【菊花賞】「怪物」の可能性あるヘデントール 有力馬の調査レポート

中央競馬予想

菊花賞2024 上位人気想定馬の評価

ダノンデサイル

能力評価:★★★★★

得意条件:不明

臨戦過程:日本ダービーから直行で中20週。コメントを見るに、菊花賞への最善というより、ジャパンCや有馬記念あたりへ転戦することを見据えて決めた……というニュアンス

《寸評》
東京マイルの新馬戦で敗れたのち、2戦目は京都芝1800mで勝ち上がり。この時にメイショウタバルを破った。続く京都2歳Sは現3歳世代屈指のハイレベル戦で、直線詰まって4着。この時コスモキュランダは不利もあって8着だった。京成杯では道中ウンコをしながら走って先行押し切り。アーバンシックの追い込みを封じた。つまり、人気を分け合う3頭はひと通り負かしたことがある。

今年の日本ダービーはやや内有利のトラックバイアスで行われ、しかも前後半62.2-56.8というとんでもないスローの後傾ラップ。前にいなければ当然勝負にならず、イン3にいたこの馬は展開と馬場を利した面が多分にある。とはいえ隣を走っていたジャスティンミラノには自力で着差0.4秒をつけ、後方待機のアーバンシックと上がり3Fも同値。単に恵まれて勝っただけでもなく、能力面は高く評価する必要がある。ちなみに良馬場の日本ダービーで0.4秒以上の着差を付けた馬は86年以降でメリーナイス、トウカイテイオー、ナリタブライアン、ディープインパクト、ウオッカ、コントレイル、そしてダノンデサイルという面々。ほとんどが歴史的名馬クラスである。

距離については共同記者会見でも横山典騎手から「なんの不安もないです」という言葉があったし、エピファネイア産駒は「折り合いが怪しい割に延長をこなす」という産駒が多い。菊花賞でも【0-2-1-3】と結果が出ているので、そこは大丈夫だろう。ダービーと菊花賞がリンクしにくいという事実、前走で馬場と展開に恵まれた分の割引をしても、当然印は打たなければいけない。

アーバンシック

能力評価:★★★★★

得意条件:広いコース
苦手条件:右回りなら内ラチ沿いが欲しい?

臨戦過程:秋始動戦のセントライト記念を叩いて中4週。初の関西遠征

《寸評》
春は京成杯でダノンデサイルの2着。当時は1000m通過60.7秒のあとも12.6-12.4とペースが上がらず、ラスト3F勝負のラップ構成。この馬以外は4角1~5番手の馬が1~6着を占めており、不利な展開によく追い込んでいた。右回りでは右にササってうまく立ち回れないが、それでも皐月賞は4着を確保。日本ダービーは前記の通り超スローペースで何も展開が向かなかった。ノーカウントでいい。

セントライト記念は内有利のトラックバイアスで最内枠から終始内ラチ沿いを追走。その甲斐もあってかササる面も見せず、直線は先に抜け出したコスモキュランダをきっちり差し切った。レース内容としては外からバイアスに逆行して動いたコスモの方を上に評価する。前走をもって右回りを克服したと思われそうだが、ラチに頼れなかった時にどうなるかは保証がない。枠順が大事。

コスモキュランダ

能力評価:★★★★★

得意条件:内回り系持続力勝負
苦手条件:瞬発力勝負

臨戦過程:秋始動戦のセントライト記念を叩いて中4週

《寸評》
アルアイン産駒の例に漏れず、内回り系の持続力勝負を得意とする馬。弥生賞はレースレコードで勝利、皐月賞も中団待機から外を回す正攻法でジャスティンミラノのクビ差2着に入った。

日本ダービーは超スローペース。出遅れて後方2番手からの競馬となり、ミルコらしい向正面進出を選択した。このペースなので動いた判断は正解だったが、3~4角は4車線目を回されてしまったし、レース上がり33.8秒もこの馬にとっては速すぎた。適性に合わなかった。

セントライト記念は前記した内有利のトラックバイアスがあるなか、4角手前から4車線目を回って強気の仕掛け。インでじっと辛抱していたアーバンシックに差されたが、内容的にはこちらの方を高く評価したい。スタミナに長けたロングスパート巧者で菊花賞はいかにも向きそうなタイプ。楽しみは大きい。

