【POG2025-2026】第3回・指名馬検討会 「6月デビュー馬」乱獲大作戦

馬券研究・競馬知識

POGにおける「6月デビュー」の優位性

第1回、第2回はコチラから。

近年のPOGにおいて「早期デビュー」が重要であることは、もはや周知の事実といっても過言ではない。現3歳世代も6月東京でデビューしたエンブロイダリーが桜花賞を、そしてクロワデュノールがホープフルSと日本ダービーを制覇した。

たいていの場合、POGには「翌年ダービーまで」というタイムリミットがあるわけで、早くレースに出走できるのはそれだけでもアドバンテージ。さらに近頃は大手牧場が6月の主場に大物を集める傾向もあって、この優位性に拍車がかかっている。

昨年と同様、現3歳世代についても「デビュー月別の獲得賞金」を調査してみた。「JRAの本賞金のみ」が対象だが、以下のようになる。

この世代は8月デビューのミュージアムマイル&マスカレードボールが頑張ったのもあって8月>7月になっているが、全体傾向としてはデビューが早いほどたくさん稼ぐ。6月デビューと秋デビューでは平均で2倍近い差が出る。わたしの24-25シーズンを屋台骨として支えたマテンロウコマンド(兵庫CS勝ち)&エストゥペンダも「開幕週新馬に出てくる」というのが最大の指名根拠だった。

なお「6月デビューのノーザンファーム生産馬」だと現時点での勝ち上がり率が75%を超え、1頭あたり賞金は2946万円だ。ルールに縛りがある場合や、何らかの確信がある個体は別として、それ以外は「6月デビューが発表されているノーザン馬を乱獲する」。これが期待値的には最も高い立ち回りと言える。

……という前提を踏まえて、今年も「どうやら6月デビューらしい」という馬の中からピンと来た馬をリストアップする。なお、アウダーシアやブラックコーラルなど別枠で既に取り上げた馬は除外しました。

指名候補馬

※左上から順に馬名、性別、父、母、厩舎、生産者、馬主

◆ダノンヒストリー
牡 エピファネイア コーステッド 美・堀 ノーザンF ダノックス
兄姉にダノンベルーガとボンドガール。セレクトセール4億2900万円の超高額馬。あらゆる媒体、トラックマンから絶賛されており、これがおそらく今年の目玉だろう。5月29日にはウッドで4F49.9秒。ちなみに堀厩舎@2歳6月東京新馬は2017年以降で【7-4-0-1】の連対率9割超。

◆ディバインウインド
牡 スワーヴリチャード ストロベリームーン 美・堀 社台F NICKS
そのダノンヒストリーとの併せ馬で先行先着。比べてしまうと少し見劣るが、こちらもウッドでラスト1F11.1秒など十分以上に動いている。6月7日東京マイル。

◆エコールナヴァール
メス アドマイヤマーズ ジューヌエコール 美・森 ノーザンF サンデーR
ソニンク牝系の出。近親に古くはロジユニヴァース、最近で言うとソングラインやディアドラ、パンジャタワー、トロヴァトーレらが名を連ねている。母ジューヌエコールもデビュー3連勝でデイリー杯2歳Sを制した良血。各媒体での評判も上々。ただし、兄姉は2頭とも勝ち上がれていない。

◆ディアダイヤモンド
メス サートゥルナーリア スカイダイヤモンズ 美・手塚 ノーザンF インゼルR
母は北米で重賞を3勝。5月21日にウッドで同厩舎の評判馬アウダーシアと併せ、内を回ったとはいえこちらの方が手応えは優勢だった。6月8日東京芝1400m。

◆ドリームコア
メス キズナ ノームコア 美・萩原 ノーザンF 吉田勝己
母はヴィクトリアマイル勝ち。半兄のシルバーレインは期間内2勝。仕掛けて鋭く反応できた5月28日の追い切りが好印象。

◆カルロット
牡 リオンディーズ ラルケット 栗・武幸 ノーザンF キーファーズ
母はおなじみラルケット。ステルヴィオとウンブライルを出したのも立派だが、一戦で引退になった1頭を除いてほか全て勝ち上がりという打率の高さも素晴らしい。6月7日の阪神マイル。

◆サレジオ
牡 エピファネイア サラキア 美・田中博 ノーザンF シルクR
母サラキアは府中牝馬Sを勝ち、GⅠで2戦連続2着に入った活躍馬。そのきょうだいにサリオスやサフィラがいる良血。5月28日はウェイワードアクトとの併せ馬でさすがに劣勢だったが、時計自体は4F50.0、ラスト11.4と優秀だった。

◆ゾロアストロ
牡 モーリス アルミレーナ 美・宮田 ノーザンF サンデーR
おじに「別の生き物」と称されたフォイヤーヴェルク、ダービー4着馬グレートマジシャンらがいる血統。5月28日に美浦ウッドでラスト11.1を計測。6月7日東京マイル。

◆ラッキーバック
牡 タワーオブロンドン ショレアドルチェ 栗・池添 さとう 吉田和美
吉田家がセレクトセール3850万円でツモってきた馬。セール落札→吉田和美名義でデビューといえばモーリスやジャガーメイル、キングストンボーイがいる。気になるパターン。3代母ベルアリュールⅡがアドマイヤリードやアドマイヤベルを出した良血。5/21と5/28に栗東CWで減速ラップながらそれなりの好時計。

