能力評価:★★★★★
得意条件:中距離向き
臨戦過程:オークスから中20週で直行。直行ローテで桜花賞を勝っており、特に問題なし
《寸評》
父エピファネイア、近親にアーバンシックやレガレイラがいる血統で、おそらくベストは2000m以上。それでいて春はアスコリピチェーノをマイルで破った。ポテンシャルの高さは言わずもがな。
オークスは1000m通過57.7秒、離れた5番手集団でも推定60秒フラットくらいの超ハイペース。勝ったチェルヴィニアが直線半ばまで追い出しを待つのと対照的に、内にいた分進路確保のため早めにスパートせざるをせず、それがゴール前の差につながった形。0.1秒差なら力量差はほとんどない。右回り1周競馬は新馬戦で経験済み(チェルヴィニア、クイーンズウォークは今回が初)。今のところは欠点らしい欠点が見当たらず、最も信頼度が高い。
能力評価:★★★★★
苦手条件:右回り?
臨戦過程:オークスから中20週で直行。2週前にはウッド6Fの、1週前にはウッド4Fの自己ベスト更新
《寸評》
新馬戦はボンドガールの強烈なパフォーマンスに屈したが、のちの重賞馬コラソンビートには差をつけ2着。2戦目の新潟芝1800mはレコードに0.5秒差と迫る好タイムを、自身の上がり33.0秒(≒スローペース)で出す怪物じみた内容。アルテミスSも加速ラップ&好時計の勝利で、2歳時から能力はGⅠ当確級だった。
年末の阪神JFを脚部不安で回避し、ぶっつけとなった桜花賞は18番枠、ルメール不在、初の関西圏、そして初の右回りで直線は右にモタれた。全てが上手くいかなかった。オークスはきっちり巻き返して能力を証明。勝ち時計2:24.0のラスト11.5-11.4は前年リバティアイランドほどではないが優秀で、レースレベルは高い。
ただし、唯一右回りを使った桜花賞があの走りだったので、右回り不安が未解決のまま残っている。それをどこまで減点するかが今回の焦点。
能力評価:★★★★★
得意条件:2000m以上
臨戦過程:休み明けのローズSを快勝して中3週。中内田厩舎のローズS勝ち→本番ローテはリアアメリア、ダノンファンタジー、アートハウスいずれもコケていて……
《寸評》
デビュー2戦目に阪神外回りとしては極めて珍しいラスト11.4-11.2の加速ラップを計時しての完勝だった。陣営から「オークス向き」の評価を受けながらクイーンCを大外一気で好時計勝ちなど、能力はGⅠ馬にふさわしいモノを持っている。
桜花賞は内枠がアダとなり、直線も前がやや壁になって伸びないインを突くしかなかった。オークスは前記した通りの超ハイペースで、この馬の位置でも前すぎた。1~3着、6~8着いずれも差し追い込みの決着で、先行して残ったこの馬と5着ランスオブクイーンは着順以上の評価が必要となる。ローズSも2番手以下実質スローで前有利の競馬ながら、粘る2~4着馬をよく差した。強い。
ただ、休み明けからキッチリ仕上げる中内田厩舎のパターンとして「前哨戦を勝って本番コケる」が頻発しているのは懸念材料。実際、過去10年、中3週以下でのGⅠ出走時は【1-2-1-16】単回収率46%、複回収率39%と振るわない。秋華賞でも直行のリバティアイランドは勝ち、8月札幌から直行したミッキーチャームが2着、それ以外は【0-1-0-7】という結果である。この馬に関しても理想の買い時は前走だったように思う。
能力評価:★★★★
得意条件:マイル
苦手条件:2000mは長い
臨戦過程:紫苑S3着で権利を獲得して中4週。初の関西圏
《寸評》
新馬戦は「華のボンドガール組」と何度か書いてきたように、勝ち時計、ラップ、負かした相手(2着チェルヴィニア、3着コラソンビートなど)いずれも超優秀だった。その後頓挫もあって重賞未勝利だが、遅かれ早かれ勝つだろう。
NHKマイルCは直線大きな不利があってノーカウント。クイーンSと紫苑Sはどちらも内でギリギリまで脚を溜めて差してくる競馬で、特に前走はトラックバイアスも味方した上での3着だった。
問題はやはり距離。ダイワメジャー産駒は2000m以上の重賞未勝利で、ここ2走のインにこだわった武豊騎手の乗り方も、距離不安を感じて無駄脚を使わなかったように見える。相手が一気に上がる今回は見送り。次走以降、マイルに戻った時に勝負したい。
能力評価:★★★
得意条件:内回り系1周競馬
苦手条件:ダート、瞬発力勝負
臨戦過程:紫苑Sを勝って中4週。栗東滞在
《寸評》
新馬、2戦目と連勝したが、どちらも先行抜け出しで自身の上がり35.8秒と数字的な強調点はない。フローラSは不利な14番枠から先行し、一時先頭に並ぶシーンもあっての0.3秒差4着。勝ち馬アドマイヤベルがオークス9着なので、オークス上位勢に比べると劣勢は否めないが、世代中上位の力はある。関東オークスはダートが合わなかった。
紫苑Sは1:56.6のぶっ壊れレコード勝ち。馬場がおかしかった。ラスト11.4-11.0の加速ラップだが、これも信憑性はイマイチ(※https://keiba-night.com/kenkyu/10306を参照)。右の内回り1周競馬という条件自体はベストに近いので、立ち回りの巧さで能力差をどこまでカバーできるかの一戦。
能力評価:★★★
得意条件:消耗戦、時計のかかる馬場
苦手条件:スローペース、瞬発力勝負
臨戦過程:クイーンS勝ちから中10週
《寸評》
父ゴールドシップ、近親にウインマリリンやコラソンビートがいる血統。稍重馬場で3度走って3勝しており、時計のかかる馬場はマッチする。反面、スローの瞬発力勝負だとキレ負けする。
スイートピーSを1:45.6の好時計で勝ったことからオークスでも穴人気になっていたが、スイートピーS自体はメンバーレベル低調、かつ1000m通過57.5秒のハイペースがハマったものなのでさほど評価していない。オークスもハイペースの後方待機で展開は向いたが目立つ伸びはなく1.2秒差。上位馬とは実力差がある。
クイーンSは古馬相手に中団外目を回る正攻法で堂々の勝利。単体としてはまずまず強かったが、洋芝の1周競馬が適性ドンピシャだったのも確か。良馬場ではどうか。オークス時の差を逆転できる公算は立っていない。