香港ヴァーズ(芝2400m)15:10発走
ステレンボッシュ
【状態上がって】
3代母にウインドインハーヘア。近親に菊花賞馬アーバンシックとレガレイラがいる血統で、父はエピファネイア。肩書は「桜花賞馬」だが、本質的には中長距離向きだろう。
オークスは1000m通過57.7秒、離れた5番手集団でも推定60秒フラットくらいの超ハイペース。勝ったチェルヴィニアが直線半ばまで追い出しを待つのと対照的に、内にいた分進路確保のため早めにスパートせざるをせず、それがゴール前の差につながった形。0.1秒差なら力量差はほとんどない。秋華賞は状態面でトーンがいまひとつ、軽微とはいえ直線で進路を探すロスもあった。一転、今回は師曰く「素晴らしい動き、モレイラ騎手も喜んでいた」とのこと。通用していい。ただし外枠がネック。
プラダリア
【前走より大幅好転】
道悪の2200~2500mがベストの馬。また、陣営から状態に関して頻繁に泣きが入る。
3走前の大阪杯は距離不足。高速馬場の阪神芝2000mはマイルもこなすくらいのスピードが必要で、この馬には合わない。参考外。宝塚記念は道悪の恩恵があって小差4着。京都大賞典は追い切り時に「動き切れていない」というコメントが出ており、状態がもうひとつだった。2分22秒台の高速馬場もこの馬の適性とはズレる。
今回は使った上積みが見込めるし、洋芝のシャティンに替わるのもプラス材料。内枠も嬉しい。人気にもよるが押さえておきたい1頭。
香港スプリント(芝1200m)15:50発走
ルガル
【日本勢のエース】
1200mでは【3-2-0-1】。連を外したのはレース後に骨折が判明した高松宮記念だけ。スプリントではまだ底を見せていない。
スプリンターズSは前後半32.1-34.9の超ハイペース。大逃げのピューロマジックを除いた2番手以下でも32.5-34.5という前傾ラップ。展開としては差し有利だった。それを3番手から押し切った走りは価値が高い。この路線にようやく王者らしい存在が誕生した。
しかしこの路線は香港勢が強く、今年もカーインライジングを筆頭にカリフォルニアスパングルなど相手が揃った。日本馬3頭の中ではエースだが……。
トウシンマカオ
【右回りは走るが】
右回りがベターで道悪は苦手。4走前高松宮記念は馬場とコースが合わず、京王杯SCは距離が長かった。
セントウルSは苦手な左回り、非常に不利な17番枠からイン前競馬を差し切る強烈な勝ちっぷり。一方のスプリンターズSは内有利馬場のハイペースで展開を利したイン差しながら、ルガルを捕らえ切れず。着差はわずかだが、内容的に少し差を感じる敗戦だった。さらに相手が上がってどうか。枠はいい。
サトノレーヴ
【能力やや劣勢】
間隔を空けながら使われ、5歳6月、キャリア8戦目の函館SSで重賞初勝利を挙げた。ただ、当時は開幕週の函館らしい内有利のバイアスがあり、好枠を先行して上手に運んだ面が大きい。59キロで外を回って2着のウイングレイテストの方が内容は目立った。
キーンランドCで重賞連勝となったが、これも2着エイシンスポッター以下は同日1勝クラスとほとんど変わらない走破時計。レースレベルに疑問。この戦績でスプリンターズS1番人気は荷が重く、外を回った分のロスを考慮しても単純に力負けだった。
今回さらに相手が上がって海外遠征。能力比較では厳しいと思うが、枠と鞍上はいい。イン前でロスなく立ち回って3着あれば御の字。
香港マイル(芝1600m)17:00発走
ソウルラッシュ
【充実一途】
4歳時から一線級で走ってはいたが、6歳を迎えて本格化。安田記念では得意でない瞬発力勝負にも対応し、上がり33.1秒の末脚で上位争いに食い込んだ。休み明けかつ58キロだった富士Sの敗戦はノーカウント。マイルCSは外伸び馬場とハイペースが味方したとはいえ、軽々突き抜けて最後は鞍上が大ガッツポーズをする余裕すらあった。
昨年先着を許したゴールデンシックスティとナミュールが今年はおらず、香港勢も例年より混戦ムード。この相手関係ならアタマまであっていい。
ジャンタルマンタル
【熱発影響次第】
2歳時は3連勝でGⅠ勝ち。共同通信杯はドスローで上がり32.6秒をマークしての展開負け、皐月賞は1000m通過57.5秒のハイペースを先行し、早め抜け出しの形を作った上での3着。負けたレースも内容は濃い。NHKマイルCはアスコリピチェーノが進路取りに失敗したとはいえ、2馬身半差の完勝だった。
アスコリピチェーノが京成杯AHでバイアス無視の圧勝、ロジリオンが富士S3着だったことから、この世代のマイル路線はまずまず高いレベルにあると推察される。ソウルラッシュをいきなり負かす可能性も大いにある。富士Sを熱発で回避した影響がなければ。
香港カップ(芝2000m)17:40発走
リバティアイランド
【絞れて本領発揮なら】
3歳時は同世代に敵なしの内容で三冠を達成。ジャパンCはイクイノックスがあまりに強すぎたが、スターズオンアース、ドウデュース、タイトルホルダーら大物を破った。ドバイSCは1000m通過がだいたい63秒くらいの超スローペースで、レベルスロマンス、シャフリヤールの前残りを許したもの。これは展開が向かなかっただけ。本来はめちゃくちゃ強い。
問題は天皇賞(秋)をどう考えるか。休み明け、前年ジャパンC時より+22キロの馬体重でトップコンディションでなかったとは思うが、それにしても負けすぎ。前後半59.9-57.4のスローペースを先行してニシノレヴナントやキングズパレスに先着を許したのはいただけない。
香港の場合は金曜日に馬体重が発表される。リバティアイランドは474キロで、前走比-18キロ。ジャパンCを勝ったとき(470キロ)とだいたい同じ水準まで絞れた。もし前走の敗因が「太かっただけ」なら一変してもいい。フルに能力を発揮すればロマンチックウォリアーにも負けない。
タスティエーラ
【前走は展開利あり】
3歳時は三冠皆勤で②①②着だったダービー馬。有馬記念は直線で不利を受けながらも6着と、負けはしたが内容は悪くなかった。
4歳を迎え、春2戦はクビを傾げるような大凡走。そこから立て直しに成功したか、天皇賞(秋)では久々に2着と好走を見せた。ただし天皇賞はスローペースの前残りを先行して展開の利が大きかったもの。カテゴリとしての日本馬有利は前提としてあるが、近走内容からは特に推せない。