◆ペントハウス
牡 サートゥルナーリア ピンクガーベラ 栗・福永 サンデーヒルズ 岡浩二
半兄に京王杯2歳Sとゴールデンイーグルを勝ったオオバンブルマイがいる。2代母ルシュクルもPOG好きにはおなじみの優良繁殖で、牝系は上々。6月8日の阪神芝1400mデビューらしい。

◆タフクッキー
メス ロードカナロア ウーマンズハート 栗・中内田 ダーレー・ジャパン・F ゴドルフィン
母は新潟2歳S勝ち馬。追い切りでも追走から反応鋭く先着、ラスト加速の好タイムをマークしている。中内田厩舎の2歳6月デビューは過去に12例あり、GⅠ馬が3頭(ダノンプレミアム、ダノンファンタジー、セリフォス)、期間内重賞勝ちが2頭(リアアメリア、エリキング)、ほか期間内2勝以上が3頭という高打率。

◆アンドゥーリル
牡 サートゥルナーリア アンドラステ 栗・中内田 社台コーポレーション白老F 社台RH
中京記念を勝ったアンドラステの初仔。5月28日は前記のタフクッキーに遅れた側で、追い切りがバツグンにいいわけではないが、こちらも中内田×2歳6月デビューのパターン。

◆ビッグヒーロー
牡 コントレイル アンナペレンナ 栗・福永 バンブー牧場 幅田昌伸
半兄に期間内4勝+葵S3着のビッグシーザー、期間内2勝のビッグドリームがいる血統。父がビッグアーサーからコントレイルに変わる。まだ追い切りでそこまで速いタイムは出していないが、6月後半に出てくる想定。

◆トライアンフパス
牝 ベンバトル エントリーチケット 栗・宮 ビッグレッドF ラフィアン
母は1600m以下でJRA6勝と活躍。その初仔マイネルチケットはサウジアラビアRC3着、京王杯2着と走った。6月8日の阪神芝1400mとのことで、当週は坂路で4F51.4秒をマーク。

◆テンユウ
牡 サートゥルナーリア レーヌミノル 美・奥村 フジワラフアーム 井山登
母レーヌミノルは桜花賞馬。5月中旬からラスト1Fしっかり加速して11秒台中盤の追い切りを繰り返してきた。奥村武×岩田康誠×井山登氏のノースブリッジラインで6月7日東京マイル。

◆チュウワカーネギー
牡 モーリス デックドアウト 栗・大久保 レイクヴィラF 中西忍
母デックドアウトはアメリカンオークスの勝ち馬。5月29日にCWでラスト11.1-11.1をマーク。6月7日阪神マイル。

◆チャリングクロス
牡 キタサンブラック ライジングクロス 美・奥村 坂東牧場 サンデーR
ダービー馬クロワデュノールの全弟。母が高齢のためか坂東牧場に移ってからの産駒になるが、育成はノーザン空港。兄と比べるのはどうかだが、ラスト1F12秒を切るような時計は出し始めている。

◆ユマハム
牡 コントレイル カルティカ 美・田中博 社台F TNレーシング
半兄に菊花賞馬アスクビクターモアがいる良血。セレクトセール2億7500万円。5月22日にウッドで4F50秒を切った。TNレーシングさんのXによると6月15日東京マイルとのこと。

◆アンディムジーク
牝 アドマイヤマーズ ターフェルムジーク 栗・渡辺 社台コーポレーション白老F G1レーシング
5月の中旬ごろから好時計を連発。おそらく開幕週に出てくる?

◆リアライズタキオン
牡 ルヴァンスレーヴ タイムハンドラー 美・手塚 社台コーポレーション白老F 今福洋介
近親にタイムフライヤーやタイムパラドックスがいる母系で、この父になればダートまっしぐら。POG本などでの評判は総じてよさげ。おそらく東京ダ1400m新馬に出てくるだろう。

◆グリーンエナジー
牡 スワーヴリチャード シンバルⅡ 美・上原 辻牧場 鈴江崇文
セレクトセールで1億120万円の値が付いた。1週前には行きたがるのをガッチリ抑えたままでラスト11.6。6月8日東京芝1800m。いきなりアウダーシア&ダノンヒストリーとの対戦になるが、ここでそこそこやれれば見通しが立つ。

◆トウカイマシェリ
牝 ドレフォン トウカイミステリー 栗・高柳 平野牧場 内村正則
母トウカイミステリーは北九州記念の勝ち馬。兄姉も芝ダート問わず短距離でそこそこ走っている。坂路でまずまず動く。6月21日の函館芝1200m。

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以上でPOG連載は終了です。去年は4本書いたんですが、今年は個人的にちょっとバタバタしていたのもあってここまでです。

POGという文化が浸透したこと、各新聞社(トラックマン)がYouTubeやXを通じて盛んに情報発信するようになったことで、今年はつくづく「情報過多」を感じましたね。「評判のいい馬を探す」作業が容易になった分、「評判馬のなかで自分なりの優劣をつける」という作業の重要度が増している気がします。それが調教なのか、血統なのか、はたまた人間関係の読みなのか。切り口はいくつもある。馬券とはまた別のベクトルで難しく、面白いゲームだなと改めて思いますね。

金曜に身内のドラフトがあるので、気が向いたら獲れた馬についてブログに書くかもしれません。それでは、お互い1年間頑張りましょう!

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