メイショウタバル

能力評価:★★★★

得意条件:道悪OK
苦手条件:折り合い難しく、3000mへの対応に不安

臨戦過程:秋始動戦の神戸新聞杯を勝って中3週。「前走時よりリラックス」とのコメントあり

《寸評》
毎日杯は逃げて上がり最速をマークしての6馬身差勝ち。ゴールドシップ×フレンチデピュティの血統から当然重馬場は得意なのだろうが、勝ち時計1:46.0は現行距離の毎日杯史上2位タイの記録であり、むしろ高速決着の部類だった。6馬身離した2着馬ノーブルロジャーも古馬のOPでそこそこ戦えており、このパフォーマンスは強かった。皐月賞は暴走逃げで1000m通過57.5秒。玉砕やむなし。

ダービーを取り消し、仕切り直しとなった神戸新聞杯は大外枠から逃げてそのまま押し切った。ただし、自身を含め春GⅠで2桁着順に終わった馬たちが上位を占めたように、メンバーが手薄だったことには注意したい。スタミナはあるが、折り合いという意味で800mの延長に不安もある。

ヘデントール

能力評価:★★★★★

得意条件:スタミナ◎
苦手条件:ゲート難あり

臨戦過程:中6~8週くらいの間隔でコンスタントに使われ、8月の日本海S勝ちから中8週で本番へ

《寸評》
母コルコバードはレース上がり38.3秒を要した丹頂Sで2着に入るなど、2200~2600mを中心に活躍したスタミナ型のステイヤー。自身も上がり3Fは33.5秒~33.7秒くらいに限度があるようだが、5Fのロングスパートで非常にいい脚を使う。

新馬戦はジャスティンミラノの2着。このレースは1000m通過63.1秒のスローペースからレース上がり33.5秒で、先行抜け出しのジャスティンミラノより内容はこちらが強く見えたくらい。その後条件戦をねじ伏せるように2連勝。特に2戦目は向正面でマクって11.8のラップを刻みつつ、ラストも11.2-11.3でもうひと伸び。強い勝ち方だった。

負けた青葉賞はオシェアが消極的過ぎた。残り600m地点で先頭から3.1秒、離れた2番手集団からも1.3秒後ろにいた。冒頭に書いた通り、そこまで3Fの末脚に特化した馬ではないので、この位置では届かない。参考外でいい。

日本海Sは3勝クラスの古馬相手に3馬身半差をつけて完勝。そもそも「3歳8月までに芝1800m以上の古馬3勝クラスを勝った馬」は昨年までに9頭しかおらず、アヴェンチュラやショウナンマイティ、グローリーヴェイズ、ドゥレッツァなどほぼ重賞勝ち~GⅠ勝ち馬に出世している。さらに後半1000mがレースラップ57.5秒と優秀で、おまけにラスト11.3-11.1の加速ラップまで記録した。こんな数字はなかなかお目にかかれない。春の既成勢力をまとめて飲み込む可能性すら秘めた大器。要警戒。

アドマイヤテラ

能力評価:★★★

得意条件:いかにも長距離向き
苦手条件:瞬発力勝負

臨戦過程:2勝クラスを勝って中4週。1週前は追走遅れも時計自体はいい

《寸評》
アドマイヤテラは母がオークス3着馬アドマイヤミヤビで、4代母にウインドインハーヘアがいる由緒正しき良血馬。そこに父レイデオロなので、ディープインパクトを介さずにウインドインハーヘアの牝馬クロスができている。シャレオツな血統表をしている。

京都新聞杯は出負け、直後に挟まれて後方から。イン3→逃げで決まる競馬で延々と外を回っており、ロスが大きすぎた。それでいて0.5秒差ならジューンテイク(神戸新聞杯2着)とそんなに力量差はない。2走前の阿寒湖特別は勝負所で動けないポジションにハマってしまい、脚を余し気味に追い込んで2着。取りこぼしの感が強かった。前走は直線内目から鋭く伸びて2馬身差の快勝で、こちらが本来の力量といえる。

対戦歴から判明済みの能力比較で言えばダノンデサイル≒セントライト記念のワンツー≧神戸新聞杯上位馬≧アドマイヤテラという序列になり、現状見せているパフォーマンス通りだとやや足りない。ただ長距離はいかにも合いそうな走り、そして陣営なので、いい枠を引いてロスなく立ち回ってくれば馬券圏内はあっても。

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