中山牝馬ステークス2025の概要
開催日
2025年3月8日(土)
グレード
GⅢ・4歳以上牝馬
コース
中山芝1800m
概要と歴史
ヴィクトリアマイルの前哨戦にあたる古馬牝馬のハンデ重賞。1983年に同名のオープン特別が重賞化され、昇格当初からほぼ一貫して中山芝1800mを舞台に施行されてきた。
ハンデ戦のためメンバーレベルは高くなりにくく、また東京芝1600mのヴィクトリアマイルとはコースの質も違いすぎる。そういう事情もあり、中山牝馬S勝ち馬が同年のヴィクトリアマイルを優勝した例は一度もない。その反面、2019年には当レースの7着ノームコア、6着クロコスミアが本番でそれぞれ1着、3着と穴を開けた。本番と“逆接する”という意味で、馬券的には意味を持つ前哨戦だ。
中山牝馬ステークス2025の登録馬
登録馬一覧
登録馬16頭
ウインエーデル
エミュー
カナテープ
キミノナハマリア
クリスマスパレード
コンクシェル
シランケド
シンティレーション
ジューンオレンジ
セキトバイースト
ヒップホップソウル
ビヨンドザヴァレー
フィールシンパシー
ペイシャフラワー
ホーエリート
ミアネーロ
中山牝馬ステークスの基本データ(過去10年)
人気と配当の傾向

牝馬限定のハンデ重賞らしく一筋縄ではいかない。1番人気が【0-2-2-6】と未勝利で、2番人気も【1-1-0-8】で2頭しか馬券に絡めていない。そもそもハンデ55.5キロ以上が【0-3-0-15】と振るわず、斤量不利な実績馬は軽視するのがセオリーといえる。
平均馬連配当は1万7942円と高額。最高配当は10万6850円(22年クリノプレミアム→アブレイズ)、最低配当は920円(16年シュンドルボン→ルージュバック)。
枠順と脚質の傾向

枠順別では1枠が【0-0-1-15】と苦戦傾向にあり、8枠が【3-2-1-14】単回569%、複回228%と極端に高い数字となっている。1-4枠と5-8枠で半分に分けても外枠の方が好走率、回収率ともに優勢だ。

脚質的には大きな偏りなし。強いて言えば、中山の割には4角6番手以下からの好走例が多いように感じる。
前走について
まず前走条件戦だった馬が【2-2-1-11】。ポイントは格上挑戦馬(=2勝クラスVか3勝クラス負け)も【0-2-1-8】複勝率27.3%、複回収率240%と侮れないこと。少々の実績不足はハンデ差で簡単にひっくり返せる。
OP・リステッド組は【2-1-0-21】で、うち「重賞」格付け時代のターコイズSを除くと【2-0-0-18】。あえて狙う魅力はない。ちなみに勝った2頭はトーセンビクトリー(ローズS3着)とカワキタエンカ(ローズS2着)で、どちらも1800m重賞での好走歴がありながら53キロの軽ハンデだった。
数の多い重賞組だが、前走GⅠ【0-1-0-14】。ルージュバックの2着があるだけ。重ねてになるが、実績馬が斤量のせいでいとも簡単に飛び去るレースだと思っておこう。
レース別に見ると愛知杯(現・小倉牝馬S)組が【4-1-4-34】と好走多数。ただしその1着馬は【0-0-0-5】で、10着以下も【0-0-1-9】と振るわない。「ハンデが加算されない程度の好走」をしてきた馬を狙いたい。
似たような傾向はターコイズS組、中山金杯組にもみられる。まとめて「前走ハンデ重賞で2-5着」の馬が【3-5-4-19】複勝率38.7%、複回113%だ。
中山牝馬ステークス2025の参考レース
参考レース① 秋華賞
レース映像(Youtube、JRA公式チャンネルより)
当日は少頭数戦が多くて判別しにくかったのもあるが、これといったトラックバイアスはなし。セキトバイーストが大逃げの奇策に出て1000m通過57.1秒。離れた3番手集団でも59.4~59.5秒くらいでやや速かった。差し有利の競馬だったと評価する。
5着クリスマスパレードは速い流れを2番手追走。残り200mで先頭の場面を作って粘り込んだ。キレはないが、こういう持続力勝負ではいい走りをする。内回り系の2000~2200mくらいで面白い先行馬になっていくだろう。
6着ミアネーロは内目の中団で脚を溜め、直線も空いた内を完璧に捌いてきた。展開にも恵まれて現状の力は出し切った。
10着ホーエリートは内ラチ沿いの中団から直線も内を通って差す形。展開が向いた割に目立つ脚は使えなかった。力負け。
13着セキトバイーストはさすがに飛ばしすぎた。ローズS3着の実績はあるものの、2000mは気持ち長いか。1600~1800mがベストだろう。
参考レース② ターコイズS
レース映像(Youtube、JRA公式チャンネルより)
馬場は内外ほぼフラット。400m延長のマメコが逃げたが前後半46.3-46.9はほぼミドルペース。展開面の大きな有利不利はなかったと評価する。
2着ビヨンドザヴァレーは外枠からジワリと先行して外3を追走。直線の手応えはやや劣勢だったが、バテそうでバテず、ドゥアイズには抜かせなかった。斤量2.5キロ差があった勝ち馬アルジーヌには完敗と言わざるを得ない。
7着フィールシンパシーは内目好位を追走。直線は前が壁になった。残り200mを切ったあたりで進路を確保して追い出すも前を脅かすには至らず。着差が着差(0.2秒差)なので悔いは残るが、スムーズに捌けていたとしても突き抜けるほどの脚はなかったか。
8着ミアネーロは出遅れ、数完歩後に躓く場面も。直線は馬群を捌きながらジワジワ伸びているが、前に迫るほどの鋭い脚はなかった。ただ、54.5キロを背負っての0.3秒差で悲観するほどの着差ではないし、距離が延びるのもポジティブな材料。
13着ペイシャフラワーは出遅れてまさかの最後方。行ってナンボの馬で今日はノーカウントだろう。
参考レース③ 小倉牝馬S
レース映像(Youtube、JRA公式チャンネルより)
馬場は開幕日でやや内有利。内からベリーヴィーナスが強気に主張し、アリスヴェリテも絡んでいったことで前半1000m57.7秒の超ハイペースになった。内目で溜めた差し馬が有利なレースだったと評価する。
1着同着シンティレーションはインの中団を追走し、4角も内が空いて非常にスムーズな競馬ができた。ハンデ55キロを背負っての勝利は立派だが、展開面が最高に味方したことには留意したい。勝ったことでさらにハンデは上がる。後追いは筋悪か。
5着エミューはいつも通り後方で脚を溜め、3~4コーナーも内目を捌きながら脚を伸ばした。これも展開が向いた側。ブリンカー着用で近況よりは多少前進したが、それでも重賞だと力不足感が否めない。
7着キミノナハマリアはシンティレーションの後ろをちょうどなぞるような進路取り。つまり展開とトラックバイアス的にベストの騎乗だったがここまで。道悪巧者で、開幕週の軽い馬場ではこのくらいが精一杯。重賞で勝ち負けするにはひと雨ほしい。
13着コンクシェルはハイペースを先行して潰れた。展開不利だったし、そもそも2000mは1ハロン長い。昨年勝った舞台で反撃に期待がかかる。