。ブラックチャリスを逆転するのは難しい気もするが、こちらも有力馬の1頭ではある。
タガノアラリア
能力評価:★★★
得意条件:不明
《寸評》
新馬戦はクラディスティーナ組。外差し馬場で4角までインを通し、なかなかエンジンもかからなかったが、外に持ち出してからのラスト150mくらいは鋭く伸びてきた。ゴール後にはすぐ先頭に並んでおり、脚を余していた。
2戦目はやや出遅れながらも4角で外を回って早めに押し上げ、同3番手から直線半ばであっさり抜け出す横綱相撲。2着スミッコディスコも新馬戦の負け方がよかった馬で、この組はそれなりにレベルが高かったと見ている。
初戦から前進気勢旺盛でグイグイ進んでいくような馬は、レースを覚えることで折り合いを欠いて尻すぼみになるケースがしばしば。その逆で、得てしてこういう「新馬で瞬時に反応できず、脚を余した」くらいの馬こそ、レースを経験することで良化していくもの。現段階で穴を1頭挙げるならコレ。